ルーシアス歴戦の勇士たち、わが忠実な友たち、
大いなるローマから手紙を受け取った、
皇帝をどれほど憎んでいるか
われらの姿をどれほど見たがっているかを知らせる手紙を。
だから、立派な諸侯よ、その称号にふさわしく、気高くあれ、
受けた辱めを我慢するな、
ローマがお前たちに与えた損害はことごとく、
三倍にして償わせよう。
第一のゴート人勇ましい若枝よ、偉大なアンドロニカスから生まれた枝、
その名はかつて恐怖だったが、今はわれらの慰めだ。
見事な武勲と立派な行いに
恩知らずのローマは汚い侮辱で報いた、
われらを信じてくれ——導く所へどこでも従おう、
真夏のいちばん暑い日の針持つ蜂が
王に率いられ花咲く野へ向かうように、
呪われたタモーラに復讐しよう。
ゴート人たち一同あの男の言うとおり、われらも皆同じだ。
ルーシアス心からあの男に礼を言い、皆にも礼を言う。
だがあそこへ来るのは誰だ、たくましいゴート人に引かれて?
第二のゴート人名高いルーシアス様、隊列を離れて
荒れ果てた修道院を見にいったのです。
そして、崩れかけた建物を
じっと見つめていると、不意に
壁の下で子供の泣く声が聞こえました。
声のほうへ向かいました。するとすぐ
泣く赤子をこんな言葉で黙らせる声が——
「静かにしろ、褐色のちび奴隷、半分俺で半分母親め!
その色が誰の子かばらさなければ、
自然が母親の顔を貸してくれさえすれば、
悪党め、お前も皇帝になれたのに——
だが牡牛も牝牛も乳のように白いのに、
石炭ほど黒い子牛は生まれない。
静かにしろ、悪党、静かに!」——そう赤子を叱るのです——
「信用できるゴート人の所へ運んでやらねばならん。
そいつは、お前が皇后の赤子と分かれば、
母親に免じてかわいがってくれる。」
そこで、武器を抜いて、飛びかかり、
不意を襲って捕らえ、ここへ連れてきました、
この男は必要と思われるようにお使いください。
ルーシアス立派なゴート人よ、これは姿を現した悪魔だ
アンドロニカスの立派な手を奪った男。
これがあの皇后の目を喜ばせた真珠で、
ここにいるのが燃える欲望の卑しい実だ。
言え、白濁した目の奴隷、どこへ運ぶ気だった
悪魔じみたお前の顔をそのまま育てていくこの子を?
なぜ言わぬ?何だ、耳が聞こえぬか?ひと言もなしか?
縄を持て、兵士たち!この木に吊るせ、
その脇に不義の実も。
エアロン坊やに触るな。王家の血が流れている。
ルーシアス父親に似すぎて善人にはなれぬ。
先に子を吊るせ、手足をばたつかせるのを見せろ。
その眺めで父親の魂を苦しめてやれ。
はしごを持て。
エアロンルーシアス、子供は助けてくれ、
俺から皇后へ届けてくれ。
それをしてくれるなら、驚くようなことを聞かせよう、
聞けばお前の大きな得になることを——
嫌だと言うなら、あとはどうなろうと、
これしか言わぬ「復讐がお前らを皆腐らせるがいい!」
ルーシアス話せ——その話が私の気に入ったら、
子供は生かし、私が養わせてやる。
エアロン気に入ったらだと!いや、はっきり言っておく、ルーシアス、
これからの話を聞けば魂が苦しむぞ。
語るのは人殺しと、凌辱と皆殺し、
黒い夜の行い、おぞましい仕業、
害を企むこと、裏切り、悪事の数々
聞くも痛ましく、実際やられた者はなお哀れだ——
俺が死ねばそいつもすべて土の中だ、
子を生かすと誓わぬ限りな。
ルーシアス思うまま話せ。子は生かすと言っている。
エアロン生かすと誓え、それから話す。
ルーシアス誰にかけて誓えばよい?お前はどんな神も信じぬ——
ならば、どうして誓いを信じられる?
エアロン信じなければどうだってんだ?まあ、実際、信じちゃいない。
だが、お前は信心深いと分かっている
胸の中に良心とやらがあって、
僧侶どもの二十もの手品や儀式を、
せっせと守っているのを見てきた、
だから誓わせるのだ。知っているからな
馬鹿は自分のガラクタを神と思い
その神にかけた誓いを守ることを、
そこにつけ込むのさ——だから誓え
その神に、どんな神であろうと、
お前が拝んでありがたがる神にかけて、
坊やを助け、食わせて育てると。
さもなければ何も明かしてやらん。
ルーシアスわが神にかけてそうするとお前に誓う。
エアロンまず知るがいい、皇后にこいつを産ませたのは俺だ。
ルーシアスなんと飽くなき淫らな女だ!
エアロンふん、ルーシアス、それなど慈善だ
これから聞かせることに比べれば。
バシアナスを殺したのはあの女の息子二人だ。
妹の舌を切って犯し
手を切り落としお前が見た姿に仕立ててやった。
ルーシアスおぞましい悪党め!あれを仕立てたと言うのか?
エアロンああ、洗って切って仕立てたのさ、そいつをやった連中には
仕立て上がりのいい遊びだった。
ルーシアス野蛮な、獣じみた悪党どもめ、お前と同じだ!
エアロンそりゃそうだ、俺が教え込んだ先生だからな——
あの色好みの魂は母親譲りだ、
勝負を取るにはこれほど確かな札はない。
血なまぐさい心は、思うに、俺から学んだ、
獲物の頭へ食いつくにはこれほど頼れる犬はない。
さて、俺の値打ちは行いに語らせよう。
お前の兄弟をあの油断ならない穴へおびき寄せた
バシアナスの死体があったあそこへ——
父親が見つけた手紙を書き
そこに書いた金を隠した、
皇后と二人の息子と結託して——
ほかに何があった、お前が苦しんだことで、
俺が悪い手をひとつも貸していないことなど?
父親の手を手に入れるためいかさまを打ち、
そして、手に入れると、人目を避けて
大笑いして心臓が裂けそうだった——
壁の割れ目からのぞいてやった
手の代わりに、息子二人の首を、受け取ったところを。
涙を見て、腹の底から笑った、
俺の両目もあいつ同様雨になったほどさ——
皇后にその遊びを話してやると、
あの女は面白い話に気を失いかけて、
知らせの礼に二十回口づけをくれた。
第一のゴート人何だ、それほどのことを話して、赤くもならないのか?
エアロンああ、言うだろう、黒犬は赤くならぬとな。
ルーシアスこんな恐ろしい悪事を悔やまぬのか?
エアロン悔やむさ、もう千回やらなかったことを。
今でも呪うぞあの日を——もっとも、思うに、
俺の呪いに引っかかる日はほとんどなかろうが——
何かとびきりの悪事をしなかった日を、
たとえば人を殺すとか、死ぬように仕組むとか、
娘を犯すとか、その手はずを考えるとか、
無実の者を訴えて偽りの誓いを立てるとか、
友人同士を殺し合うほどいがみ合わせるとか、
貧乏人の家畜の首を折らせるとか。
夜に納屋や干し草の山へ火をつけ、
持ち主に涙で消せと言ってやるとか。
何度も死人を墓から掘り出し、
親しい者の戸口に立たせてやった、
悲しみがやっと薄れかけたころにな。
その皮に、木の皮に刻むように、
ナイフでローマの文字を刻んだ、
「俺は死んでも、お前の悲しみは死なせるな。」
ふん、恐ろしいことを千もやったぞ
ハエを一匹殺すように平気で、
心の底から残念なことは何もない
もう一万回できないことを除いてな。
ルーシアス悪魔を下ろせ。今すぐ絞首刑などという
甘い死なせ方をしてはならぬ。
エアロン悪魔がいるなら、俺も悪魔になりたい、
永遠の炎の中で生きて燃え続けたい、
お前らと地獄で一緒にいられるなら、
この辛辣な舌で苦しめてやるためにな!
ルーシアス者ども、口をふさげ、もうしゃべらせるな。
第三のゴート人閣下、ローマからの使者が参り
お目通りを願っております。
ルーシアスここへ通せ。
ルーシアスようこそ、エミリアス——ローマからどんな知らせだ?
エミリアスルーシアス殿、そしてゴートの諸侯、
ローマ皇帝が私を通して皆様にご挨拶を。
そして、皆様が兵を起こしたと知り、
お父上の家での会談をお望みです、
人質はご希望どおりにお求めくだされば、
すぐに差し出すとのことです。
第一のゴート人われらの将軍のお考えは?
ルーシアスエミリアス、皇帝からの人質を
父と叔父のマーカスに渡していただこう、
そうすれば出向く。進め。
