サターナイナス貴族たちよ、何たる侮辱だ。かつてローマで、
皇帝がこれほど抑えつけられ、
悩まされ、面と向かって逆らわれたことがあるか。それも、
万人へ等しく正義を行き渡らせたため、これほど蔑まれるとは。
貴族たちよ、おまえたちも、力ある神々も知っている。
平和を乱すこやつらが、民の耳元で、
何をぶんぶん吹き込もうと、起きたことはすべて、
法に従い、老アンドロニカスの
強情な息子たちへ下されたものだ。それなのに、
悲しみがあの男の理性を呑み込んだからといって、
われらが、こうして苦しめられねばならぬのか。
その八つ当たり、発作、狂乱、恨みに。
今度は救いを求め、天へ手紙を書いている。
見よ、これはユピテルへ、こちらはメルクリウスへ。
これはアポローンへ。こちらは軍神へ。
ローマの街路を飛び回る、何とも美しい巻物だ。
これは元老院への誹謗でなくて何だ。
われらの不正を、至る所で言い立てている。
見事な気晴らしではないか、貴族たちよ。
まるでローマに、正義など存在しないと言わんばかりだ。
だが、わたしが生きている限り、あの偽りの狂乱を、
こうした狼藉の隠れ蓑にはさせぬ。
あの男も一族も知るがよい。正義は、
健やかなサターナイナスの内に生きている。もし眠っているなら、
わたしが激しく目覚めさせ、正義の怒りによって、
生きる最も傲慢な陰謀者の首を刎ねさせてやる。
タモーラ慈悲深き陛下、愛しいサターナイナス、
わが命の主、わが思いを支配するお方。
お鎮まりになり、老いたタイタスの過ちをお許しください。
勇敢な息子たちを失った悲しみが、そうさせたのです。
その死は深く突き刺さり、心に傷を残しました。
この侮辱のため、身分の低い者から高い者まで、
追及なさるよりも、
苦境にあるあの人をお慰めください。
タモーラそう、こう振る舞ってこそ、
才知に富むタモーラ。誰にでも取り入るものだ。
だがタイタス、おまえの急所は、もう深くえぐった。
命の血を流しきるほどに。今、エアロンが賢く立ち回っていれば、
何もかも安全、錨は港へ着いている。
タモーラどうした、よい男よ。われらに話があるのか。
田舎者へえ、もし、あなたさまが皇帝さまでいらっしゃるなら。
タモーラわたしは皇后だが、あちらに座るのが皇帝だ。
田舎者あのお方ですか。神さまと聖ステファノさまが、よい夕べをくださいますように。お手紙と、鳩を二羽お持ちしました。
サターナイナスこいつを連れて行き、今すぐ絞首刑にしろ。
田舎者褒美は、いくらいただけるんで。
タモーラ来い、おまえは首を吊られるのだ。
田舎者首吊りですって。聖母さまにかけて、この首をずいぶん立派な結末まで育てたものだ。
サターナイナス悪意に満ちた、耐えがたい侮辱だ。
この途方もない悪行を、耐え忍べというのか。
この企みが、どこから出たかはわかっている。
こんなことが許されるのか。まるであの男の裏切り者の息子たちが、
わが弟を殺したため、法に従って死んだのではなく、
わたしの手で、不当に虐殺されたとでもいうように。
行け、あの悪党の髪をつかみ、ここへ引きずって来い。
老齢も名誉も、特権にはならぬ。
この傲慢な嘲りへの報いに、わたしがおまえを殺してやる。
狡猾に狂気を装う哀れな男め。わたしを高みに上げる手助けをしたのも、
自分がローマとわたしを治められると、期待したからだろう。
サターナイナスエミリアス、何の知らせだ。
エミリアス武器を、武器をお取りください、陛下。ローマに、これほど必要な時はありません。
ゴート人が軍勢を集めました。略奪を決意した、
覚悟の固い男たちからなる、
強大な軍が、こちらへ急進しています。率いるのは、
老アンドロニカスの息子、ルーシアス。
この復讐の進軍で、かつてコリオレイナスが行ったほどのことを、
やってのけると脅しています。
サターナイナス勇猛なルーシアスが、ゴート軍の将軍だと。
この知らせに霜で摘まれ、頭を垂れる。
霜に打たれた花、嵐になぎ倒された草のように。
ああ、いよいよ悲しみが、われらへ近づき始めた。
民衆が、あれほど深く愛している男だ。
わたし自身、何度も耳にした。
私人のような姿で街を歩いたとき、民が言っていた。
ルーシアスの追放は不当だったと。
ルーシアスが皇帝ならよかったと、願っていた。
タモーラなぜ恐れるのです。都の守りは強固ではありませんか。
サターナイナスそうだが、市民はルーシアスを支持している。
わたしへ反旗を翻し、あの男を助けるだろう。
タモーラ王よ、その名にふさわしく、思いも威厳に満ちたものに。
羽虫が飛んだからと、太陽が暗くなるでしょうか。
鷲は小鳥がさえずるに任せ、
その声が何を意味するかなど気に留めません。
自らの翼の影ひとつで、
好きなとき、その歌を止められると知っているからです。
あなたも同じく、浮ついたローマの民を扱えばよいのです。
ですから心を奮い立たせて。皇帝よ、よくお聞きください。
わたしが老アンドロニカスへ魔法をかけましょう。
魚に与える餌よりも、羊に与える蜜草よりも、
なお甘く、それでいて危険な言葉によって。
魚は餌の針で傷つき、
羊は甘美な餌で内から腐るのです。
サターナイナスだが、あの男は、われらのため息子へ頼みはしまい。
タモーラタモーラが頼めば、そうするでしょう。
黄金の約束で、老いた耳を滑らかに満たしてみせます。
その心がほとんど攻め落とせず、
老いた耳が聞こえなくとも、
耳も心も、わたしの舌に従わせてみせましょう。
タモーラ先に行き、われらの使節となりなさい。
皇帝が勇猛なルーシアスへ、会談を求めていると伝え、
会見の場所は、
父である老アンドロニカスの家に定めるのです。
サターナイナスエミリアス、この伝言を、礼を尽くして果たせ。
安全のため人質を求めるなら、
何でも望みどおりの保証を要求せよと伝えよ。
エミリアスご命令は、必ずやり遂げます。
タモーラさあ、わたしは老アンドロニカスのもとへ行き、
持てる限りの術を尽くして、あの男を操り、
高慢なルーシアスを、好戦的なゴート人から引き離しましょう。
愛しい皇帝よ、もう一度お心を明るくし、
すべての恐れを、わたしの策の中へ埋めてください。
サターナイナスならば首尾よく行き、あの男を説き伏せてくれ。
