第一の給仕いったい何を持ってきたんだ。しなび林檎か。サー・ジョンはしなび林檎が我慢ならないって知ってるだろう。
第二の給仕まったく、お前の言うとおりだ。前に王子が、しなび林檎を一皿あの人の前へ置いて、サー・ジョンがあと五人いると言ったんだ。それから帽子を脱いで、「では、この六人の乾いた、丸い、老いた、しなびた騎士殿にお別れを」と言った。あの人は腹の底から怒ったよ。もう忘れたけどな。
第一の給仕なら食卓を整えて、それを置け。それからスニークの楽団を捜してこい。ティアシートさんが音楽を聞きたがっている。急げよ。夕食を取った部屋は暑すぎるから、すぐこっちへ来るぞ。
第二の給仕おい、もうじき王子とポインズ殿が来る。この二人が、おれたちの革上着と前掛けを着るんだ。サー・ジョンには内緒だぞ。バードルフが知らせてきた。
第一の給仕まったく、ここは祭り騒ぎになるぞ。飛び切りの策略だ。
第二の給仕スニークを捜してみる。
女将ねえ、あなた、今は飛び切りよい気質加減に見えますよ。脈々も、心の望むとおり素晴らしく打っています。顔色だって、請け合うけど、どんな薔薇にも負けない赤さです、本当にね。でも本当のところ、カナリア酒を飲みすぎましたね。あれは驚くほど奥まで探り込む酒で、「これは何」と言う間もなく血に香りをつけてしまいます。今の具合はどうです。
ドルさっきよりまし。えへん。
女将それなら結構。元気な心は金にも値します。ほら、サー・ジョンが来ましたよ。
フォールスタッフ「アーサーが初めて宮廷に――」
便器を空にしろ。
フォールスタッフ「立派な王であったころ」
どうした、ドル殿。
女将凪の病です。ええ、本当に。
フォールスタッフあの女の宗派は皆そうだ。いったん凪になれば病気になる。
ドルこの泥まみれの悪党。それがお前の慰めのすべてかい。
フォールスタッフ太った悪党を作るのはお前だ、ドル殿。
ドルわたしが作るって。大食いと病気が作るんだ。わたしじゃない。
フォールスタッフ料理人が大食いを作る手伝いをするなら、お前は病気を作る手伝いをする、ドル。お前からもらうのだ、ドル。お前からもらう。そこは認めろ、わが哀れな貞淑よ、認めろ。
ドルええ、愛しい人。わたしたちの鎖や宝石をね。
フォールスタッフ「お前たちの飾り針、真珠、留め金を」。勇ましく従軍するとは、足を引きずって戻ることだと知っているだろう。城壁の裂け目から、槍を勇ましく曲げて帰り、勇ましく外科医のもとへ行く。弾を込めた薬室へ、勇ましく突撃して――
ドル首を吊りな、この泥まみれの穴子。首を吊ってしまえ。
女将まったく、いつものやり方ですね。二人は会うたび、必ず何か不和を始めるんだから。本当に二人とも、乾いたトースト二枚みたいにリューマチっぽい。お互いの堅信礼が我慢できないんですね。いったい何なの。一人が我慢しなきゃなりません。それはあなたですよ。よく言うとおり、あなたのほうが弱い器、空っぽの器なんですから。
ドル弱くて空っぽの器に、こんな巨大で満杯の酒樽が支えられるものか。この腹にはボルドー酒を積んだ商船が丸ごと一艘入っている。船倉にこれほど詰め込んだ大船なんて見たことないよ。さあ、仲直りしてやるよ、ジャック。お前は戦へ行く。わたしが二度とお前に会えるかどうかなんて、気にする者は誰もいないからね。
第一の給仕旦那、旗手ピストルが下に来て、お話ししたいそうです。
ドルあの威張り散らす悪党なんか、首を吊ればいい。ここへ入れるんじゃないよ。イングランドで一番口汚い悪党なんだから。
女将威張り散らす人なら、ここへ入れちゃいけません。ええ、本当に。わたしはご近所の中で暮らしていかなきゃならないんです。乱暴者はお断り。わたしは一番立派な方々にも、よい名と評判で通っています。戸を閉めて。ここへ乱暴者は一人も入れません。これまで長く生きてきたのは、今になって乱暴を受けるためじゃありませんよ。お願いだから戸を閉めて。
フォールスタッフ聞け、女将。
女将どうかご自分をお鎮めください、サー・ジョン。ここへ乱暴者は入れません。
フォールスタッフ聞け。あれはわしの旗手だ。
女将まあまあ、サー・ジョン、何を言われても駄目です。あなたの乱暴旗手は、うちの戸をくぐれません。この前、ティジック親方という副官のところへ行ったんです。つい先週の水曜日のことですが、その方がわたしにこうおっしゃいました。ダム牧師もその場にいましたよ。「まったく、クイックリーさん」とおっしゃるんです。「クイックリーさん、礼儀正しい人だけを迎えなさい。というのも」とおっしゃって、「あなたは悪い評判だから」。そうおっしゃったのには、わけがあるんですよ。「あなたは正直な女で、評判もよい。だから、どんな客を迎えるか気をつけなさい。乱暴な仲間は迎えないように」とおっしゃったんです。ここへは誰も来ません。その方のお話を聞けば、ありがたくて拝みたくなりますよ。いいえ、乱暴者はお断りです。
フォールスタッフあれは乱暴者ではない、女将。まったく、おとなしい詐欺師だ。子犬の猟犬と同じくらい、優しく撫でてやれる。バーバリ種の牝鶏が少しでも逆らって羽を逆立てれば、そいつにすら威張れぬ男だ。給仕、呼んでこい。
女将詐欺師とおっしゃるんですか。わたしは正直な人も、詐欺師も、うちから締め出しはしません。でも乱暴は嫌いです、本当に。誰かが乱暴と言うだけで具合が悪くなる。皆さん、わたしがどれほど震えているか触ってみてください。ほら、ご覧なさい、請け合いますよ。
ドル本当に震えているね、女将。
女将そうでしょう。ええ、本当に、まるでポプラの葉です。乱暴者には耐えられません。
ピストル神がサー・ジョンをお守りくださいますように。
フォールスタッフよく来た、旗手ピストル。さあ、ピストル、このサック酒一杯をお前に装填する。女将めがけて発射せよ。
ピストルサー・ジョン、弾丸二発で、あの女めがけて発射いたそう。
フォールスタッフ女将はピストルでも撃ち抜けぬぞ。傷つけるのは難しい。
女将さあ、わたしは試験弾も弾丸も飲みませんよ。誰かを喜ばせるために、体によい分より多く飲むつもりはありません。
ピストルならばドロシー殿、お前に装填してくれよう。
ドルわたしに装填だって。お前なんか軽蔑するよ、この卑しい仲間。何だ、この貧しくて下劣で卑怯で、ずるをする、肌着もない男。失せな、この黴びた悪党、失せろ。わたしはお前の主人が食べる肉だ。
ピストル存じておりますぞ、ドロシー殿。
ドル失せろ、この掏摸野郎。この汚い樽栓め、失せろ。この酒にかけて、お前が生意気な烏賊みたいにかかってくるなら、その黴びた顎へ短刀を突き立てるよ。失せろ、この瓶入り安酒の悪党。籠柄の古びた手品師め。いったいいつから騎士様になったんだい。その肩に紐を二本つけただけで。大したものだね。
ピストル神よ、これへの報いに、その襞襟を切り裂かぬなら、わが命をお取りください。
フォールスタッフもうよせ、ピストル。ここで暴発されては困る。われらの仲間から、お前自身を発射して出ていけ、ピストル。
女将いけません、ピストル大尉。ここでは駄目です、愛しい大尉。
ドル大尉だって。この忌まわしい、呪われた詐欺師。大尉と呼ばれて恥ずかしくないのか。大尉たちがわたしと同じ考えなら、その名を自分で勝ち取る前に名乗ったお前を、指揮棒で追い出すだろうよ。お前が大尉だって。この奴隷、何をした大尉だ。売春宿で哀れな売女の襞襟を引き裂いた大尉か。こいつが大尉だって。首を吊れ、この悪党。こいつは黴びた煮プルーンと、乾いた菓子で食いつないでいる。大尉だって。まったく、こんな悪党どものせいで、大尉という言葉も「営む」と同じくらい嫌な言葉になるよ。営むだって、悪い仲間とつきあう前は飛び切りよい言葉だった。だから本物の大尉たちは用心したほうがいい。
バードルフ頼むから下へ行け、旗手殿。
フォールスタッフこちらへ来い、ドル殿。
ピストル行かぬ。なあ、バードルフ伍長、あの女を引き裂いてやりたい。必ず復讐してやる。
小姓お願いだから下へ行ってください。
ピストルまずあの女が地獄へ落ちるのを見てやる。この手にかけて、プルートーの呪われた湖へ、冥府の底へ、エレボスと忌まわしい拷問のもとへ。鉤と糸を構えろ、と俺は言う。伏せろ、伏せろ、犬ども。伏せろ、裏切り者め。ここにハイレンはいないのか。
女将よいピースル大尉、静かにしてください。本当にもう夜も遅いんです。お願いですから、どうかその癇癪を悪化してください。
ピストルなるほど、これぞよきご機嫌だ。
荷駄馬どもや、アジアの腹だけ膨れた
空っぽの駄馬ども、一日三十マイルしか進めぬ奴らが、
カエサルたちや、食人族たちや、
トロイアのギリシア人と肩を並べるだと。いや、むしろ
ケルベロス王もろとも呪われろ。天空よ、轟け。
つまらぬ物のために、われらは仲間割れするのか。
女将まったく、大尉、とても苦いお言葉です。
バードルフ行ってくれ、旗手殿。このままではすぐ乱闘になる。
ピストル人は犬のように死ね。王冠など針のようにくれてやれ。ここにハイレンはいないのか。
女将本当に大尉、そんな人はここにいません。いったい何なの。いるのに隠したりすると思いますか。神にかけて、静かにしてください。
ピストルならば食らって肥えよ、わが美しきカリポリス。
さあ、サック酒をくれ。
「運命われを苦しめど、希望われを慰む」
一斉砲撃を恐れるか。否、悪魔よ火を放て。
サック酒をくれ。愛しい者よ、お前はそこに寝ろ。
ピストルここまで句点を並べたのに、その他もろもろは何でもないのか。
フォールスタッフピストル、静かにしてもらいたい。
ピストル愛しい騎士よ、その拳に口づけよう。何と、われらは北斗七星を見た仲ではないか。
ドル神にかけて、そいつを階段から突き落として。この大袈裟な言葉を着た悪党には耐えられない。
ピストル俺を階段から突き落とすだと。われらはギャロウェイ産の駄馬を知らぬとでもいうのか。
フォールスタッフバードルフ、押し銭遊びのシリングみたいに、奴を投げ落とせ。いや、奴が無意味なことをしゃべる以外に何もしないなら、ここでは奴も無になるぞ。
バードルフさあ、階段を下りろ。
ピストル何だ。切開するのか、血に染まるのか。
ピストルならば死よ、俺を揺すって眠らせ、悲しき日々を縮めよ。
ならば痛ましく、恐ろしく、ぱっくり開いた傷口が、
運命の三女神をほどいてしまえ。来い、アトロポス、と俺は言う。
女将まあ、何と立派な騒ぎが始まるんでしょう。
フォールスタッフ小僧、わしの細身の剣をよこせ。
ドルお願い、ジャック、お願いだから抜かないで。
フォールスタッフ階段を下りろ。
女将まあ何という大騒ぎ。こんな震えや恐ろしい目に遭うくらいなら、宿屋なんて金輪際やめますよ。ほら、今度はきっと人殺しです。ああ、ああ、裸の武器をしまって、裸の武器をしまってください。
ドルお願い、ジャック、静かにして。あの悪党は行ったよ。ああ、この売女の息子の、小さな勇ましい悪党め。
女将股のところを怪我していませんか。お腹へひどい突きを繰り出したように見えましたよ。
フォールスタッフ戸の外へ追い出したか。
バードルフはい、旦那。あの悪党は酔っています。旦那が肩を傷つけました。
フォールスタッフあの悪党め。わしに刃向かうとは。
ドルああ、この愛しい小悪党め。まあ、哀れな猿、こんなに汗をかいて。さあ、顔を拭いてあげる。おいで、この売女の息子の頬っぺため。ああ、悪党。まったく、愛しているよ。お前はトロイアのヘクトールほど勇ましく、アガメムノン五人分の値打ちがあり、九偉人の十倍立派だ。ああ、この悪党め。
フォールスタッフ卑しい奴隷め。あの悪党を毛布に載せて、放り上げてやる。
ドル勇気があるなら、やってみな。そんなことをしたら、わたしがお前を二枚のシーツに挟んで、放り上げてやるよ。
小姓楽師が来ました、旦那。
フォールスタッフ演奏させろ。さあ、皆の衆、演奏を。ドル、わしの膝に座れ。威張るだけの卑しい奴隷め。あの悪党、わしから水銀みたいに逃げていったぞ。
ドルまったく、お前は教会みたいな足取りで追いかけたね。この売女の息子の、小さくて小綺麗な聖バーソロミュー祭の子豚め。いつになったら昼の喧嘩と、夜の突き合いをやめ、天国へ行けるよう古びた体を繕い始めるんだい。
フォールスタッフよせ、かわいいドル。しゃれこうべみたいな物言いをするな。わしに自分の最期を思い出させるな。
ドルねえ、王子はどんなご機嫌なんだい。
フォールスタッフ人のよい浅はかな若者だ。立派なパン係になっただろう。うまくパンを薄切りにしたはずだ。
ドルポインズは頭が切れるって聞くよ。
フォールスタッフあれが頭の切れる男だと。首を吊れ、狒狒め。奴の知恵はテュークスベリーの芥子みたいにどろどろだ。木槌の中ほども機知がない。
ドルでは、どうして王子はあんなに好きなんだい。
フォールスタッフ二人の脚が同じ太さだからだ。それから、輪投げがうまい、穴子を茴香と一緒に食う、燃えた蝋燭の端を酒から取り出して飲み込む、若者たちと暴れ馬遊びをする、組み立て椅子へ飛び乗る、優雅に悪態をつく、脚の看板みたいにつるつるの長靴を履く、思慮深い話をして喧嘩を起こしたりしない。ほかにも、弱い頭と丈夫な体を示す道化の才能があるので、王子は奴を仲間にしている。王子自身も同じようなものだ。二人の常衡の重さを比べれば、髪一本で天秤が傾く。
ヘンリー王子この車輪の中心め、耳を切り落とされてもよいと思わぬか。
ポインズあの売女の前で、殴ってやりましょう。
ヘンリー王子見ろ。あの枯れた老木、鸚鵡みたいに頭を掻いてもらっているぞ。
ポインズ欲望が、行う力より、これほど長い年月を生き延びるとは不思議ではありませんか。
フォールスタッフ口づけしてくれ、ドル。
ヘンリー王子今年は土星と金星が合になるのか。暦には何と書いてある。
ポインズそれに見てください。あの男の従者、火の三角宮が、主人の古い書板、覚え書き、秘密の相談相手に、舌足らずで語りかけています。
フォールスタッフお前はお世辞たっぷりの口づけをくれるな。
ドルまったく、これ以上ないほど変わらぬ心で、お前に口づけしているよ。
フォールスタッフわしは年寄りだ、年寄りなのだ。
ドルあんな碌でもない若造どもの誰より、お前が好きだよ。
フォールスタッフどんな生地の上着が欲しい。木曜日に金が入る。明日には帽子をやろう。さあ、陽気な歌を。夜も更けてきた。寝床へ行こう。わしがいなくなれば、お前は忘れるだろう。
ドルまったく、そんなことを言ったら泣いてしまうよ。お前が戻るまで、わたしがおめかしをするかどうか見ているがいい。さあ、歌の終わりを聞こう。
フォールスタッフフランシス、サック酒を。
ヘンリー王子、ポインズただいま、ただいま、旦那様。
フォールスタッフおや、王の私生児ではないか。お前は、その兄弟のポインズではないのか。
ヘンリー王子この罪深い大陸を詰め込んだ地球め。何という暮らしをしているのだ。
フォールスタッフお前よりましだ。わしは紳士、お前は給仕だ。
ヘンリー王子まさしくそのとおりです、旦那。そこで、あなたの耳を引いて、ここからお引き出しに来ました。
女将ああ、主が立派な殿下をお守りくださいますように。まったく、ロンドンへようこそお帰りくださいました。どうか主が、その愛らしいお顔をお恵みくださいますように。ああ、イエス様、ウェールズからお帰りになったんですか。
フォールスタッフこの売女の息子の、王威と狂気を混ぜ合わせたものめ。この白い肉と腐った血にかけて、よく戻ったな。
ドル何だって、この太った馬鹿。お前なんか軽蔑するよ。
ポインズ殿下、怒りの熱いうちにお始めにならなければ、奴は殿下を復讐からそらし、すべて笑い事にしてしまいます。
ヘンリー王子この売女の息子の蝋燭鉱山め。たった今、この正直で貞淑で礼儀正しいご婦人の前で、何と卑しく私を語ったことか。
女将神がお優しいお心をお恵みくださいますように。まったく、この方はそのとおりです。
フォールスタッフ聞いていたのか。
ヘンリー王子ああ。そしてお前は、ガッズヒルから逃げたときと同じように、私だと知っていたのだろう。私が後ろにいると知って、わざと私の忍耐を試すために言ったのだ。
フォールスタッフ違う、違う、違う。そうではない。お前が聞こえるところにいるとは思わなかった。
ヘンリー王子ならば、わざと侮辱したと認めるところまで追い込もう。そうすれば、お前の扱い方がわかる。
フォールスタッフ侮辱ではない、ハル。わが名誉にかけて、侮辱ではない。
ヘンリー王子私をけなし、パン係だの、パン切りだの、わけのわからぬものと呼ぶのが、侮辱でないと。
フォールスタッフ侮辱ではない、ハル。
ポインズ侮辱ではないだと。
フォールスタッフ世にあるどんな侮辱でもない、ネッド。正直者のネッド、まるで違う。わしは悪人たちの前で、あの男をけなした。悪人たちがあの男に惚れぬようにな。そうすることで、心を配る友と忠実な臣下の務めを果たした。お前の父上は、わしに礼を言うべきだ。侮辱ではないぞ、ハル。何もない、ネッド、何も。まったく、お前たち、何もない。
ヘンリー王子見てみろ。純粋な恐怖と徹底した臆病のせいで、我々と話を合わせるため、この貞淑なご婦人を悪人呼ばわりしているではないか。この女が悪人なのか。ここの女将が悪人なのか。お前の小僧が悪人なのか。それとも、信仰の熱が鼻で燃える正直者バードルフが悪人なのか。
ポインズ答えろ、この枯れた楡の木。答えろ。
フォールスタッフ悪魔はバードルフの名を救いようなしと帳面につけた。あの顔はルシファーの私用台所だ。そこで麦酒虫ばかりを焼いている。小僧のほうには、善い天使がついている。だが悪魔が、もっと高い値をつけて競り落とす。
ヘンリー王子女たちは。
フォールスタッフ一人はもう地獄にいて、哀れな魂どもを焼いている。もう一人には金を借りている。そのせいであの女が地獄へ落ちるかどうか、わしにはわからん。
女将いいえ、落ちませんとも。
フォールスタッフああ、わしもお前は落ちぬと思う。その件は無罪放免だと思う。だが別の起訴があるぞ。法に背き、そなたの店で肉を食わせた罪だ。そのために、お前は地獄で泣きわめくだろう。
女将食べ物屋なら、みんなそうしています。四旬節じゅうに羊肉の脚を一つか二つ出したくらい、何だというんです。
ヘンリー王子そこのご婦人――
ドル殿下、何でしょう。
フォールスタッフ殿下の口は、肉体が反抗していることを言っておる。
女将誰があんなに大きく戸を叩いているんです。フランシス、戸を見ておくれ。
ヘンリー王子ピートー、どうした。知らせは。
ピートー殿下の父君、王はウェストミンスターにおられます。
北からは、弱り果てた早馬の使者が
二十人も来ています。ここへ来る途中、
わたしは十二人ほどの隊長たちに会い、追い越しました。
皆、帽子もかぶらず汗だくで、酒場という酒場の戸を叩き、
サー・ジョン・フォールスタッフを捜していました。
ヘンリー王子天にかけて、ポインズ、私はひどく自分を責めている。
反乱の嵐が、黒い蒸気を運ぶ
南風のように溶け始め、
武器もなくむき出しの我らの頭へ、雨となって
落ちようとする今、貴重な時を遊びで汚していたとは。
剣と外套をよこせ。フォールスタッフ、さらばだ。
フォールスタッフさて、今こそ今夜一番の甘い一口が来たというのに、味わわぬまま、ここを去らねばならん。
フォールスタッフまた戸を叩いているぞ。
フォールスタッフどうした。何事だ。
バードルフ旦那、すぐ宮廷へ行かねばなりません。隊長が十二人、戸口で待っています。
フォールスタッフおい、楽師たちへ金を払え。さらばだ、女将。さらば、ドル。愛しい女たち、わかっただろう。功績ある男が、どれほど求められるか。値打ちのない男は眠っていられるが、行動する男は呼び出されるのだ。さらばだ、よい女たち。早馬で送り出されるのでなければ、出発前にまた会おう。
ドル何も言えない。胸が今にも張り裂けそうで――ねえ、愛しいジャック、どうか自分を大事にして。
フォールスタッフさらば、さらば。
女将では、お元気で。莢豆の季節が来れば、あなたを知って二十九年。でも、あなたより正直で、心に偽りのない男は――では、お元気で。
バードルフティアシートさん。
女将何です。
バードルフティアシートさんに、主人のところへ来るよう伝えてくれ。
女将ああ、走って、ドル、走って。急いで、よいドル。さあ。
女将ほら、来るんでしょう、ドル。
