シンベリンここまでだ。では、さらば。
ルーシアス感謝します、王よ。
皇帝の書状により、ここを発たねばなりません。
あなたを我が主人の敵として報告せねばならぬことを、
心より残念に思います。
シンベリン我らの臣民は、閣下、
皇帝の軛に耐えぬ。我ら自身が
臣民より主権を小さく見せるなら、
王らしくないと見えるほかない。
ルーシアス承知しました。それでは、
陸路でミルフォード・ヘイヴンまで護衛を願います。
王妃様、あらゆる喜びがあなたへ訪れますよう!
王妃あなたにも!
シンベリン貴族たちよ、そなたらをその任に就ける。
名誉にかなう礼を、何一つ欠かすな。
ではさらばだ、高貴なルーシアス。
ルーシアスお手を、殿。
クロートン友として受け取れ。だが今この時より、
敵としてこの手を身に着ける。
ルーシアス殿、どちらが勝者となるか、
結末はまだ名を付けていない。ごきげんよう。
シンベリン善き貴族たちよ、高貴なルーシアスを離れるな、
セヴァーン川を渡るまでは。幸運を!
王妃眉をひそめて去ります。でも我らの名誉、
そうする理由を与えたのですから。
クロートンなおよい。
勇敢なブリテン人の願いが、そこに込められている。
シンベリンルーシアスはもう皇帝へ書き送った、
ここで事がどう進んだかを。それゆえ今こそ、
戦車と騎兵を備えるにふさわしい時だ。
彼がすでにガリアに持つ軍勢は、
すぐ集められ、その地から
ブリテンとの戦を起こすだろう。
王妃眠っていられる仕事ではありません。
素早く、力強く対処せねば。
シンベリンこうなるとの予想があったから、
我らは準備を進めてきた。だが、優しい王妃よ、
娘はどこだ? ローマ人の前に
姿を見せず、我らへも今日の
務めを差し出しに来なかった。あれは我らを、
孝行より悪意から作られた者のように見る。
我らは気づいていた。ここへ呼べ。
これまで寛容さを軽く使いすぎた。
王妃陛下、
ポステュマスが追放されて以来、あの子の暮らしは
ひどく引きこもったもの。その治療は、陛下、
時にしかできません。どうか陛下、
厳しいお言葉はお控えください。叱責には
あまりに繊細な子で、言葉は打撃、
打撃は死になるのです。
シンベリン娘はどこだ? この侮りへ
どう答えられる?
侍従陛下、
お部屋はすべて鍵が掛かり、どれほど大きな音を
立てても、返事はありません。
王妃陛下、最後にあの子を訪ねた時、
閉じこもることを許してほしいと頼まれました。
体の弱さからやむなく、
毎日陛下へ捧げるべき務めを
果たせないと。そのことを
お伝えしてほしいと言われました。でも、この大きな宮廷のせいで、
記憶を怠ってしまいました。
シンベリン扉に鍵?
近ごろ誰も見ていない? 天よ、恐れていることが
偽りと証明されますよう!
王妃息子よ、王のあとを追って。
クロートンあの女の男、ピザーニオ、昔からの召使いを、
この二日、俺は見ていない。
王妃行って、探して。
王妃ピザーニオ、あれほどポステュマスを支える男!
あの男は私の薬を持っている。どうか不在の理由が、
それを飲み込んだことですように。何より
貴い薬だと信じているから。でもあの子は、
どこへ行った? おそらく絶望に襲われたか、
あるいは愛の熱意に翼を得て、
望みのポステュマスのもとへ飛んだ。どちらにせよ
死か、不名誉へ向かった。我が目的は
どちらもうまく利用できる。あの子が倒れれば、
ブリテンの王冠を置く場所は、私が決める。
王妃どうしたの、息子よ!
クロートン逃げたのは確かです。
中へ入り、王を元気づけてください。荒れ狂い、誰も
そばへ近づけません。
王妃(傍白。)なお好都合。どうか
今夜が、来る朝より先に王を奪いますよう!
クロートン俺はあの女を愛し、憎む。美しく王族であり、
宮廷にふさわしいあらゆる資質を、どんな
貴婦人、貴婦人たち、女よりも精妙に備えているからだ。それぞれから
一番よいものを受け取り、それをすべて合わせた女は、
全員より高い値で売れる。だから愛する。だが
この俺を蔑み、卑しいポステュマスへ
愛顧を投げることが、あの女の判断をひどく中傷し、
ほかの稀な美点が息を詰まらせている。その一点で
俺はあの女を憎むと決める、いや実際、
復讐してやる。なぜなら、愚か者が
いざ——
クロートンそこにいるのは誰だ? 何だ、荷造りして逃げる気か、野郎?
こっちへ来い。ああ、見事な取り持ち屋め! 悪党、
お前の女主人はどこだ? 一言で答えろ。でなければ、
ただちに悪魔どものもとへ行くぞ。
ピザーニオああ、善き殿!
クロートンお前の女主人はどこだ? さもなくば、ジュピターにかけて——
二度は尋ねん。腹黒い悪党め、
お前の心臓からこの秘密を手に入れる、さもなくば
心臓を裂いて探し出す。あの女はポステュマスと一緒か?
あれほど多くの卑しさを量っても、
一ドラムの値打ちも取り出せぬ男と。
ピザーニオああ、殿、
どうしてあの方と一緒にいられましょう? いつ姿が消えたのです?
旦那様はローマにおられます。
クロートンどこだ、答えろ? もっと近くへ来い。
これ以上言葉につかえるな。徹底して俺を納得させろ、
あの女がどうなったかを。
ピザーニオああ、あらゆる尊さを備えた殿!
クロートンあらゆる尊さを備えた悪党め!
女主人の居場所をただちに明かせ、
次の言葉でだ。「尊い殿」はもういい!
話せ。さもなくば、その沈黙がただちに
有罪判決となり、お前の死になる。
ピザーニオでは、殿、
この紙に、あの方の逃亡について
私が知るすべての経緯が記されています。
クロートン見せろ。あの女を追いかけよう、
アウグストゥスの玉座までも。
ピザーニオ(傍白。)これを渡すか、死ぬかです。
姫様は十分遠くにいる。これを読んで知ることが、
この男の徒労となっても、姫様の危険にはなるまい。
クロートンふむ!
ピザーニオ(傍白。)旦那様へ、姫様は死んだと書こう。ああ、イモージェン、
どうか安全にさまよい、安全に戻られますよう!
クロートン野郎、この手紙は本物か?
ピザーニオ殿、そう思います。
クロートンポステュマスの筆跡だ。俺には分かる。野郎、お前が悪党ではなく、俺に誠実に仕えたいなら、俺が厳しい勤勉さをもってお前を使うに値する仕事を引き受けろ。つまり俺が命じるどんな悪事でも、まっすぐ誠実に果たすことだ。そうすれば、お前を正直者と思ってやる。暮らしを助ける俺の金も、昇進させる俺の口添えも、お前に欠けることはない。
ピザーニオ承知しました、善き殿。
クロートン俺に仕えるか? あの物乞いポステュマスの空っぽの運命へ、辛抱強く、変わらず付き従ってきたのだから、恩に報いる流れから言っても、俺の勤勉な従者にならぬはずはない。俺に仕えるか?
ピザーニオ殿、仕えます。
クロートン手を出せ。この財布をやる。前の主人の服を何か持っているか?
ピザーニオはい、殿、宿にございます。旦那様が姫様とお別れになった時に着ていた、まさにその服が。
クロートン俺にする最初の奉公だ、その服をここへ持ってこい。それを糸屑の奉公としろ。行け。
ピザーニオかしこまりました、殿。
クロートンミルフォード・ヘイヴンでお前に会うぞ! ——あいつに一つ尋ね忘れた。あとで思い出そう。——まさにそこで、悪党ポステュマス、お前を殺す。早くあの服が来ればいい。あの女は以前言った——その苦さを今、心臓からげっぷして吐き出す——ポステュマスの着ていた服そのものを、俺の高貴で生まれつき優れた体と、その才能の飾りを合わせたものより尊ぶ、と。その服を俺が背に着て、あの女を犯す。まずあいつを、女の目の前で殺す。そこで俺の武勇を見せる。それが女の蔑みへの責め苦になる。あいつを地面に倒し、死体へ侮辱の演説を終え、俺の欲望が食事を済ませたら——言ったとおり、あの女を苦しめるため、あれほど褒めた服で実行する——宮廷へ女を殴り返し、足で蹴って家へ戻す。あの女は喜々として俺を蔑んだ。俺も復讐を陽気に楽しもう。
クロートンそれがあの服か?
ピザーニオはい、高貴なる殿。
クロートンあの女がミルフォード・ヘイヴンへ向かってから、どれほど経つ?
ピザーニオまだ着いていないかもしれません。
クロートンこの服を俺の部屋へ運べ。それが二つ目の命令だ。三つ目は、俺の計画について自ら口の利けぬ者になること。従順にさえしていれば、本当の昇進が自らお前へ身を差し出す。俺の復讐は今、ミルフォードにいる。追いかける翼があれば! 来い、そして誠実でいろ。
ピザーニオあなたは、私が損することを命じる。あなたに誠実なら
私は偽ることになる。だが決して偽るまい、
誰より誠実な旦那様に対して。ミルフォードへ行き、
追いかけるあの方を見つけるな。降り注げ、降り注げ、
天の祝福よ、姫様へ! この愚か者の速さを
遅さで邪魔せよ。苦労だけが報酬となれ!
