イモージェンお前が港の岸まで伸びる木ならよかった、
そうすれば船という船に尋ねられたのに。あの人が手紙を書いても、
私が受け取れなければ、その紙は失われる、
差し伸べた慈悲が空しくなるように。あの人が最後に
お前へ言ったのは何?
ピザーニオ「我が王妃、我が王妃!」でございました。
イモージェンそれからハンカチを振った?
ピザーニオそして口づけなさいました、姫様。
イモージェン心のない布! それでも私より幸せだわ!
それで全部?
ピザーニオいいえ、姫様。それほど長く、
私がこの目か耳で
ほかの者と見分けられるかぎり、旦那様は
甲板に立ちつづけ、手袋、帽子、ハンカチを
絶えず振っておられました。胸を襲う思いの波を
身振りで精いっぱい表しておられたのです、魂はどれほど遅く
船出し、船はどれほど速く進むかを。
イモージェンあの人を烏ほど
小さく、いえ、もっと小さくしてから、あとを
目で追うのを諦めるべきだった。
ピザーニオ姫様、そのとおりにいたしました。
イモージェン私なら目の筋を引きちぎった。切れてもなお、
あの人を見つめていた。遠ざかる距離が
あの人を私の針の先ほど鋭く細くするまで。
いえ、その姿を追いつづけた、やがて
小さな羽虫から空気へ溶けてしまうまで。それからようやく
目をそらして泣いたでしょう。でも、ねえ、ピザーニオ、
いつあの人から便りが来る?
ピザーニオご安心を、姫様、
最初の機会に必ず。
イモージェン私はあの人に、
きちんと別れも告げられなかった、
とても素敵なことをたくさん言うはずだったのに。決まった時刻に
どんなことを、どんな思いであの人へ向けるか、話す前に。
イタリアの女たちには、私の権利もあの人の名誉も
裏切らせないと誓わせる前に。朝六時、
正午、真夜中には、祈りによって
私と会ってと命じる前に、その時、
私はあの人のため天国にいるのだから。あるいは、
二つの魔法の言葉の間へ用意した
別れの口づけを与える前に、父上が入ってきた、
暴君のように吹き荒れる北風さながら、
育ちかけた私たちの蕾をすべて散らしてしまった。
侍女姫様、王妃様が
おいでくださるようにとのことです。
イモージェン頼んだことを、すぐ片づけて。
私は王妃様のもとへ行きます。
ピザーニオかしこまりました、姫様。
