レオンティーズこの裁きの座は、深い悲しみとともに申し渡すが、
まさにわが心臓を突いてくる。裁かれる者は、
一国の王の娘にして、わが妻、しかも、
わしが深く愛しすぎた者なのだ。だが、暴君の誹りだけは
免れさせてもらおう。こうして公の場で、
正義の手続きを踏むのだからな。裁きは正当な道を進み、
有罪へなり、潔白の証へなり、行き着くであろう。
被告人を連れて参れ。
廷吏国王陛下の思し召しにより、王妃には、
御自らこの法廷へ出頭いただく。——静粛に。
レオンティーズ起訴状を読み上げよ。
廷吏(読み上げる。)「ハーミオニ。シチリア王、尊きレオンティーズの妃たる汝は、ここに大逆罪の廉により告発され、審理に付される。すなわち、ボヘミア王ポリクシニーズと姦通を犯し、かつカミローと共謀して、汝の夫たるわれらが君主、国王の命を奪おうと企てた。その企ての一端が状況により明るみに出るや、汝ハーミオニは、忠実な臣民の信義と忠誠に背き、両名がより安全に夜陰に乗じて逃亡できるよう、助言し、助力した。」
ハーミオニわたくしがこれから申し上げられることは、
この告発を否定する言葉のほかにはなく、
わたくしの側の証しといえば、
わたくし自身の口から出るものしかございません。それでは、「無罪です」と申し上げたところで、
ほとんど甲斐はないでしょう。わたくしの誠実は、
偽りと数えられているのですから、そう申し立てたところで、
そのように受け取られるだけのこと。ですが、これだけは——もし神々の力が、
人の行いを見ておられるのなら——見ておられるはずです——
わたくしは疑いません、無実は必ず、
偽りの告発を赤面させ、暴虐は、
忍耐の前に震えることになりましょう。あなた様は、誰よりもよくご存じのはず——
誰よりもご存じないふりをなさりたいでしょうが——わたくしのこれまでの生涯が、
今のわたくしの不幸せと同じだけ、慎ましく、貞淑で、真実であったことを。
それは、芝居の筋書きが、観客の心をつかもうと
どれほど巧みに作られ、演じられたところで、
及ばぬほどのものでございます。ご覧くださいまし、このわたくしを——
王の褥を分かち合い、王座の半ばを担う身、
大いなる王の娘であり、
末頼もしい王子の母であるこの身が、こうして立たされて、
命と名誉のために、聞きたい方はどなたでもどうぞという場で、
くだくだしく弁じ立てているのです。命について申せば、わたくしには、
悲しみと同じ重さのもの——どちらも御免こうむりたい。名誉について申せば、
それはわたくしから、わたくしの血を継ぐ者たちへ受け渡されるもの、
わたくしが守りたいのは、それだけでございます。あなた様ご自身の
良心に訴えます。ポリクシニーズ様が
この宮廷へおいでになる前、わたくしがどれほどご寵愛をいただいていたか、
それに値する身であったか。おいでになってからも、
どれほど道に外れた振る舞いをして、
このような姿でここに立つ羽目になったというのでしょう。名誉の垣根を
一寸でも越えたことがあるなら、行いにおいてであれ、
そちらへ傾いた心においてであれ、
これをお聞きの皆様の心が石になりますよう。そして、わたくしのいちばん近い血縁が、
わたくしの墓に唾を吐きかけますよう。
レオンティーズいまだかつて聞いたことがないぞ、
この手の大胆な悪徳が、やったことをぬけぬけと否認するときの面の皮が、
最初にやってのけたときより
薄かったなどとはな。
ハーミオニまことに、そのとおりでございましょう。
ただ、その言葉は、わたくしに向けられるべきものではございません。
レオンティーズ罪を認めぬ、というのだな。
ハーミオニ罪という名でわたくしに着せられるもののうち、
身に覚えのあること以上は、決して
認めるわけには参りません。ポリクシニーズ様について申せば——
共に告発されているあの方のことでございますが——白状いたします、
あの方を、名誉にかけてあの方が求められるとおりに、お慕い申しておりました。
わたくしのような身分の女にふさわしい、
そういう類の愛で、まさにその愛で、
それ以上でもそれ以外でもなく——あなた様御自身がお命じになった愛で。
それをしなかったなら、わたくしはかえって、
あなた様に対しても、あなた様の御友人に対しても、
不従順で恩知らずだったと存じます。あの方の愛は、
物心つく前から、幼子の頃から、あなた様のものだと、
包み隠さず語り続けてきたのですから。さて、共謀とやらについては、
どんな味のするものかも存じません、
わたくしに味見をさせようと、皿に盛られてはいるようですが。わたくしの知っていることといえば、
カミローが正直な人だったこと、それだけです。
なぜあの人が宮廷を去ったのかは、神々でさえ、
わたくしと同じほどにも、ご存じないのです。
レオンティーズおまえはあの男の出立を知っていた。あの男のいないあいだに
おまえが何を引き受けたかを、知っているのと同じようにな。
ハーミオニ陛下、
あなた様は、わたくしには分からぬ言葉をお話しです。
わたくしの命は、あなた様の夢想の的の上に据えられている——
その命、差し上げましょう。
レオンティーズおまえの行いが、わしの夢想だと。
おまえはポリクシニーズの落とし子を産んでおいて、
わしはそれを夢に見た、とでも言うのか。おまえは恥を捨てたように——
おまえの同類はみなそうだ——真実も捨てた。
それを否認したところで、益より咎が勝るだけよ。
おまえの餓鬼が、親なし子として捨てられたのはお似合いだが——
なるほど、あれの罪というより、
おまえの罪だな——おまえも同じように、
わしの正義を思い知るがいい。その裁きの、いちばん軽い通り道でも、
死より軽いものは期待するな。
ハーミオニ陛下、脅しはお納めください。
あなた様がわたくしを怯えさせようとなさるその化け物を、わたくしのほうから探しているのです。
わたくしにとって、命はもはや、何の値打ちもございません。
わたくしの命の冠であり、慰めであった、あなた様のご寵愛は、
もう失われたものと諦めております。失われたとは感じますが、
どうして失われたのかは分からぬままに。わたくしの二番目の歓び、
この体の初の実りであるあの子からは、
疫病病みのように引き離されました。三番目の慰めは、
まことに不運な星の下、この胸から——
罪のない乳を、罪のない口に含んだまま——
引き剥がされて、殺されに参りました。わたくし自身は、辻々の立て札で、
淫売と触れ回され、産後の女に許されるはずの休みも、
身分を問わず女という女に与えられるその権利も、
慎みを忘れた憎悪で奪われ、挙げ句の果てに、
体力も戻らぬうちに、この吹きさらしの場所へ、
引き立てられて参りました。さあ、陛下、
お聞かせください、わたくしがこの世で生きて、どんな幸いがあるでしょう、
死を恐れなければならないほどの。ですから、裁きをお進めください。
ですが、これだけはお聞きを。思い違いをなさいますな。命なら、
藁一本ほども惜しくはない。けれど名誉は——
それだけは晴らしとうございます。もしわたくしが、
憶測だけで断罪されるのなら——あなた様の嫉妬が呼び覚ました疑い以外、
すべての証拠が眠ったままだというのに——申し上げておきます、
それは苛烈というもの、法ではございません。皆々様、
わたくしは神託にすべてをお預けいたします。
アポロの神こそ、わたくしの裁き手。
貴族一そのお求めは、
まったくもって正当である。されば、アポロの御名において、
神託を持って参れ。
ハーミオニロシアの皇帝が、わたくしの父でした。
ああ、父が生きていて、ここで
娘の裁きを見ていてくれたなら。この惨めさの
底の底を、それでも、復讐ではなく、
憐れみの目で、見ていてくれたなら。
廷吏これより、この正義の剣にかけて誓っていただく。
クリオミニーズならびにダイオン、両名は
確かにデルフォスに赴き、かの地より、
封印された神託を、偉大なるアポロの神官の手から
直に受け取って持ち帰った。そしてそれ以来、
聖なる封印を破ることも、中の秘密を読むことも、
あえてしなかった、と。
クリオミニーズとダイオンすべて、そのとおり誓います。
レオンティーズ封印を破り、読み上げよ。
廷吏(読み上げる。)「ハーミオニは貞淑である。ポリクシニーズに咎はない。カミローは忠実な臣下である。レオンティーズは嫉妬深い暴君である。罪なき赤子は、まことに王の胤である。そして、失われたものが見いだされぬ限り、王は世継ぎなくして生きるであろう。」
貴族たち今こそ祝福あれ、偉大なるアポロに。
ハーミオニ讃えられませ。
レオンティーズおまえの読んだものは、まことか。
廷吏はい、陛下。ここに記されてあるとおり、
一言一句違えずに。
レオンティーズその神託には、真実などかけらもない。
審理を続けよ。これはまったくの偽りである。
従者国王陛下、王子様が、王子様が。
レオンティーズ何ごとだ。
従者ああ、陛下、申し上げれば憎まれましょうが——
王子様が、ただただ王妃様の御身を案じ、恐れるあまり、
逝っておしまいになりました。
レオンティーズ何と。逝った、だと。
従者お亡くなりに。
レオンティーズアポロが怒っておられる。天そのものが、
わしの不正に打ちかかってくるのだ。
レオンティーズそこはどうした。
ポーライナこの知らせは、王妃様には命取り。ご覧なさいまし、
死神が何をしているかを、その目で。
レオンティーズあれを運び出せ。
心の臓が張り詰めすぎただけのこと、じきに気がつく。
わしは、おのれの疑いを信じすぎたのだ。
頼む、あれに、心を込めて、
息を吹き返す手当てをしてやってくれ。
レオンティーズアポロよ、赦したまえ、
御身の神託を穢した、わしの大それた不敬を。
ポリクシニーズとは和解しよう。
妃には、もう一度初めから求婚しよう。善良なカミローも呼び戻そう、
あの男こそ真実の人、慈悲の人と、公に触れよう。
わしは嫉妬に引きずられて、
血なまぐさい思いへ、復讐へと駆り立てられ、カミローを、
わが友ポリクシニーズを毒殺する
手先に選んだのだ。すぐにも実行されていたはずのところを、
カミローの善良な心が、わしの性急な命令を
遅らせてくれた。わしは、やらねば死、
やれば褒美と、脅しもし、そそのかしもしたのだがな。
あの男は、情け深さと名誉心に満ちて、
わが王家の客人に、わしのたくらみを打ち明け、
この国での身代を——皆も知るとおり、大きなものだったが——投げ捨てて、
先の見えぬ危難の数々へ、その身ひとつを委ねたのだ、
名誉のほかには何の財も持たずに。ああ、わしの錆の中で、
あの男はなんと光り輝くことか。あの男の敬虔が、
わしの行いを、なんと黒々と見せることか。
ポーライナああ、なんという日。
おお、この胴着の紐を切って。でないと、心臓が紐を叩き割って、
一緒に張り裂けてしまう。
貴族一どうなされた、その取り乱しようは。
ポーライナどんな責め苦を工夫して、暴君よ、わたくしにくださるのです。
車裂きですか。拷問台ですか。火あぶりですか。皮剥ぎですか。釜茹でですか、
鉛の釜、それとも油の釜。どんな古手の、あるいは新手の責め苦を
受ければよいのです、このわたくしの言葉は、一語一語が、
あなたの最悪の責め苦を味わうに値するのですから。あなたの暴虐が、
あなたの嫉妬と手を組んで——
男の子にもばかばかしい妄想、九つの女の子にも
青くさくてくだらない妄想と手を組んで——おお、何をしでかしたか、考えてごらんなさい、
そして、本当に気が狂れておしまいなさい、正真正銘の狂人に。これまでの
愚行の数々など、この最後のひと品の薬味にすぎないのだから。
ポリクシニーズ様を裏切ったことなど、何ほどでもない。
あれはただ、あなたが阿呆の上に、心の定まらぬ、
救いがたい恩知らずだと示しただけのこと。大したことでもない、
善良なカミローの名誉に毒を盛って、
王殺しをさせようとしたことも。みな、ささいな罪です、
そばに、もっと怪物じみたものが控えているのだから。生まれたばかりの姫を
鴉の餌にと投げ捨てたことも、わたくしは、
何ほどでもない、ささいなことに数えましょう——悪魔でさえ、
それをする前には、火の目から涙をこぼしたでしょうが。
また、直にあなたの咎とは申しません、若い王子様の死も——
あの気高い心が——幼い身にはあまりに気高いその思いが、
粗野で愚かな父親が、気品ある母君を辱めていると悟って、
張り裂けたのですが——これも、いいえ、
あなたへの答弁には求めません。けれど、最後のこれは——おお、皆様、
わたくしが申し上げたら、「ああ」とお泣きください。王妃様が、王妃様が、
この世でいちばん優しい、いとしいお方が、亡くなられました。そして、その天罰は、
まだ降ってこないのです。
貴族一天の神々よ、そればかりは。
ポーライナ亡くなられたと申し上げたのです。誓ってもいい。言葉でも誓いでも
足りぬなら、行って、その目で確かめてくるがいい。もしも
あの方の唇に、目に、色艶を、輝きを取り戻せるなら、
体の外に温もりを、内に息を戻せるなら、わたくしはあなたに仕えましょう、
神々に仕えるのと同じ心で。だが、おお、暴君よ、
これらのことを、悔いたりなさるな。あなたのどんな嘆きで
揺すったところで、動かせぬほど重い罪なのだから。だから、身を委ねるがいい、
絶望に、ただ絶望だけに。千の膝で、
一万年ひざまずき続け、裸で、断食して、
不毛の山の上、永遠に嵐の止まぬ
真冬に耐えたとしても、神々を動かして、
あなたのいるほうへ一瞥をくれさせることも、できはしないのだから。
レオンティーズ続けよ、続けてくれ。
どれほど言われても、言いすぎということはない。わしは、
すべての舌が、その持てる限りの苦い言葉で語るに値するのだ。
貴族一もう、それまでに。
事の次第がどうであれ、その物言いの大胆さは、
行きすぎというものだ。
ポーライナ申し訳ないことをいたしました。
わたくしは、おのれの犯した過ちは、それと知れば、
必ず悔います。ああ、わたくしは、女の浅はかさを、
あまりにさらけ出しました。陛下は、その気高い御心を
深く傷つけておられます。過ぎたこと、手の施しようのないことは、
悲しんでも仕方のないこと。わたくしの言葉のせいで、
お苦しみになりませんように。むしろ、お願いでございます、
罰してくださいまし、お忘れになるべきことを、
思い出させたこのわたくしを。さあ、わが君、
陛下、尊いお方、愚かな女をお赦しください。
王妃様にお寄せしたこの想いが——ほら、また愚かなことを——
もう王妃様のことは申しません、お子様がたのことも。
わたくし自身の夫のことも、思い出していただこうとは申しません、
あの人も失われた身ですが。あなた様は、ご辛抱をお抱きください、
わたくしは、もう何も申しません。
レオンティーズそなたの言葉は、良い言葉だった、
真実を語れば語るほどにな。そなたに憐れまれるより、
そのほうがずっと、ありがたく受け取れる。頼む、わしを、
妃と息子の亡骸のもとへ連れて行ってくれ。
ふたりには、ひとつの墓を建てよう。その墓石には、
ふたりの死の因を刻ませる、
わしの永遠の恥として。日に一度は、
ふたりの眠る礼拝堂を訪れ、そこで流す涙を、
わしの日々の務めとしよう。この体が、
その務めに耐えられる限り、いつまでも、
日ごと欠かさぬと誓う。さあ、案内してくれ、
この悲しみたちのもとへ。
