ルーシアス叔父上、ローマへ戻れという父の考えなら、
わたしも従うつもりです。
第一のゴート人われらの考えも、おまえと同じだ。どんな運命になろうとも。
ルーシアス叔父上、この野蛮なムーア人を、中へ連れて行ってください。
この貪欲な虎、呪われた悪魔を。
食べ物は何ひとつ与えず、鎖につないでおくのです。
皇后の前へ引き出されるまで。
あの女の汚らわしい行いを証言させるために。
そして味方を伏せた待ち伏せは、強固にしてください。
皇帝が、われらのためになることを考えているとは思えません。
エアロンどこかの悪魔よ、この耳へ呪いを囁き、
舌をけしかけてくれ。
膨れ上がる胸の、毒ある悪意を吐き出せるように。
ルーシアス去れ、人でなしの犬、神を知らぬ奴隷め。
皆、叔父上を助け、こいつを中へ運び込め。
ルーシアス喇叭の音だ。皇帝が近くまで来ている。
サターナイナス何だ、天空に太陽が二つ以上あるというのか。
ルーシアス自らを太陽と呼んで、おまえに何の得がある。
マーカスローマ皇帝、そして甥よ、言い争いはやめよ。
この争いは、静かに話し合わねばならぬ。
心を尽くすタイタスが、誉れある結末のため、
用意した宴は整っている。
平和、愛、盟約、そしてローマの幸福のために。
どうか近くへ進み、それぞれの席へお着きください。
サターナイナスマーカス、そうしよう。
タイタスようこそ、慈悲深き陛下。恐るべき皇后よ、ようこそ。
勇猛なゴート人たちよ、ようこそ。ルーシアス、ようこそ。
そして皆、ようこそ。粗末な料理ではあるが、
腹は満たせよう。どうぞ召し上がってください。
サターナイナスなぜ、そのような姿をしている、アンドロニカス。
タイタスすべてに間違いがないよう、確かめたいからです。
陛下と皇后を、もてなすために。
タモーラ感謝している、善きアンドロニカス。
タイタスわが胸の内をご存じなら、なお感謝なさるでしょう。
皇帝陛下、ひとつお答えください。
軽率なウィルギニウスが、自らの右手で、
娘を殺したのは、正しい行いでしたか。
娘が力ずくで汚され、貞節を奪われたために。
サターナイナス正しかった、アンドロニカス。
タイタス偉大なる陛下、その理由は。
サターナイナス娘が恥を背負ったまま生き残り、
その姿で、父親の悲しみを絶えず蘇らせぬためだ。
タイタス偉大で、力強く、確かな理由。
最も惨めなわたしも、同じことを行うための、
手本、先例、そして生きた保証となる。
死ね、死ね、ラヴィニア。恥も、おまえとともに死ね。
タイタスそしてその恥とともに、父の悲しみも死ね。
サターナイナス何ということをした。人の道に背く、情け知らずめ。
タイタスこの子を思い、涙を流し、目が見えなくなった。その娘を殺しました。
わたしはウィルギニウスと同じく、悲しみに満ちている。
そして彼より千倍も多く、
この非道を行う理由があった。そして今、やり終えた。
サターナイナス何だ、この娘は凌辱されたのか。誰がやったか言え。
タイタスお食べになりませんか。陛下、料理を召し上がっては。
タモーラなぜ、ただ一人の娘を、このように殺したのだ。
タイタスわたしではない。カイロンとディミートリアスだ。
二人がこの子を凌辱し、舌を切り落とした。
二人だ。あの二人こそが、この子へすべての不正を働いた。
サターナイナス二人を、今すぐここへ連れて来い。
タイタスほら、二人とも、あのパイの中へ焼き込まれている。
その母親が、さもおいしそうに食べたパイだ。
自ら産み育てた肉を、食べていたのだ。
本当だ、本当だ。このナイフの鋭い切っ先が証人だ。
サターナイナス死ね、狂った悪党。この呪われた行いの報いだ。
ルーシアス息子の目で、父が血を流す姿を見ていられるものか。
報いには報いを、死を招く行いには死を。
マーカス悲しみを顔に浮かべる者たち、ローマの民、ローマの子らよ。
騒乱によって引き離され、鳥の群れのように、
風と激しい嵐の突風で散り散りになった者たちよ。
ああ、もう一度、結び直す方法を、わたしに語らせてくれ。
散らばった穀物を、一つに束ねた穂の束へ。
引き裂かれた手足を、もう一度ひとつの体へ。
さもなくば、ローマは自らを滅ぼす毒となり、
力ある王国のすべてが頭を下げる、この国が、
見捨てられ、望みを失った漂流者のように、
恥ずべき刑を、自らへ下すことになる。
だが霜に覆われた、この老いの印と裂け目、
真の経験を語る、重みある証人でさえ、
わたしの言葉へ耳を傾けさせられぬのなら、
マーカスローマの愛する友よ、かつてわれらの祖先が語ったように、語れ。
恋に苦しむディードーの、悲しみに傾ける耳へ、
厳かな舌で、
破滅を招く、あの燃え上がる夜の物語を語ったように。
狡猾なギリシア人が、プリアモス王のトロイアを陥れた夜を。
どのシノーンが、われらの耳へ魔法をかけたのか、教えてくれ。
あるいは誰が、運命を決する仕掛けを中へ引き入れ、
われらのトロイア、われらのローマへ、内乱の傷を与えたのか。
わたしの心は、火打石や鋼で作られてはいない。
われらの苦い悲しみを、すべて語ることもできぬ。
あふれる涙が、わたしの言葉を溺れさせ、
声を途切れさせてしまうからだ。
皆を最も強く動かし、耳を傾けさせねばならぬ、そのときに。
皆の優しい憐れみを、借りねばならぬというのに。
ここに将軍がいる。この者に物語を語らせよう。
その言葉を聞けば、皆の胸は脈打ち、涙を流すだろう。
ルーシアスでは、気高き聴衆よ、次のことを知っていただきたい。
呪われたカイロンとディミートリアスこそ、
わが皇帝の弟を殺した者たちである。
そして、われらの妹を凌辱したのも二人だ。
その残忍な罪のため、われらの兄弟は首を刎ねられた。
父の涙は蔑まれ、卑劣な欺きによって、
誠実な手を奪われた。その手は、ローマの戦いを戦い抜き、
この国の敵を、墓へ送ってきた手だった。
最後には、このわたし自身も、心なく追放され、
門を閉ざされ、涙を流しながら外へ追いやられた。
ローマの敵の中で、助けを乞うために。
だが敵は、わたしの真実の涙へ、敵意を沈め、
両腕を開き、友として迎えてくれた。
皆に知っていただきたい。こうして追い出されたわたしこそ、
自らの血によって、ローマの幸福を守ってきた者だ。
この国の胸を狙う、敵の切っ先を払い、
冒険を恐れぬ、この身へ鋼を収めてきた。
ああ、ご存じのとおり、わたしは自慢をする者ではない。
この傷跡は、口を持たずとも、証言できる。
わたしの語ったことが、正しく、すべて真実であると。
だが待て。話が、あまりに逸れすぎたようだ。
価値もない自分の功を、並べ立ててしまった。ああ、お許しを。
友がそばにいないとき、人は自らを褒めるものだから。
マーカス今度は、わたしが話す番だ。この子をご覧いただきたい。
マーカスタモーラが産んだのは、この子だ。
神を畏れぬムーア人の子。
この悲惨な出来事を設計し、企てた張本人の子だ。
あの悪党は、タイタスの家で生きて捕らえられている。
その存在そのものが、これが真実だと証言している。
今こそ判断してほしい。タイタスには、どれほどの理由があったか。
口にすることもできず、忍耐の限界を越える、
生きるどんな人間にも耐えられぬ、この不正へ復讐する理由が。
今、真実を聞いた。ローマの民よ、どう答える。
われらが何か過ちを犯したなら、どこか示してくれ。
そうすれば、今、皆がわれらを見ている、この場所から、
アンドロニカス一族の哀れな生き残りは、
手に手を取り、真っ逆さまに身を投げよう。
ごつごつした石で、頭を打ち砕き、
一族をともに終わらせよう。
答えよ、ローマの民よ、答えてくれ。そうせよと言うなら、
見よ、手に手を取り、ルーシアスとわたしが落ちよう。
エミリアスさあ、さあ、尊敬すべきローマの人よ。
われらの皇帝の手を、優しく取って連れて来てください。
ルーシアスこそ、われらの皇帝。わたしには、よくわかる。
民の声は皆、そうなるべきだと叫んでいる。
一同ルーシアス万歳、ローマの王たる皇帝よ。
マーカス行け、老タイタスの悲しみに満ちた家へ行け。
マーカスそして神を信じぬムーア人を、ここへ引きずって来い。
恐ろしい、むごたらしい死を言い渡すために。
極悪な生涯への、罰として。
一同ルーシアス万歳、慈悲深きローマの統治者よ。
ルーシアス感謝する、善きローマの民よ。わたしが正しく治め、
ローマの傷を癒やし、その悲しみを拭い去れますように。
だが善き民よ、しばらく、わたしへ耳を傾けてくれ。
人の情が、わたしへ重い務めを課している。
皆、離れていてくれ。だが叔父上は、近くへ。
この亡骸へ、葬送の涙を流してください。
ああ、青ざめた冷たい唇へ、この温かな口づけを受けてください。
ルーシアス血に染まった顔へ、この悲しみの涙を。
気高い父へ捧げる、誠実な息子の最後の務めです。
マーカス涙には涙を、愛の口づけには口づけを。
弟マーカスが、その唇へ差し出します。
ああ、わたしが支払うべき、その数が、
数えきれず、無限であっても、すべて捧げよう。
ルーシアスこちらへおいで、坊や。さあ、さあ、われらから学び、
雨のように涙を流しなさい。祖父は、おまえを深く愛していた。
幾度も、ひざの上で踊らせ、
愛情深い胸を枕に、歌を聞かせ、眠らせた。
たくさんのことを、おまえへ話した。
幼いおまえに、ふさわしく、よく合う物語を。
だから愛する子らしく、
柔らかな泉から、今、わずかな雫を流しなさい。
優しい人の情が、そうすることを求めている。
友は悲しみと嘆きの中で、友と寄り添うもの。
祖父へ別れを告げ、墓へ委ねなさい。
その優しさを示し、別れを告げるのだ。
幼いルーシアスああ、おじいさま、おじいさま。心の底から、
ぼくが死んで、おじいさまが生き返ればよいのに。
ああ、涙で、おじいさまへ話しかけることもできません。
口を開けば、涙で息が詰まってしまいます。
エミリアス悲しみのアンドロニカス一族よ、もう嘆きは終わりに。
この呪うべき悪党へ、判決を下してください。
この恐ろしい出来事の数々を、生み出した者へ。
ルーシアス胸の深さまで土へ埋め、飢え死にさせよ。
その場に立たせ、喚き、食べ物を求めて叫ばせるのだ。
誰かが助け、あるいは憐れんだなら、
その罪によって死刑とする。これがわれらの判決だ。
何人か残り、地中へ固定されるまで見届けよ。
エアロンああ、なぜ憤怒が黙り、怒りが口を閉ざす必要がある。
わたしは赤子ではない。卑しい祈りを捧げ、
これまで行った悪を、悔いるような者ではない。
思いどおりにできるなら、これまでよりなお悪いことを、
一万でも、行ってやる。
生涯で、善い行いをひとつでもしたのなら、
そのことを、心の底から悔いている。
ルーシアス愛情深い友らよ、皇帝をここから運び、
父祖の墓へ葬ってくれ。
わが父とラヴィニアは、ただちに、
一族の墓所へ納める。
あの極悪な虎、タモーラには、
葬儀も、喪服を着る者も与えぬ。
悲しみの鐘が、その埋葬に鳴ることもない。
遺体を、獣と猛禽の餌として投げ捨てよ。
その生涯は獣のようで、憐れみを欠いていた。
ならば同じく、憐れみを欠く扱いを受けさせる。
呪われたムーア人、エアロンへ、正義が行われるのを見届けよ。
われらの重い災いは、あの男から始まった。
その後、国を正しく治め、
同じ出来事が、二度と国を滅ぼさぬようにしよう。
