第一貴族よい一日をお過ごしですか。
第二貴族あなたも。思うに、先日この高貴なお方は、われわれを試しただけなのでしょう。
第一貴族お会いした時、わたしもその考えをあれこれ追い回していました。ご友人を一人ずつ試された時に見せたほど、苦しい御境遇でなければよいのですが。
第二貴族こうしてまた宴を開かれるところを見ると、そんなはずはありません。
第一貴族わたしもそう思います。実に熱心なお招きをいただきましてね。差し迫った用事がいくつもあり、お断りしようとしたのですが、それ以上の熱意で来るよう誓わされ、こうして顔を出さずにはいられなかった。
第二貴族わたしも、しつこい仕事に首まで借りがあったのですが、言い訳を聞いてくださらなかった。先日わたしから借りたいと使いをよこされた時、あいにく持ち合わせを切らしていたのが残念です。
第一貴族わたしも、その悲しみで胸を病んでいますよ、事情をすべて知った今となっては。
第二貴族ここにいる誰もが同じです。あなたには、いくら借りたいと。
第一貴族千金です。
第二貴族千金も。
第一貴族あなたには。
第二貴族わたしのところへは、その、ほら、お見えになった。
タイモンお二人とも、心から歓迎しよう。御機嫌はいかがかな。
第一貴族閣下がお元気と伺えば、いつでも最高の気分です。
第二貴族燕が夏を追うよりも喜んで、われらは閣下をお慕いします。
タイモン(傍白。)冬から逃げる時も同じ熱心さだ。人間とは、そんな夏鳥よ。皆さん、長くお待たせした埋め合わせにはならぬ夕食だ。しばらく音楽を耳の御馳走にしてくれ、耳がラッパの荒い音でも食えるならな。すぐ食卓に着こう。
第一貴族先日、使いの者を手ぶらでお返ししたことを、閣下がまだ不人情とお思いでなければよいのですが。
タイモンいや、それで心を煩わせることはない。
第二貴族高貴なる閣下。
タイモンおお、わが善き友よ。御機嫌はいかがかな。
第二貴族尊い閣下、恥ずかしさで病みそうです。先日、閣下が使いをくださった時、運悪くわたし自身が一文なしだったとは。
タイモンもう考えるな。
第二貴族あと二時間早く、使いをくださっていれば。
タイモンもっと立派な思い出を、そんなことで塞がぬように。
タイモンさあ、全部まとめて運び込め。
第二貴族どの皿にも蓋がしてあるぞ。
第一貴族王侯のような御馳走に決まっている。
第三貴族金と季節で手に入るものなら、間違いない。
第一貴族御機嫌はいかがです。何か知らせは。
第三貴族アルシバイアディーズが追放された。聞きましたか。
第一・第二貴族アルシバイアディーズが追放。
第三貴族本当です、間違いありません。
第一貴族何だって。どうして。
第二貴族頼む、何があったのです。
タイモン大切な友人たちよ、こちらへ寄ってくれぬか。
第三貴族続きはあとで話そう。立派な宴が始まるぞ。
第二貴族やはり昔のままの御仁だ。
第三貴族続くのか。今度こそ続くのか。
第二貴族今はな。だが時がたてば、その、つまり。
第三貴族分かりました。
タイモン一人ずつ腰掛けへ。恋人の唇へ向かう時と同じ勢いでな。どこへ座ろうと食事はみな同じだ。上座を決めかねて料理が冷める、町の宴会にはするな。座れ、座れ。神々へ感謝を捧げよう。
偉大なる恩人の神々よ、この集いに感謝の心を振りかけたまえ。御自分の贈り物なのだから、御自分を褒めさせたまえ。ただし、まだ与える物は残しておけ、神であることを侮られぬために。誰も他人から借りずに済むだけ、一人一人へ貸したまえ。神々が人間から借りるようになれば、人間は神々を見捨てるだろう。食物を、それを与える人間より愛されるものにしたまえ。二十人の集まりには、二十人の悪党を欠かすな。女が十二人、食卓に座ったなら、十二人とも、あるがままの女にしておけ。神々への残りの謝礼、すなわちアテネの元老院議員どもと、のろのろ続く下々の民、その中の間違ったところはすべて、滅びにふさわしく仕立てたまえ。今ここにいる友人たちは、わたしにとって何ものでもない。ゆえに何一つ祝福せず、無の世界へ歓迎したまえ。
蓋を取れ、犬ども、舐めて飲め。
客の数人閣下は、どういうおつもりだ。
別の客分からぬ。
タイモンこれよりましな宴を、二度と目にするな、
口先だけの友が、ひと固まりになりおって。湯気と生ぬるい水こそ
おまえらにお似合いだ。これがタイモン最後の宴。
おまえらのお世辞を、飾り鋲や星のように全身へ打ちつけられた俺が、
それを洗い落とし、おまえらの顔へ振りかけてやる、
悪臭を放つ、おまえら自身の悪を。
タイモン嫌われたまま、長く生きろ、
満面の笑みを浮かべ、つるつるした、胸くそ悪い寄生虫ども、
礼儀正しい破壊者、人懐こい狼、おとなしい熊、
運命の道化、皿だけの友、時に群がる蠅、
帽子を取り、膝を折る奴隷、霞、刻々と向きを変える小人ども。
人と獣のありとあらゆる病が、
おまえらを残らず、かさぶただらけにしろ。何だ、もう行くのか。
待て。まず薬を飲め。おまえも、おまえも、おまえもだ。
止まれ、金を貸してやる。借りる必要はないぞ。
タイモン何だ、全員逃げ出すのか。これからは宴を開くな、
悪党が歓迎されぬ宴など、ひとつもな。
燃えろ、屋敷。沈め、アテネ。今より先、タイモンは
人間を、人の世すべてを憎む。
第一貴族どうした、皆さん。
第二貴族タイモン卿の怒りが、何からできているか知っているか。
第三貴族そんなことより、わたしの帽子を見なかったか。
第四貴族わたしは上着をなくした。
第一貴族ただの気違い殿だ、気まぐれだけで動いている。先日は宝石をくれたくせに、今日は帽子から叩き落とした。わたしの宝石を見なかったか。
第三貴族わたしの帽子を見なかったか。
第二貴族ここにある。
第四貴族わたしの上着も、ここに落ちている。
第一貴族ぐずぐずしてはいられぬ。
第二貴族タイモン卿は狂った。
第三貴族骨身にしみて分かる。
第四貴族昨日はダイヤをくれたのに、今日は石を投げてきた。
