ヘイスティングズ諸卿、さっそくですが、われらが集まったわけは、
戴冠式の日取りを決めることです。
神の御名において、ご発言を。晴れの日はいつにいたします?
バッキンガムその晴れの日の支度は、万事整っておりますか?
ダービー整っております。あとは日取りの指名を待つばかり。
イーリーそれでは明日が、めでたい日かと存じます。
バッキンガムこの件について、護国卿のお心を知る方は?
公爵と一番心安いのはどなたです?
イーリーあなた様こそ、真っ先にお心をご存じのはずでは。
バッキンガム誰、わたしがですか! 互いの顔なら知っていますがね、
心となると、あの方がわたしの心を知らぬことは、
わたしがあなたの心を知らぬのと同じ。
わたしがあの方の心を知らぬことも、あなたがわたしの心を知らぬのと同じです。
ヘイスティングズ卿、あなたとあの方は、愛し合う仲でしょう。
ヘイスティングズ公爵のご厚情はありがたく、わたしをよく愛してくださっているのは知っています。
だが、戴冠式についてのお考えは、
探りを入れたこともなければ、あの方から
ご意向を漏らされたこともありません。
しかし、諸卿、日取りは皆さんでお決めください。
公爵の代わりに、わたしが賛成の声を入れましょう。
あの方も、悪いようには取られぬと思いますので。
イーリーちょうどよいところへ、公爵ご自身のお出ましです。
グロスター諸卿も、従兄弟がたも、皆さんおはよう。
すっかり寝過ごしてしまいました。だが、
わたしの欠席のせいで、わたしがいれば決まっていたはずの
大事な議題が、後回しになってはいませんでしたかな。
バッキンガムきっかけの台詞どおりにお出ましにならなければ、閣下、
ウィリアム・ヘイスティングズ卿が、あなたの役を——
つまり、王の戴冠についてのあなたの一票を、代読なさるところでした。
グロスターヘイスティングズ卿ほど、その大役を任せられる方はない。
卿はわたしをよく知り、よく愛してくださっている。
ヘイスティングズありがとうございます、閣下。
グロスターイーリー主教どの!
イーリー何でございましょう?
グロスターこの前ホルボーンに参ったとき、
あなたのお庭で見事な苺を見かけました。
お願いだ、あれを少々取り寄せてくださらんか。
イーリーおやすいことで、閣下、喜んで。
グロスターバッキンガムの従兄弟どの、ちょっと話が。
グロスターケイツビーが例の件でヘイスティングズに探りを入れたが、
あの短気な御仁、カッカと熱くなりおって、
主君のご子息が——ご大層にも、そうお呼びしてな——
イングランドの王位を失うことに同意するくらいなら、
自分の首を失うほうを選ぶそうだ。
バッキンガムここをお出になっていてください、閣下。すぐ参ります。
ダービーこの祝典の日取りが、まだ決まっておりませんな。
明日というのは、わたしの考えでは急すぎる。
わたし自身、日延べしてもらえた場合ほどには、
支度が整っておりませんのでな。
イーリー護国卿はどちらへ? 例の苺なら、取り寄せの使いを出しましたが。
ヘイスティングズ今日の公爵は、晴れやかで穏やかなお顔をしておられる。
あんなに勢いよく朝の挨拶をなさるからには、
何かよほどお気に召したお考えがあるのでしょう。
キリスト教国広しといえども、あの方ほど
好き嫌いを隠せない人はいないと思いますよ。
顔を見れば、心はたちどころに分かるのですから。
ダービーそれで、今日のお顔からは、お心のどのあたりを
読み取られましたかな?
ヘイスティングズそれは、ここにいる誰にも腹を立てておられぬこと。
立てておられれば、顔つきに出ていたはずですから。
ダービーどうか、そのとおりでありますように。
グロスター皆に尋ねたい、教えてくれ、どんな報いがふさわしいか——
呪われた妖術の悪魔の企みで、わたしの命を狙い、
その地獄の呪いをもって、このわたしの体を
蝕んでのけた者どもには?
ヘイスティングズ閣下への深い敬愛のゆえに、
この気高い列席の中で真っ先に申し上げます、
下手人が誰であれ、断罪あるのみ。
申し上げます、閣下、その者どもは死に値します。
グロスターならば、その目でこの悪事の証人になってもらおう。
見ろ、このとおり呪いをかけられた。見るがいい、わたしの腕は
雷に打たれた若木のように、枯れしぼんでいる。
これぞエドワードの妻、あの怪物じみた魔女が、
あの淫売のあばずれショアとぐるになり、
妖術でわたしにつけた印なのだ。
ヘイスティングズもし、その者たちの仕業だとすれば、閣下——
グロスター「もし」だと! この呪われた淫売の庇い立て屋め、
わたしに向かって「もし」を並べるのか? おまえは裏切り者だ。
首を刎ねろ! 聖ポールに誓って言うぞ、
その首を見るまでは、食事はせん。
ラヴェル、ラトクリフ、しかと見届けろ。
その他の者は、わたしを愛するなら、立ってついて参れ。
ヘイスティングズああ、イングランドが哀れでならぬ! わたし自身は、露ほども。
迂闊なわたしは、これを防げたはずなのだ。
スタンリーは夢を見た、猪に兜を剃り落とされる夢を。
だがわたしは鼻で笑って、逃げるのを潔しとしなかった。
今日は三度も、飾り布をかけたわたしの馬がつまずいて、
ロンドン塔を見上げるなり、棒立ちになった。
屠殺場へわたしを乗せて行くのを、嫌がるかのように。
おお、今こそ、あのとき話しかけてきた司祭に来てほしい。
悔やまれるのは、従吏に話したことだ、
敵どもに勝ち誇るかのように、
連中がポンフレットで血まみれに屠られる、
わたし自身はご寵愛の内で安泰、などと。
おおマーガレット、マーガレット、今こそおまえの重い呪いが、
哀れなヘイスティングズの惨めな頭上に落ちてきた!
ラトクリフ急がれよ、卿。公爵は食事をお待ちかねだ。
懺悔は手短に。あの方は、あなたの首を見たがっておられる。
ヘイスティングズおお、人間のくれる束の間の恵みよ、
われらは神の恵みよりも、そちらを追い求める!
人の好意の顔色という空に望みを築く者は、
帆柱の上の酔いどれ水夫のようなもの、
船が一揺れするたびに、まっさかさま、
深海の死の腹の中へ落ちようとしている。
ラヴェルさあ、さあ、急がれよ。喚いたとて詮ないことだ。
ヘイスティングズおお、血まみれのリチャード! 惨めなイングランド!
おまえに予言してやる、みじめな時代がいまだかつて
目にしたこともない、恐怖の時が来るぞ。
さあ、断頭台へ連れて行け。あの男に、わたしの首を届けるがいい。
わたしに笑いかける者たちも、じきに死ぬ身なのだ。
