ボリングブルック私の放蕩息子の行方を、誰も教えられぬのか?
最後に顔を見てから、もう丸三月だ。
わが身に何か災厄が降りかかるなら、あれに違いない。
諸卿、どうか神よ、見つけ出させたまえ。
ロンドンを捜せ、あそこの酒場をくまなく、
毎日入り浸っているという、
歯止めの利かぬ放埒な仲間たちと。
そいつらは、狭い路地に立ちはだかり、
夜警を殴り、旅人から金品を奪う連中だという。
ところがあの若く、ふしだらで軟弱な息子は、
そんな無頼の一味を支えることを、
名誉の問題と心得ている。
パーシー陛下、二日ほど前に王子と会い、
オックスフォードで催される祝祭のことを話しました。
ボリングブルックあの伊達男は何と言った?
パーシー王子の答えは、娼家へ行き、
いちばん下賤な女から手袋を奪い、
その愛のしるしとして身につけ、それを掲げて、
最も勇ましい挑戦者を落馬させる、とのことでした。
ボリングブルック放埒なうえに無鉄砲。だがそのどちらの中にも、
よりよい望みの火花が見える。年を重ねれば、
幸いにも燃え上がるかもしれぬ。だが誰が来た?
オーマール王はどこにおられる?
ボリングブルック従弟はどうした、目を見開いて、
あれほど取り乱して?
オーマール神よ陛下を守りたまえ! 陛下、どうかお願いです、
お一人だけで、お話をさせてください。
ボリングブルック皆、下がれ、ここに二人だけを残せ。
ボリングブルック今度は従弟に何があった?
オーマールこの膝が永遠に地面に根を生やし、
舌が口の中で上顎に貼りつきますよう、
立つにも話すにも先立ち、お赦しをいただけなければ。
ボリングブルックその罪は企てただけか、すでに犯したのか?
前者なら、どれほど凶悪であろうと、
この先のお前の愛を得るため、赦してやる。
オーマールでは、私が鍵を掛けることをお許しください、
話し終えるまで、誰も入ってこられぬように。
ボリングブルック望みどおりにしろ。
ヨーク(中から。)陛下、ご用心を。お身をお守りください。
そこには目の前に逆賊がおります。
ボリングブルック悪党め、お前を無害にしてやる。
オーマール復讐の手をお止めください。恐れる理由はありません。
ヨーク(中から。)扉を開けてください、油断しきった無謀な王よ。
愛ゆえに、私が面と向かって偽りの謀反を申すとでも?
扉を開けねば、打ち破りますぞ。
ボリングブルック何事です、叔父上? 話してください。
息を整えて。危険がどこまで迫っているか教えてくれ、
それに立ち向かう武装ができるように。
ヨークここにあるこの書状を読めば、お分かりになります、
急いで来たため、口では明かせぬこの謀反が。
オーマールお読みになるとき、先ほどの約束をお忘れなく。
悔いております。そこに私の名を読まないでください。
私の心は、署名した手と共謀しておりません。
ヨークお前の手が書き記す前は、心も共謀していたのだ、悪党。
王よ、この逆賊の胸から私が引き裂きました。
悔悟を生んだのは恐れ、愛ではありません。
こいつを哀れむことをお忘れあれ、さもなくばその慈悲が
御心を刺す蛇となりましょう。
ボリングブルックおお、凶悪で、力強く、大胆な陰謀よ!
おお、裏切り者の息子を持つ忠義の父よ!
お前は清らかで、汚れなく、銀色に澄む泉、
そこから流れたこの小川は、泥の水路を
流れるうちに、おのれを汚した!
お前から溢れた善は、息子の中で悪へ変わり、
豊かすぎるお前の善良さが、
道を踏み外した息子の、この死の汚点を償うだろう。
ヨークでは私の徳が、あれの悪徳を取り持つ娼婦となります。
あれは自分の恥で、私の名誉を使い果たす、
放蕩息子が、爪に火をともして貯めた父の金を使うように。
あれの不名誉が死んでこそ、私の名誉は生きる。
さもなくば、あれの不名誉の中で、恥じた私の命が生きるだけ。
あれを生かせば、陛下は私を殺す。命を与えれば、
逆賊が生き、忠臣が死に追いやられます。
公爵夫人(中から。)陛下! 後生です、どうか中へ入れてください。
ボリングブルック甲高い声で、これほど必死に叫ぶ嘆願者は誰だ?
公爵夫人女です、偉大な王よ、あなたの叔母です。この私です。
私の話を聞き、哀れんで、扉を開けてください。
生まれて初めて物乞いをする女が、お願いしています。
ボリングブルックわれらの芝居は深刻な物語から姿を変え、
今や「物乞い女と王」になった。
危険な従弟よ、母上を中へ入れなさい。
お前の汚らわしい罪の赦しを乞いに来たのだろう。
ヨーク誰が祈ろうと、あれを赦されるなら、
この赦しで、さらなる罪が栄えるでしょう。
膿んだ関節を切り落とせば、残りは健やかでいられる。
これを残せば、残りすべてを滅ぼします。
公爵夫人おお、王よ、この薄情な男を信じないでください!
愛が自らの血を愛さぬなら、ほかの誰も愛せません。
ヨーク気の触れた女、お前は何をしに来た?
その老いた乳房で、もう一度逆賊を育てるつもりか?
公爵夫人優しいヨーク、辛抱して。慈悲深い陛下、私の話を聞いてください。
ボリングブルックお立ちください、叔母上。
公爵夫人まだです、どうかお願いです。
私は永遠に膝で歩き、
幸福な者が見る日の光を、決して見ません、
陛下が喜びをくださるまで、「喜べ」と言ってくださるまで、
罪を犯した息子ラトランドを赦してくださるまで。
オーマール母の祈りに添えて、私も膝を折ります。
ヨーク二人の願いに逆らい、忠義の膝を折ります。
少しでも慈悲を与えれば、御運は尽きますぞ!
公爵夫人この人は本気で願っているように見えます? あの顔を見て。
目から涙は一滴も落ちず、祈りは冗談。
あの人の言葉は口から、私たちの言葉は胸から出ます。
祈りも弱々しく、断られたいのです。
私たちは心も魂も、持てるものすべてで祈ります。
疲れたあの人の関節は、喜んで立ちたいのでしょう。
私たちの膝は、地面に根づくまで跪きます。
あの人の祈りは、偽りの欺瞞に満ち、
私たちの祈りは、真の熱意と深い誠に満ちています。
私たちの祈りが、あの人の祈りを祈り負かしたのです。ならば、
真の祈りが受けるべき慈悲を、私たちにください。
ボリングブルック叔母上、立ってください。
公爵夫人いいえ、「立ちなさい」と言わないで。
まず「赦す」、そのあとに「立ちなさい」と。
私があなたの乳母で、言葉を教えるのなら、
「赦す」が、あなたの口にする最初の言葉。
今まで、これほど一語を聞きたいと望んだことはない。
「赦す」と言って、王よ。慈悲に言い方を教わって。
短い言葉、でもその甘さほど短くはありません。
王の口に「赦す」ほど似合う言葉はありません。
ヨークフランス語で言われませ、王よ。「パルドネ・モワ」と。
公爵夫人「赦してくれ」と教えて、「赦す」の赦しを潰すの?
ああ、意地悪な夫、薄情な人、
言葉そのものを、同じ言葉にぶつけるなんて!
この国で通用する「赦す」と言ってください。
切り刻むようなフランス語は、私たちには分かりません。
あなたの目が語り始めた。その目に舌を添えて。
さもなくば、哀れみ深い心に耳を植えて、
私たちの嘆きと祈りがどれほど突き刺さるかを聞き、
哀れみに動かされ、「赦す」と繰り返してください。
ボリングブルック叔母上、立ってください。
公爵夫人立つことを願い出ているのではありません。
今手にした願いは、赦し、それだけです。
ボリングブルック神が私を赦されるように、私もあれを赦す。
公爵夫人おお、跪く膝が勝ち取った、幸せな利!
でもまだ不安で胸が悪い。もう一度言って。
「赦す」を二度言っても、二人を赦すことにはならず、
一人への赦しが強まるだけ。
ボリングブルック心の底から、
あれを赦す。
公爵夫人あなたは地上の神です。
ボリングブルックだが信頼厚き義弟殿と修道院長、
そして共謀した残りの一味には、
ただちに破滅が踵を追うだろう。
叔父上、いくつかの軍勢を整え、
オックスフォードへ、あるいは逆賊どものいる所へ送ってください。
奴らをこの世に生かしてはおかぬ、誓って、
一度居場所を知れば、必ず捕らえる。
叔父上、さらば。従弟も、さらばだ。
お前の母はよく祈った。その祈りに値する忠義を示せ。
公爵夫人さあ、古いままの息子よ。神がお前を新しくしてくださいますように。
