セリモンフィレモン、おい。
フィレモン旦那様、お呼びですか。
セリモンこの気の毒な人々に、火と食べ物を用意しろ。
荒れ狂う嵐の夜だった。
召使い嵐なら何度も経験しました。ですが今夜ほどの夜は、
今まで耐えたことがありません。
セリモンそなたが戻る前に、主人は亡くなるだろう。
自然の力へどんな薬を与えても、
回復させることはできぬ。
セリモンこれを薬師へ渡し、
どんな効き目があるか、知らせてくれ。
第一の紳士おはようございます。
第二の紳士閣下、おはようございます。
セリモンお二人とも、
なぜこんなに早く起きておられる。
第一の紳士閣下、
海辺の寒々しい場所に立つわれらの宿が、
大地の揺れるように震えたのです。
大梁まで裂けるかと思え、
何もかも崩れ落ちそうになった。まったくの驚きと恐怖で、
私は家を飛び出しました。
第二の紳士それで、これほど早くお邪魔したのです。
早起きな働き者だからではありません。
セリモンおお、よく分かる。
第一の紳士ですが閣下が、豊かな衣装をまといながら、
この早朝に、安息の黄金の眠りを
振り払われたことには、大いに驚きます。
実に珍しいことです。
強いられたわけでもないのに、自然の身が
これほど苦しみに親しく寄り添うとは。
セリモン私は常々、こう考えている。
徳と学識は、より大いなる天賦の才だ、と。
高貴な身分や富よりも。不注意な相続人なら、
後の二つを曇らせ、使い果たせる。
だが先の二つには不滅が伴い、
人を神にもする。知られているとおり、私は常に
医術を学んできた。その秘術により、
権威ある書物をひもとき、実地の経験と合わせ、
草木や、金属や、石のうちに宿る
恵み深い薬効を、私と私の助けに
なじみ深いものとしてきた。
自然が起こす異変についても語ることができる。
また、その治療についても。そこから得る、
真の喜びに即した満足は、
ぐらつく名誉を渇望したり、
愚か者と死を喜ばせるため、財宝を
絹の袋へ縛り込むことより、はるかに大きい。
第二の紳士閣下はエフェソス中へ慈善を注がれました。
幾百もの者が、あなたによって命を取り戻し、
自分はあなたの造った者だと名乗っています。
その知識、その身を削る骨折りだけではありません。
常に開かれた財布までもが、セリモン卿に
時も決して朽ちさせぬ、揺るぎない名声を築きました。
第一の召使いさあ、そこを持ち上げろ。
セリモンそれは何だ。
第一の召使い閣下、ほんの今しがた、海がこの櫃を
われらの浜へ投げ上げました。
どこかの難破船のものです。
セリモン下へ置け。見てみよう。
第二の紳士棺のようです、閣下。
セリモン何であれ、
驚くほど重い。すぐ、こじ開けろ。
海の胃袋に、金が詰まりすぎているのなら、
われらへ吐き出させたのは、運命の嬉しい強制だ。
第二の紳士そのようです、閣下。
セリモン何と隙間なく詰め物をし、瀝青を塗ってある。
本当に海が打ち上げたのか。
第一の召使いこれを浜へ投げたほど巨大な波は、
今まで見たことがありません、閣下。
セリモンこじ開けろ。
待て。私の鼻には、この上なく甘く香る。
第二の紳士妙なる香りです。
セリモンこれほどの香りが、鼻を打ったことはない。さあ、蓋を上げろ。
おお、全能の神々よ。これは何だ。亡骸ではないか。
第一の紳士何と不思議な。
セリモン王者の布に包まれ、香油を塗られ、
袋いっぱいの香料を、宝として添えられている。通行証まである。
アポロよ、この文字を正しく読ませたまえ。
セリモン「ここに、知るべきことを記す。
もしこの棺が、いつの日か陸へ流れ着いたなら、
王たる私ペリクリーズは、
世のすべての富にも勝る、この王妃を失った。
見つけた者は、王妃を葬ってほしい。
一国の王の娘であった。
謝礼として、この財宝を添えるほか、
神々が、その慈愛に報いたまえ」
ペリクリーズ、そなたが生きているなら、その心は
悲しみで、まさに張り裂けていよう。これは今夜起きたことだ。
第二の紳士おそらく、そうでしょう、閣下。
セリモンいや、間違いなく今夜だ。
見よ、この新鮮な顔を。海へ投じた者たちは、
あまりに手荒だった。奥で火を焚け。
私の薬棚から、すべての箱をここへ持って来い。
セリモン死が何時間も自然の座を奪っていても、
命の火が再び燃え上がり、
押し潰された精気を蘇らせることはある。
あるエジプト人は、九時間も
死んで横たわっていたが、
適切な処置によって、回復したと聞いている。
セリモンよし、よし。火と布を。
われらにある、荒々しく悲しげな音楽を、
どうか鳴らしてくれ。
もう一度、ヴィオルを。何をぐずぐずしている、木偶め。
そこ、音楽を。——王妃に空気を送ってくれ。
お二人とも、
この王妃は生き返る。自然が目覚め、温かな息が
体から外へ流れ出している。気を失ってから、
五時間も経っていない。見よ、再び
命の花へ、息を吹き込み始めた。
第一の紳士天はあなたを通じ、われらの驚きをさらに大きくし、
あなたの名声を永遠に打ち立てます。
セリモン生きている。見よ、
ペリクリーズが失った天上の宝石を収める箱、
その瞼が、
明るい黄金の房を開き始めた。
この上なく称えられる澄んだ水をたたえたダイヤが
姿を現し、この世の富を二倍にする。生きよ。
そして、その希有な姿にふさわしい運命を聞かせ、
われらを泣かせておくれ、美しい人よ。
セーサおお、愛しきダイアナ、
ここはどこ。夫はどこ。ここは何の世界です。
第二の紳士これは驚くべきことではありませんか。
第一の紳士この上なく稀有なことです。
セリモンしっ、お静かに、善きご近所の方々。
手を貸してください。隣の部屋へ運びます。
清潔な布を用意しろ。今こそ、よく看なければならぬ。
再び気を失えば、命に関わる。さあ、さあ。
医神アスクレピオスよ、われらを導きたまえ。
