ペリクリーズもう怒りを鎮めてくれ、天の怒れる星々よ。
風よ、雨よ、雷よ、思い出してくれ。地上の人間は
お前たちに屈するしかない存在なのだ。
私も人の本性に従い、お前たちに服している。
ああ、海は私を岩へ投げつけ、
岸から岸へ洗い流し、ただ息だけを残した。
間もなく来る死を思うほか、何もない息を。
王子からすべての運命を奪ったことで、
お前たちの強大な力には満足してもらいたい。
水の墓から私を投げ出した以上、
あとはここで静かに死ぬことだけが望みだ。
第一の漁師おーい、革衣め。
第二の漁師おう、来て網を運べ。
第一の漁師おい、継ぎ尻、お前に言ってるんだ。
第三の漁師何です、親方。
第一の漁師さっさと動け。こっちへ来い、でなきゃひどい目に遭わせるぞ。
第三の漁師いやね、親方、ついさっき俺たちの目の前で難破した、かわいそうな人たちのことを考えてたんです。
第一の漁師ああ、気の毒な魂だ。助けてくれと、あんな哀れな叫び声を上げるのを聞いて、胸が痛んだよ。だが、やれやれ、こっちも自分を助けるので精いっぱいだった。
第三の漁師でも親方、俺、あの海豚が跳ねたり転げたりするのを見たとき、そう言ったでしょう。あいつら、半分は魚、半分は獣だそうで。疫病神め、あいつらが来ると、俺は決まって大波を覚悟するんだ。親方、魚がどうやって海で暮らしてるのか、不思議でならねえ。
第一の漁師そりゃ、陸の人間と同じだ。大きい奴が小さい奴を食う。金持ちのけちん坊に一番よく似ているのは、鯨だな。泳ぎ回ってはのたうち、小魚どもを前へ前へと追い立て、最後にはひと口で全部呑み込む。陸にもそんな鯨がいると聞いたぞ。村を丸ごと、教会も、尖塔も、鐘も、何もかも呑み込むまで、口を開けっぱなしにしている奴がな。
ペリクリーズ(傍白。)うまい教訓だ。
第三の漁師でも親方、俺が教会の寺男だったら、その日は鐘楼にいたでしょうね。
第二の漁師どうしてだ。
第三の漁師そうすりゃ、そいつは俺まで呑み込んだ。俺が腹の中に入ったら、鐘をガランガラン鳴らし続けてやるんだ。鐘も、尖塔も、教会も、村も、全部吐き戻すまで、止めてやらねえ。だが、善きサイモニディーズ王が俺と同じ考えなら——
ペリクリーズ(傍白。)サイモニディーズだと。
第三の漁師蜜蜂から蜜を盗む、あんな雄蜂どもを国から一掃するのにな。
ペリクリーズ(傍白。)海の鰭ある臣民の話から、
この漁師たちは、人の世の病を語る。
水の帝国から拾い集めるのだ、
人を褒めることも、人の正体を暴くことも、何もかも。
ペリクリーズ正直な漁師たちよ、仕事に平安あれ。
第二の漁師「正直」だって。おい兄さん、そりゃ何だ。あんたに似合う祝日なら、暦から探してみな。誰も見張りには来ねえから。
ペリクリーズ海が私を、あなた方の海岸へ打ち上げたと見れば分かるでしょう。
第二の漁師海も酔っぱらった悪党だな、あんたを俺たちの前へ吐き出すとは。
ペリクリーズあの広大な球戯場で、水と風の二人に
弄ばれる球となった男が、
どうか憐れんでほしいと頼んでいる。
人に物乞いなどしたことのない男が、あなた方に願っているのです。
第一の漁師何だ、友よ、物乞いの仕方を知らんのか。このギリシャじゃ、俺たちが働いて得るより、物乞いでたんまり稼ぐ奴がいるぞ。
第二の漁師なら、魚は捕れるか。
ペリクリーズやったことがありません。
第二の漁師じゃあ、きっと飢え死にだな。今どきここじゃ、自分で釣り上げられなきゃ、何一つ手に入らねえ。
ペリクリーズかつて何者だったかは、もう知ることさえ忘れた。
だが今の私が何者かは、窮乏が思い出させる。
寒さにぎっしり詰め込まれた男だ。血管は凍え、
命はもう、舌に熱を与えて、
あなた方へ助けを求めるだけしか残っていない。
もしそれを拒まれ、私が死んだら、
せめて同じ人間として、埋葬してください。
第一の漁師死ぬだと。神様、とんでもない。ここに上着がある。ほら、着な、体を温めろ。おやまあ、なかなか男前じゃないか。来い、家へ連れてってやる。祭日には肉、精進日には魚、そのうえ腸詰めと焼き菓子もある。歓迎するぞ。
ペリクリーズありがとうございます。
第二の漁師なあ、兄さん。あんた、物乞いはできないと言ったな。
ペリクリーズただお願いしただけです。
第二の漁師「お願い」しただけか。なら俺も「お願いする人」になろう。それなら鞭打ちを免れる。
ペリクリーズでは、ここの物乞いは皆、鞭で打たれるのですか。
第二の漁師いや、全員じゃない、友よ、全員じゃない。物乞いを残らず鞭打てるなら、俺は喜んで役人になるね。さて親方、網を引き上げてくる。
ペリクリーズ(傍白。)この飾らぬ陽気さが、なんとよく仕事に似合うことか。
第一の漁師なあ、あんた、自分がどこにいるか分かってるか。
ペリクリーズよくは知りません。
第一の漁師じゃあ教えよう。ここはペンタポリス。王様は善きサイモニディーズだ。
ペリクリーズ善きサイモニディーズ王、と呼ぶのですか。
第一の漁師そうさ。平和な治世と立派な政治をしてるんだ、そう呼ばれて当然だよ。
ペリクリーズ政治によって民から「善き王」の名を得るとは、幸せな王です。その宮廷は、この海岸からどれほど遠いのですか。
第一の漁師そうさな、半日の道のりだ。それからな、王には美しい娘がいて、明日はその誕生日だ。世界中から王子や騎士が集まって、姫の愛を得ようと馬上槍試合をする。
ペリクリーズ運が望みに釣り合うなら、私もその一人になりたい。
第一の漁師まあ、物事はなるようにしかならん。男が自分で手に入れられないものなら、堂々と取引してもいい——女房の魂と同じでな。
第二の漁師手を貸して、親方、手を貸してくれ。網に魚がかかってる。貧乏人の権利が裁判に引っかかったみたいに、なかなか出てこねえ。えい。畜生、やっと出たと思ったら、錆びた鎧に化けやがった。
ペリクリーズ鎧ですか、皆さん。どうか見せてください。
運命よ、感謝する。これほど災難を重ねたあとで、
わが身を立て直すものを、なお与えてくれた。
これはもともと私のもの、受け継いだ遺産の一部だ。
亡き父が、命を去るそのとき、
この厳しい言葉とともに、私へ遺したもの。
「持っていろ、わがペリクリーズよ。この鎧は
私と死との間に立つ盾だった」——そしてこの腕当てを指した——
「私を救った鎧ゆえ、持っていよ。同じ危急の折には——
神々がそなたをその折から守りたまえ——そなたを守るだろう」と。
私は身につけるところなら、どこへでも大切に持って行った。
どんな人も容赦せぬ荒海が、怒って奪うまで。
だが海は鎮まり、こうして返してくれた。
海よ、礼を言う。この難破も、もはや災いではない。
父が遺言でくれた贈り物を、ここで取り戻したのだから。
第一の漁師どういうことだ、あんた。
ペリクリーズ親切な皆さん、この価値ある衣を、譲ってほしいのです。
かつて一人の王を守る盾でした。
この印で分かります。その王は私を心から愛した。
あの方のためにも、これを手にしたい。
そして、皆さんの王の宮廷まで案内していただきたい。
この鎧があれば、紳士として姿を見せられる。
いつか低く落ちた運が上向いたなら、
ご親切に報います。それまでは借りとしておいてください。
第一の漁師何だ、姫のため、馬上槍試合に出るつもりか。
ペリクリーズ武具を身につけて培った力を、お見せします。
第一の漁師なら、持ってけ。神様がそいつで運を授けてくれますように。
第二の漁師ああ、だが聞いてくれ、兄さん。この衣を、荒波の縫い目からすくい上げて仕立てたのは俺たちだ。相応のお悔やみというか、心付けというか、あるだろう。あんたが出世したら、どこで手に入れたか覚えていてくれよ。
ペリクリーズ必ず、覚えておきます。
皆さんのお力で、私は鋼を身にまとった。
海がどれほど激しく奪い去ろうとも、
この宝石は、わが腕の上に居城を保っている。
その価値にふさわしく、私は駿馬にまたがろう。
その快い足取りを見れば、
見物人は、踏み進む姿に喜ぶだろう。
ただ、皆さん、まだ用意できていないものがある。
鎧の腰垂れです。
第二の漁師きっと用意してやる。俺の一番いい上着で作ってやろう。それに俺自身が、あんたを宮廷へ連れて行く。
ペリクリーズならば名誉よ、ただこの意志の目指す的となれ。
今日こそ身を起こす。さもなくば災いに災いを重ねよう。
