サリアードさて、ここがタイア、ここが宮廷か。ここでペリクリーズ王を殺さねばならん。やらなければ、帰国して絞首刑になるのは確実だ。危ない仕事だよ。なるほど、王から望みを言えと命じられたとき、「王の秘密を何一つ知らずにいたい」と願った男は、賢くて思慮深い奴だった。今なら、もっともな理由があったと分かる。王が一人の男に悪党になれと命じれば、その男は忠誠の誓約によって、悪党になる義務を負うんだからな。しっ。タイアの諸侯が来た。
ヘリケイナスタイアの同輩諸侯よ、わが王の出立について、
これ以上、私へ問いただす必要はない。
王が私に託して残した、印璽つきの委任状が、
旅へ出られたことを十分に語っている。
サリアード(傍白。)何だと。王は旅立ったのか。
ヘリケイナスそれでもなお、皆の愛情から許しを得ぬまま、
なぜ出立なさったか知りたいのなら、
少し事情を明らかにしよう。
王はアンタイオクにおられたとき——
サリアード(傍白。)何だ、アンタイオクだと。
ヘリケイナスアンタイオカス王が——理由は私も知らぬが——
殿下にいくらか不興を抱いた。少なくとも殿下はそう判断された。
ご自分が何か過ちか罪を犯したのではと疑い、
悲しみを示すため、自らを罰しようとなさった。
そこで船乗りの苦役へ身を投じたのだ。
海では一分ごとに、生か死かが迫る。
サリアード(傍白。)なるほど、分かった。
これで首を吊られることはない、吊られたいと言ってもな。
王子が去った以上、海がわが王を喜ばせてくれればいい。
陸を逃れたあいつが、海で滅びますように。
さあ、姿を見せよう。タイアの諸侯に平安あれ。
ヘリケイナスアンタイオカスから来られたサリアード卿を、歓迎する。
サリアードその王のもとから、
王子ペリクリーズへの伝言を携えて来た。
だが上陸してから聞けば、
貴国の殿下は行く先も知れぬ旅へ出られたとか。
伝言は、来たところへ持ち帰らねばならない。
ヘリケイナスそれを聞かせてほしいと願う理由はない。
われらではなく、わが主に託されたものだからな。
ただし、お帰りになる前に一つお願いしたい。
アンタイオクの友として、タイアで宴をともにしよう。
