ベネディック頼む、かわいいマーガレット嬢。ベアトリスと言葉を交わせるよう、力を貸してくれ。そうすれば、私から大いに感謝されるに値するぞ。
マーガレットそれなら、私の美しさを称える十四行詩を、書いてくださいます?
ベネディック誰一人、その上を越えてこられぬほど、高尚な文体で書こう。マーガレット、実に申し分なく美しい君は、それに値する。
マーガレット誰一人、私の上を越えてこないですって! それでは私、いつまでも階下に置かれるの?
ベネディック君の機知は、猟犬の口のようにすばやい。たちまち獲物を捕らえる。
マーガレットあなたの機知は、剣術の練習剣のようになまくら。相手には当たるけれど、傷つけません。
ベネディック実に男らしい機知だな、マーガレット。女を傷つけることはない。だから頼む、ベアトリスを呼んでくれ。勝負は君に譲り、私は盾を渡そう。
マーガレット剣のほうをください。盾なら、女は自分のものを持っています。
ベネディックその盾を使うなら、マーガレット、万力で槍を差し込まねばならない。処女には危険な武器だぞ。
マーガレットはい、ベアトリス様を呼んできます。あの方には脚があると思いますから。
ベネディックだから、歩いて来るだろう。
ベネディック恋の神は、
高みに座り、
私を知る、私を知る、
哀れまれて当然の、この私を——
歌の話だぞ。だが恋なら、泳ぎ上手のレアンダー、初めて仲介屋を雇ったトロイラス、それに昔の、女の部屋の絨毯ばかり踏んだ色男を一冊分、皆まとめてもだ。その名前は今も、無韻詩の平らな道を、なめらかに走る。だが恋に、私ほど正真正銘、ひっくり返され続けた男はいない。いやはや、それを韻で示せない。試してはみた。「レディ」に踏めるのは「ベイビー」だけ、罪のない韻。「スコーン」には「ホーン」、角張った固い韻。「スクール」には「フール」、幼稚なおしゃべりの韻。どれも、ひどく不吉な結びだ。駄目だ、私は韻を作る星のもとには生まれなかった。祭日の飾り言葉では、女を口説けない。
ベネディックかわいいベアトリス、私が呼べば、来てくれるのか?
ベアトリスええ、ベネディック様。そして帰れと言われれば、帰ります。
ベネディックああ、その時までは、いてくれ!
ベアトリス今、「その時」とおっしゃった。では、ごきげんよう。でも帰る前に、来た目的を持って帰らせて。あなたとクローディオの間に、何があったのかを知ることよ。
ベネディック汚い言葉だけだ。そのうえで、君に口づけしよう。
ベアトリス汚い言葉は、ただの汚い風。汚い風は、ただの臭い息。臭い息は迷惑。だから口づけされずに帰るわ。
ベネディック君の機知は、なんとも力強い。言葉を脅し、本来の意味から追い出した。だが、はっきり伝えておかねばならない。クローディオは、私の決闘の申し込みを受けた。近いうちに返事をよこさなければ、臆病者と署名してやる。では君も教えてくれ。私の悪いところの、どれに最初に恋をした?
ベアトリス全部を一まとめにしたもの。それぞれが、実に巧妙な悪の国家を保っていて、どんなよいところも、仲間に入れようとしなかったから。でもあなたは、私のよいところの、どれのせいで、私への恋を患ったの?
ベネディック恋を患う! うまい呼び名だ! 確かに私は恋を患っている。自分の意志に逆らい、君を愛しているのだから。
ベアトリス自分の心にも逆らって、でしょう。ああ、かわいそうな心! 私のために、その心を憎むなら、あなたのために、私も憎んであげる。友が嫌うものを、私は決して愛さないから。
ベネディック君と私は、穏やかに口説き合うには、賢すぎる。
ベアトリス今の告白からは、そう見えないわ。自分を褒める賢い男は、二十人に一人もいないもの。
ベネディック古い、古い実例だ、ベアトリス。よき隣人たちがいた時代の話だ。今の時代、死ぬ前に自分の墓碑を建てなければ、鐘が鳴り、未亡人が泣いている時間より長く、記念碑の中で生きることはできない。
ベアトリスそれは、どのくらいだと思う?
ベネディックご質問には答えよう。鐘の騒音に一時間、涙と鼻水に四分の一時間。だから賢い者にとっては、ドン・ミミズと呼ばれる良心が、反対の障害を見つけないかぎり、私が自分にするように、自分の美徳を告げる喇叭になるのが、最も得策だ。自分を褒める話は、ここまで。この私は、私自身が証言するが、称賛に値する。さて、君の従妹の具合は?
ベアトリスとても悪いわ。
ベネディック君の具合は?
ベアトリス私も、とても悪い。
ベネディック神に仕え、私を愛し、元気になれ。君にも、そう言い残しておこう。誰かが急いで来る。
アーシュラ姫様、叔父上のところへ、すぐいらしてください。お屋敷は、また大騒ぎです。ヒアロー姫が、偽りの罪を着せられたことが証明されました。大公殿下とクローディオ様も、ひどく欺かれたのです。すべてを仕組んだドン・ジョンは、逃げ去りました。すぐ、おいでになりますか?
ベアトリスこの知らせを聞きに、一緒に行く、ベネディック様?
ベネディック君の心に生き、君の膝で死に、君の瞳に埋められよう。そのうえ、君と一緒に叔父上のところへ行く。
