レオナートジョン伯爵は晩餐の席にいなかったか?
アントーニオ私は見なかった。
ベアトリスあの方ったら、なんて酸っぱい顔をするんでしょう! 姿を見るたび、そのあと一時間は胸焼けがするわ。
ヒアローとても憂鬱なご気性ですもの。
ベアトリスあの人とベネディックの、ちょうど真ん中を取って作れば、すばらしい男になるわ。一人は像みたいに黙りこくり、もう一人は奥方様の甘やかされた長男みたいに、いつまでもぺちゃくちゃしゃべってる。
レオナートでは、ベネディック殿の舌を半分、ジョン伯爵の口へ入れ、ジョン伯爵の憂鬱を半分、ベネディック殿の顔へ載せれば——
ベアトリスそこへ形のいい脚と、きれいな足をつけて、財布に十分なお金を入れてやれば、叔父様、世界じゅうのどんな女でもものにできるわ。その女の気持ちまで手に入れられればね。
レオナートまったく、姪よ、それほど舌が意地悪では、決して夫をつかまえられんぞ。
アントーニオ本当に、気が強すぎる。
ベアトリス強すぎるなら、ただ強いより一段多いわね。そうなれば、神様から頂くものを一つ減らせる。「神は気の強い牝牛には短い角を授ける」と言うでしょう。でも強すぎる牝牛なら、角は一本も授からない。
レオナートなるほど、気が強すぎれば、神はお前に角を授けないわけか。
ベアトリスそのとおり、夫を授けないでくださればね。そのお恵みを願って、毎朝毎晩、神様の前にひざまずいているの。ああ、顔に髭を生やした夫なんて耐えられない。そんな男と寝るくらいなら、毛織りの屍衣に包まれて墓で寝るほうがまし。
レオナート髭のない夫に出くわすかもしれんぞ。
ベアトリスそんな人をどうしろっていうの? 私の服を着せて、侍女にでもする? 髭のある者は若者より上、髭のない者は男より下。若者より上の者は私に向かないし、男より下の者には私が向かない。だから熊使いから六ペンスの手付けをもらって、あの人の猿を地獄まで引いていくことにするわ。
レオナートでは、お前は地獄へ行くのか?
ベアトリスいいえ、門までよ。そこで悪魔が、角を生やした年寄りの寝取られ亭主みたいな姿で迎えて、こう言うの。「天国へ行け、ベアトリス、天国へ行け。ここには処女の居場所はないぞ」そこで猿を引き渡し、聖ペテロ様のところへ飛んでいく。聖ペテロ様が独身男たちの座る場所を教えてくださって、私たちは一日じゅう、陽気に暮らすの。
アントーニオ(ヒアローに向かって。)さて姪よ、お前は父上の言いつけに従うだろうな。
ベアトリスええ、もちろん。従妹の務めは、お辞儀をして、「お父様のお望みどおりに」と言うこと。でも、それでもね、従妹よ、お相手がちゃんと美男子か確かめなさい。そうでなければ、もう一度お辞儀をして、「お父様、私の望みどおりに」と言うのね。
レオナートまあ姪よ、いつかお前にも、ぴたりと合う夫が見つかるのを見たいものだ。
ベアトリス神様が、土とは別の材料で男をお作りになるまでは無理ね。勇ましい塵の一かけらに支配されるなんて、女には情けないことでしょう? 気まぐれな泥土の塊に、自分の一生の勘定を差し出すなんて? 嫌よ、叔父様、私はいらない。アダムの息子たちは、みんな私の兄弟だもの。身内と契るのは罪だと思うわ。
レオナート娘よ、私が言ったことを覚えておけ。もし大公殿下が、そのような申し入れをなさったら、どう答えるかわかっているな。
ベアトリス従妹がちょうどいい拍子で口説かれなかったら、音楽のせいよ。殿下がしつこすぎたら、何事にも節度という拍子がございます、と言って、踊りながら答えをかわしなさい。いい、ヒアロー。求愛、結婚、後悔、この三つは、スコットランドのジグ、荘重なメジャー舞曲、五歩舞曲のようなもの。最初の求愛は、ジグのように熱く性急で、目まぐるしい。結婚は、メジャー舞曲のように行儀よく慎み深く、威厳と古式に満ちている。そして後悔がやってくると、悪い脚で五歩舞曲へ飛び込み、どんどん速くなって、ついには墓へ沈むのよ。
レオナート姪よ、ずいぶん意地悪く、ものを捉えるな。
ベアトリス目がいいの、叔父様。昼間なら教会だって見えるわ。
レオナート仮装した客たちが入ってくるぞ、弟よ。広く場所を空けてくれ。
ドン・ペドローご婦人、この友と一緒に、歩いていただけませんか?
ヒアロー静かに歩き、優しい目をして、何もおっしゃらないなら、お散歩の間はあなたのものです。とりわけ、あなたから歩き去るときには。
ドン・ペドロー私をお供に連れたまま?
ヒアロー言いたくなったら、そう言うかもしれません。
ドン・ペドローいつ、そう言いたくなるのです?
ヒアローその仮面のお顔が気に入ったとき。どうか神様、リュートの中身と、そのケースが同じ顔ではありませんように!
ドン・ペドローこの仮面は、フィレモンの粗末な屋根。家の中にいるのは、大神ジュピターです。
ヒアローそれなら、その仮面は藁葺きでなくては。
ドン・ペドロー恋を語るなら、声を低く。
バルサザーねえ、あなたが私を気に入ってくれればいいのだが。
マーガレットあなたのためにも、そうならないほうがいいわ。私には悪いところがたくさんありますもの。
バルサザー例えば?
マーガレットお祈りを大声で唱えるの。
バルサザーそれなら、ますます好きになります。聞いている人が、アーメンと言える。
マーガレットどうか神様、踊りの上手な人と、私をお引き合わせください!
バルサザーアーメン。
マーガレットそして踊りが終わったら、その人を私の目に触れさせないでください! さあ答えて、祈祷書係さん。
バルサザーもう言葉は要りません。祈祷書係の答えは済みました。
アーシュラよく存じていますよ。あなたはアントーニオ様でしょう。
アントーニオ一言で言えば、違う。
アーシュラ頭を揺する癖でわかります。
アントーニオ本当を言うと、私はあの方の真似をしているのだ。
アーシュラご本人でなければ、こんなに下手なのに見事な真似は、決してできません。その乾いた手まで、そっくりそのまま。あなたです、あなたですってば。
アントーニオ一言で言えば、違う。
アーシュラまあ、まあ。あなたの卓越した知恵で、私にわからないとでも? 美徳が姿を隠せるものですか。さあ、しっ、お黙りなさい、あなたです。気品というものは、どうしても外へ現れる。これでおしまい。
ベアトリス誰から聞いたのか、教えてくださらない?
ベネディックいや、それはご勘弁を。
ベアトリスご自分が誰かも、教えてくださらない?
ベネディック今はまだ。
ベアトリス私が人を軽蔑していて、機知は「百の笑い話」から仕入れた、ですって——そう、この言葉を言ったのは、ベネディック様ね。
ベネディックそれは誰です?
ベアトリスよくご存じのはずよ。
ベネディックいや、まったく。信じてください。
ベアトリス一度も、あなたを笑わせたことはない?
ベネディックお願いです、どんな男です?
ベアトリス大公殿下の道化よ。まったく鈍い馬鹿。ありもしない悪口を考え出すことだけが、唯一の芸なの。あの人を喜ぶのは、放蕩者だけ。褒められるのも、機知ではなく、たちの悪さ。それで人を喜ばせ、腹も立てさせ、しまいには笑われ、殴られる。きっと、この船団の中にいるわ。私の船へ乗り込んできてくれればいいのに。
ベネディックその紳士と知り合ったら、あなたの言葉を伝えましょう。
ベアトリスどうぞ、どうぞ。せいぜい、私を何かにたとえる冗談を、一つか二つ壊れた口からこぼすだけ。でも誰も気づかず、笑ってもくれなければ、あの人は憂鬱になる。そうすればヤマウズラの手羽が一つ助かるわ。道化はその晩、夕食も喉を通らないから。
ベアトリス先頭の人たちについていかなくては。
ベネディックあらゆる、よいことにおいて。
ベアトリスいいえ。悪いところへ先導するなら、次の曲がり角で別れるわ。
ドン・ジョン兄がヒアローに恋をしているのは間違いない。父親を脇へ連れ出し、話を切り出している。女たちはヒアローについていき、仮面の男は一人だけ残った。
ボラチオーあれはクローディオです。身のこなしでわかります。
ドン・ジョンベネディック殿ではないか?
クローディオよくご存じで。そう、私です。
ドン・ジョンあなたは兄の親しい友、ことに恋の相談では最も近い。兄はヒアローに夢中だ。どうか、あの娘を思いとどまらせてくれ。兄の生まれには釣り合わない。そうすれば、誠実な男の務めを果たせる。
クローディオ殿下が彼女を愛していると、どうして?
ドン・ジョン思いを誓うのを聞いた。
ボラチオー私も聞きました。今夜にも彼女と結婚すると、誓っていました。
ドン・ジョン来い、宴へ行こう。
クローディオこうして私は、ベネディックの名で答えた。
だがこの悪い知らせを聞いた耳は、クローディオの耳だ。
間違いない。大公殿下は、ご自分のために口説いている。
友情は、ほかのあらゆることには誠実でも、
恋の務めと取り引きだけは別なのだ。
だから恋する心は皆、自分の舌で語れ。
すべての目は自分のために交渉し、
代理人など信用するな。美は魔女、
その魔法の前では、信義も溶けて熱い血になる。
これは毎時のように証明される出来事なのに、
私は疑いもしなかった。さらば、ヒアロー!
ベネディッククローディオ伯爵?
クローディオああ、当人だ。
ベネディックさあ、私と一緒に行かないか?
クローディオどこへ?
ベネディックすぐ近くの柳の木までさ、伯爵、君自身の用事でね。捨てられた恋人の柳の花輪は、どんな流儀で身につける? 高利貸しの鎖のように首へかけるか? それとも副官の肩帯のように、脇の下へ通すか? どちらかに決めて、身につけなくては。大公殿下が、君のヒアローを手に入れたからな。
クローディオお二人の幸せを祈るよ。
ベネディックおや、それでは正直な牛追いの口上だ。牛を売るときも、そう言う。だが、大公殿下が君にこんな仕打ちをすると思っていたか?
クローディオ頼む、放っておいてくれ。
ベネディックおい! これでは、目隠しされた男の一撃だ。肉を盗んだのは小僧なのに、柱のほうを殴っている。
クローディオ放っておいてくれないなら、私が立ち去る。
ベネディックああ、かわいそうに、傷ついた鳥だ! これから葦の茂みへ、はい込んでいくぞ。それにしても、ベアトリス姫が私だと知りながら、私だと知らなかったとは! 大公殿下の道化だと! 何だ? 私が陽気だから、そういう名で通っているのかもしれん。いや、そうやって自分を貶めるのは私の悪い癖だ。世間では、そんな評判ではない。下品で、しかも辛辣なベアトリスの気性が、世界じゅうを自分と同じだと思い込み、私をそう言い触らすのだ。よし、できるかぎり仕返ししてやる。
ドン・ペドローさて、伯爵はどこだ? 会わなかったか?
ベネディックまったく殿下、私は今、噂の女神を演じてきました。あの男はここで、兎場の番小屋のように、ぽつんと憂鬱に沈んでいた。そこで私は、大公殿下があの若いご婦人の好意を得た、と教えてやりました。たぶん本当のことをね。それから柳の木までお供しようと申し出ました。捨てられ男にふさわしい花輪を作るか、鞭打たれるにふさわしい男のために、柳の枝で鞭を束ねるか、どちらかのために。
ドン・ペドロー鞭打たれるだと! あの男に何の罪がある?
ベネディック鳥の巣を見つけて大喜びし、仲間に見せたら横取りされた、学童そのままの罪です。
ドン・ペドロー人を信じたことを、罪にするのか? 罪を犯したのは、盗んだ者だ。
ベネディックそれでも、鞭も花輪も作って損はなかった。花輪はあの男が自分でかぶり、鞭は殿下に差し上げればよい。私の見るところ、あの男の鳥の巣を盗んだのは、殿下ですから。
ドン・ペドロー私は鳥たちに歌を教えて、持ち主に返すだけだ。
ベネディック鳥の歌が殿下のお言葉どおりなら、誓って、正直なお話です。
ドン・ペドローベアトリス姫がお前に腹を立てているぞ。一緒に踊った紳士から、お前にひどい目に遭わされていると聞いたそうだ。
ベネディックああ、あの女は木偶でも耐えきれぬほど、私をこき下ろした! 緑の葉が一枚しか残っていない樫の木でさえ、口答えしただろう。私の仮面まで命を得て、あの女と罵り合いを始めそうだった。目の前にいるのが私だと知らずに言うのです。私は大公殿下の道化だ、春の大雪解けよりも締まりがない、と。ありえぬほどの早業で、冗談の上へ冗談を積み、私の頭へ運び込むものだから、私は的場に立つ男、あの女は私を射る全軍さながら。あの女が口にするのは短剣、言葉の一つ一つが突き刺さる。もし吐く息まで、言葉のとどめと同じほど恐ろしければ、そばでは誰も生きられない。北極星まで悪疫で汚すでしょう。たとえ罪を犯す前のアダムに残されていた全財産を、持参金につけても、私はあの女とは結婚しない。あれならヘラクレスに肉焼き串を回させたうえ、棍棒を割らせて薪にもしたはずだ。さあ、あの女の話はやめてください。上等な服を着た、地獄の争いの女神アテーです。どこかの学者が、呪文で祓ってくれればいいのに。あの女がここにいるかぎり、地獄にいたほうが、聖域にいるのと同じくらい安らかに暮らせる。人々はわざと罪を犯して、地獄へ行こうとするでしょう。それほど、騒乱も恐怖も動揺も、皆あの女のあとについてくる。
ドン・ペドロー見ろ、来たぞ。
ベネディック殿下、世界の果てまで行くご用はありませんか? 今なら殿下が考えつく、どんなつまらぬ使いでも、地球の裏側まで参ります。アジアの最果ての、そのまた端から爪楊枝を取ってこいでも、司祭王ヨハネの足の長さを測ってこいでも、大ハーンの髭を一本抜いてこいでも、小人族への使者を務めろでも、何なりと。このハーピーと三言、言葉を交わすくらいなら、そのほうがましです。何かお役目はありませんか?
ドン・ペドロー何もない。ただ、お前に楽しく同席してもらいたい。
ベネディックああ神様、これは嫌いな料理だ。おしゃべり姫には耐えられません。
ドン・ペドローさあ、ご婦人、こちらへ。ベネディック殿の心を失いましたな。
ベアトリスええ、殿下。あの人がしばらく貸してくれましたので、利息をつけ、一つの心に二つの心を返しました。でも実は、以前あの人がいかさまの骰子で、私から勝ち取ったもの。だから殿下のおっしゃるとおり、私はあの心を失ったのでしょうね。
ドン・ペドローあの男をやり込めましたな、ご婦人、見事に下へ押さえ込んだ。
ベアトリスあの人に私を下へ押さえ込ませたくはありません、殿下。馬鹿の母親になってしまいますから。お捜しになるよう言われたクローディオ伯爵を、連れてまいりました。
ドン・ペドローおや、どうした、伯爵! なぜ悲しんでいる?
クローディオ悲しんではおりません、殿下。
ドン・ペドローでは、病気か?
クローディオそれも違います、殿下。
ベアトリス伯爵は悲しくもなく、病気でもなく、陽気でもなく、元気でもない。ただ上品な伯爵——というより、セビリア・オレンジのように苦くて、嫉妬と同じ黄色い顔色が少々。
ドン・ペドローまったく、ご婦人、その紋章の描写は当たっているようだ。もっとも、もし本当に嫉妬しているなら、その思い込みは間違いだと誓おう。さあ、クローディオ、お前の名で口説き、美しいヒアローを勝ち取ったぞ。父親にも話を切り出し、同意を得た。婚礼の日を決めろ。神がお前に喜びを授けられんことを!
レオナート伯爵、私から娘を受け取ってくれ。娘とともに、わが財産も。殿下のご威光がこの縁を結ばれた。あらゆる天の恵みも、アーメンと唱えますように。
ベアトリス言って、伯爵。あなたの出番よ。
クローディオ沈黙こそ、喜びを告げる最も完全な使者です。どれほど幸せかを言葉にできるなら、私の幸せは、ほんのわずかなのでしょう。姫、あなたが私のものとなるように、私はあなたのものです。あなたのために自分を手放し、この取り引きに夢中です。
ベアトリス何か言って、従妹。それとも言えないなら、口づけであの人の口を塞ぎ、あちらにもしゃべらせないことね。
ドン・ペドローまったく、ご婦人、陽気な心の持ち主だ。
ベアトリスええ、殿下。かわいそうなお馬鹿さんだけど、この心には感謝しているわ。いつも心配事の風上にいて、臭いを嗅がずに済ませてくれる。従妹は今、あの方の耳元で、「あなたは私の心の中に」と言っています。
クローディオ本当に、そう言っているよ、従姉上。
ベアトリスああ神様、縁結びばかり! こうして誰も彼も結婚して、世間並みになっていく。残る私は日に焼けた売れ残り。隅に座って、「ああ、夫が欲しい」と嘆けばいいのね!
ドン・ペドローベアトリス姫、私が一人、見つけて差し上げよう。
ベアトリスそれより、殿下のお父様がお作りになった方がいいわ。殿下に似た弟君は、ほかにいらっしゃらないの? 殿下のお父様は、すばらしい夫になる息子をお作りになったのね。娘の手に入る方ならいいのだけれど。
ドン・ペドロー私ではいかがかな、ご婦人?
ベアトリス嫌です、殿下。平日に使う、もう一人の夫も持てるなら別ですけど。殿下は高価すぎて、毎日は身につけられません。でも、どうかお許しを。私は、陽気なことばかりしゃべり、中身は何もないように生まれついたのです。
ドン・ペドローあなたの沈黙こそ、私にはいちばん不愉快だ。陽気でいるのが最も似合う。疑いなく、陽気な時刻に生まれたのでしょう。
ベアトリスいいえ、まさか、殿下。母は泣き叫んでいました。でもそのとき、空では星が一つ踊っていて、その星のもとに私は生まれたのです。お二人とも、どうかお幸せに!
レオナート姪よ、私が言いつけたことを見てきてくれるか?
ベアトリスこれは失礼、叔父様。殿下、お許しを。
ドン・ペドローまったく、愉快な心のご婦人だ。
レオナートあれには、憂鬱という元素がほとんど含まれておりません、殿下。悲しむのは眠っているときだけ。それさえ、いつもではありません。娘の話では、不幸な夢を見ては、自分の笑い声で目を覚ますことが、たびたびあるそうです。
ドン・ペドロー夫という言葉を聞くのも我慢ならないらしい。
レオナートええ、到底。求婚者を一人残らず笑い飛ばし、求婚を取り下げさせます。
ドン・ペドローベネディックには、すばらしい妻になるだろう。
レオナートいやはや、殿下。二人が結婚して一週間もすれば、しゃべり合って気が狂います。
ドン・ペドロークローディオ伯爵、いつ教会へ行くつもりだ?
クローディオ明日にでも、殿下。恋がすべての儀式を済ませるまで、時は松葉杖で歩きます。
レオナート月曜までは待ってくれ、わが息子よ。きっかり一週間後だ。それでも、すべてを私の思いどおりに整えるには、短すぎるくらいだ。
ドン・ペドローさあ、そんなに長い息継ぎかと、首を振っているな。だが請け合うぞ、クローディオ、その間を退屈にはさせない。私はそれまでに、ヘラクレスの難業を一つ引き受けよう。ベネディック殿とベアトリス姫を、互いへの愛情の山へ連れ上るのだ。ぜひ二人を結ばせたい。お前たち三人が、私の指図どおり力を貸してくれれば、うまく仕組めるに違いない。
レオナート殿下、お供します。十夜、眠れなくなろうとも。
クローディオ私もです、殿下。
ドン・ペドロー優しいヒアロー、あなたも?
ヒアロー従姉によい夫を得させるためなら、慎みを外れぬどんな役でもいたします、殿下。
ドン・ペドローベネディックも、私の知るかぎり、夫として望みがないほうではない。ここまでは褒められる。高貴な血筋に生まれ、勇気は実証済み、誠実さも揺るぎない。あなたの従姉に、どう調子を合わせればベネディックを愛するようになるか、教えよう。そして私も、お前たち二人の助けを借り、ベネディックに巧妙な芝居を仕掛ける。あの鋭い機知と、恋を受けつけぬ気難しい胃袋にもかかわらず、ベアトリスを愛させてみせる。これができれば、キューピッドはもう弓の名手ではない。その栄光は我らのものだ。我らだけが、恋の神々なのだから。中へ来い、狙いを話そう。
