アンジェロ祈り、思索しようとしても、祈りと思いは、
別々のものへ向かう。天へ届くのは、空の言葉だけ。
私の想像は、自分の舌にも耳を貸さず、
イザベラへ錨を下ろす。口には天、
ただ神の御名を噛んでいるだけ。
そして心には、私の想念が孕んだ、
強く膨れ上がる悪。これまで心を注いだ国事も、
良書を繰り返し読みすぎた時のように、
色あせ、退屈になった。そうだ、私が誇る威厳さえ、
——誰にも聞かせるな——
いくらか上乗せしてでも、空っぽの羽飾りと取り替えたい、
風が無意味に弄ぶ羽と。おお、地位、おお、外形よ、
お前は幾度、その覆い、その衣だけで、
愚者から畏れをもぎ取り、賢い魂まで、
偽りの外見へ縛りつける! 肉欲よ、お前はただの肉欲だ。
悪魔の角へ「善き天使」と刻んでも、
それが悪魔の紋章でなくなるものか。
アンジェロ何事だ! そこにいるのは誰だ?
召使い修道女のイザベラという者が、お目通りを願っております。
アンジェロ案内しろ。
アンジェロおお、天よ!
なぜ私の血は、こうして心臓へ召集され、
心臓を、それ自身の務めさえ果たせなくし、
身体のほかの部分からも、
必要な働きを奪う?
気を失った者へ、愚かな群衆がするのも同じだ。
助けようと、皆が集まり、
生き返るための空気を塞いでしまう。それと同じく、
愛される王に仕える民衆は、
自分の持ち場を捨て、こびへつらう愚かさから、
王の前へ押しかける。その無知な愛は、
必ず、迷惑な罪となる。
アンジェロよく来た、美しい乙女よ。
イザベラ閣下の御意向を、伺いに参りました。
アンジェロお前が私の望みを知ることは、それが何かと尋ねられるより、
私を、はるかに喜ばせるだろう。お前の兄は生きられぬ。
イザベラ承知しました。天が閣下を、お守りくださいますように!
アンジェロだが、しばらくは生きられる。ひょっとすると、
お前や私と同じ長さまで。だが、死なねばならぬ。
イザベラ閣下の判決によって?
アンジェロそうだ。
イザベラいつでしょう、お願いです。長くとも短くとも、その猶予で、
兄が十分な支度を整え、
魂を病ませずにすむように。
アンジェロは! 汚らわしい罪だ! 自然から、
すでに出来上がった人間を盗んだ者、すなわち人殺しを、
赦すのも、禁じられた型で、
天の姿を鋳造する者たちの、厚かましく甘い快楽を、
免じるのも、同じこと。真正に作られた命を、
不正に奪うことも、
禁じられた鋳型へ金属を流し、
偽の命を作ることも、同じく罪だ。
イザベラ天では、そう定められても、地上の法では違います。
アンジェロそう言うか? なら、すぐ難問を出そう。
どちらを選ぶ? 最も正しい法が、
今、お前の兄の命を奪うことか。それとも救うため、
兄が汚した女と同じ、甘い不潔へ、
お前の身体を差し出すことか?
イザベラ閣下、これだけは信じてください。
魂を渡すくらいなら、身体を死へ渡します。
アンジェロ魂の話ではない。強いられた罪は、
数には入っても、責めには数えられぬ。
イザベラ何と仰いました?
アンジェロいや、今の理屈を保証はせぬ。自分で言ったことへ、
反論することもできる。では、これに答えろ。
今、成文法の声である私が、
お前の兄の命へ、死刑を宣告する。
その兄の命を救うためなら、罪の中にも、
慈愛があるのではないか?
イザベラどうか、お救いください。
私の魂に危険があろうと、引き受けます。
それは罪でなく、慈愛そのものです。
アンジェロお前が、魂を危険にさらして、それをするなら、
罪と慈愛が、同じ重さで釣り合う。
イザベラ兄の命を願うことが罪なら、
天よ、私に負わせてください! あなたが願いを聞くことも、
もし罪なら、毎朝の祈りで願いましょう、
その罪も私の罪へ加え、
あなたが答えるべき罪には、何一つしないようにと。
アンジェロいや、私の話を聞け。
お前の理解は、私の意味を追っていない。何も知らぬのか、
そう見せかけているのか。後者なら、たちが悪い。
イザベラどうか、私は無知で、何一つ優れぬ者でありますように、
自分が優れていないと、恩寵によって知ること以外は。
アンジェロこうして知恵は、自らを責める時こそ、
最も輝いて見えようとする。その黒い仮面が、
内に守られた美しさを、顔をさらす時より、
十倍も声高に告げるように。だが、よく聞け。
ありのまま理解できるよう、もっと露骨に言う。
お前の兄は、死ぬ。
イザベラはい。
アンジェロそして、あの罪は、見てのとおり、
その刑を、法へ支払わねばならぬ。
イザベラそのとおりです。
アンジェロ兄の命を救う方法が、ほかにないと仮定しよう——
私は、そんな方法も、ほかの方法も認めぬが、
議論を進めるためだ——妹であるお前が、
ある人物から欲情されている。その者は、
裁判官への信用、あるいは自身の高い地位によって、
万物を縛る法の手枷から、
お前の兄を救い出せる。そして、
地上には、ほかの救いがなく、お前が、
身体の宝を、その男へ差し出すか、
さもなくば兄を苦しませるしかないとする。
お前なら、どうする?
イザベラ哀れな兄のためにも、自分のためと同じことをします。
つまり、私自身が死を言い渡されたなら、
鋭い鞭の痕を、紅玉のように身へまとい、
死へ向かって裸になりましょう、
恋しさに病むほど待ちわびた床へ向かうように。
この身体を恥へ渡す、その前に。
アンジェロならば、お前の兄は死なねばならぬ。
イザベラそのほうが、払う代価は安い。
兄が一度だけ死ぬほうがよい、
妹が兄を買い戻すことで、
永遠に死ぬよりは。
アンジェロならば、お前は、自分があれほど罵った判決と、
同じく残酷ではないか?
イザベラ恥を代価にした身請けと、無償の赦しは、
家柄が違います。法にかなう慈悲と、
汚れた買い戻しは、何の血縁もありません。
アンジェロ先ほどは、法を暴君のように言い、
兄が足を滑らせたことも、罪というより、
笑い事だと論じていたではないか。
イザベラああ、お許しください、閣下。欲しいものを得るため、
心にないことを言ってしまうのは、よくあること。
心から愛する兄のため、
私が嫌う罪を、いくらか弁護したのです。
アンジェロわれらは皆、脆い。
イザベラでなければ、兄を死なせてください、
人類みな、その弱さを共有する家臣ではなく、
兄一人だけが、弱さを所有し、受け継いだのなら。
アンジェロいや、女も脆い。
イザベラええ、女は、自分を映す鏡と同じく脆い。
鏡が像を作るのと同じ容易さで、砕けます。
女! 天よ、お助けを! 男は女を利用し、女という創造物を損なう。
いいえ、私たちを十倍、脆いとお呼びください。
私たちは、その肌のように柔らかく、
偽の刻印を、すぐ信じて受け入れます。
アンジェロよく分かった。
お前自身が、女という性を証言したのだ、
人間は、過ちに揺さぶられぬほど、
強く作られてはいない。ならば、言わせてもらおう。
お前の言葉を捕らえる。お前は、お前であれ、
つまり女だ。それ以上なら、女ではない。
女ならば、その外見の証拠すべてが、
見事に示しているとおり、今、それを示せ、
定められた衣を、身につけることで。
イザベラ私の舌は、一枚しかありません。お優しい閣下、
どうか、先ほどまでの言葉で、お話しください。
アンジェロはっきり理解しろ。私は、お前を愛している。
イザベラ兄もジュリエットを愛しました。
そして、あなたは、そのため兄は死ぬと仰る。
アンジェロ死なせぬ、イザベラ。お前が私へ、愛を与えるなら。
イザベラ閣下の徳には、人を試すため、
実際より、いくらか汚れて見えることを、
許す力があると存じます。
アンジェロ私の名誉にかけ、信じろ。
この言葉は、私の意図そのものだ。
イザベラは! 信じるには、あまりに小さな名誉、
そして、何と有害な意図! 見せかけ、見せかけ!
お前を世間へさらす、アンジェロ。覚悟しろ。
今すぐ、兄の赦免状へ署名しろ。
さもなければ、声の限り、世界へ向かい、
お前が何者かを叫んでやる。
アンジェロ誰がお前を信じる、イザベラ?
汚れなき私の名、厳格な生き方、
お前の言葉を否定する私の証言、国での地位が、
お前の告発より、はるかに重く量られる。
お前は、自分の訴えの中で窒息し、
中傷の悪臭を放つ。もう始めてしまった。
今こそ、肉欲という生まれつきの馬へ、手綱を与える。
私の鋭い欲望へ、お前の同意を合わせろ。
気取った慎みも、長々と頬を赤らめることも捨てろ、
求めるものを、自ら遠ざけるだけだ。兄を救え、
お前の身体を、私の意志へ渡して。
さもなくば、あの男は、ただ死ぬだけでなく、
お前の薄情が、その死を引き延ばし、
長い苦しみにする。明日、答えろ。
さもなくば、今、私を何より支配する、この情欲にかけ、
あの男へ暴君となる。お前は、
何でも言え。私の嘘は、お前の真実より重い。
イザベラ誰に訴えればいい? これを話して、
誰が信じる? おお、恐ろしい口よ、
同じ一枚の舌で、
死刑も無罪も言い渡す。
法へ、自分の意志にお辞儀せよと命じ、
正も不正も欲望の鉤へ引っかけ、
引くまま、あとをついてこさせる! 兄のもとへ行こう。
兄は、血の衝動に促され、倒れた。
それでも、心には、これほどの名誉がある。
差し出す頭が二十あり、
血まみれの断頭台が二十あっても、すべて渡すだろう、
妹が、この身体を屈め、
あの忌まわしい汚れへ渡す前に。
ならばイザベラ、貞潔に生きよ。兄よ、死ね。
兄より、貞潔のほうが尊い。
それでも、アンジェロの要求を兄へ話し、
魂の安らぎのため、死へ心を整えさせよう。
