マクベス
第三幕第五場
雷鳴。三人の魔女登場、ヘカテと出会う。
魔女一おやまあ、どうしたね、ヘカテ様。お怒りのご様子だね。
ヘカテ怒るは道理よ、この婆どもめ。
よくも小癪な、身の程知らずめ。
マクベス相手に、取引をして、
謎かけ、死の沙汰、値をつけ合って。
呪いの術の、女主人はわたし、
災いを仕組む、黒幕もわたし。
その座に呼ばれることもなく、
術の栄えを見せる場もなく。
なお悪いことに、したことはみな、
あのへそ曲がりの、倅のため。
意地悪で短気な、世の男と同じ、
己の得のみ愛し、おまえらは見ぬ。
だが今から償え。さあ、失せろ。
アケロンの淵へ、朝、来い。
そこで落ち合おう。あの男も、
おのれの運命を知りに来よう。
釜と呪文の支度をととのえ、
まじないも、何もかも用意せよ。
わたしは空へ発つ。今宵は、
陰惨で命取りの果てに使う。
昼までに大仕事を仕上げねば。
月の角の先に、ひとつ、
深い霧の滴が垂れている。
地に落ちる前に、捕らえよう。
魔法の手業で蒸留すれば、
まやかしの精霊どもが立ち昇る。
その幻術の力によって、
あの男を破滅へ引きずり込む。
あの男は運命を蹴り、死をあざけり、
知恵も恵みも恐れも越えて、驕る。
おまえらも知ってのとおり、油断こそ、
死すべき人間の、一番の敵。
奥で音楽と歌。「おいで、おいで」など。
ヘカテお聞き。わたしを呼んでいる。ごらん、わたしの小さな精霊が、
霧の雲に腰かけて、待っていてくれる。
退場。
魔女一さあ、急ごう。あの方は、じきに戻っておいでだ。
一同退場。
