ダンカンあの血まみれの男は何者だ。あの傷ついた姿からして、
謀反のいちばん新しい戦況を、
報告できそうだが。
マルコムこの者は、
私が捕虜になりかけたところを、雄々しい強者らしく
戦って救ってくれた士官です。——よく来た、勇敢な友よ。
戦の様子を、おまえが戦場を離れたときのままに、
王にお聞かせしろ。
士官勝敗は定まらず、
まるで力尽きたふたりの泳ぎ手が、しがみつき合って、
互いの腕前の息の根を止めるようなありさまでした。あの無慈悲なマクドンウォルド——
謀反人にはうってつけの男、なにしろあやつには、
生まれつきの悪という悪が、
群れをなして たかっておりますので——西の島々から、
軽装兵と重装の傭兵の補充を受け、
運命の女神も、あやつの呪われた戦に微笑みかけて、
謀反人の情婦かと見えるほど。ですが、何もかも力及ばず。
勇敢なマクベス様が——まことにその名にふさわしいお方——
運命なんぞは物ともせず、振りかざした剣を
血の処刑の湯気で煙らせながら、
武勇の寵児さながらに、道を切り開いて進まれ、
ついにあの下郎と対面なさいました。
そして、握手もせず、別れの挨拶を交わすでもなく、
臍から顎まで一気に縫い目を裂いて、
あやつの首を、わが軍の胸壁に据えられたのでございます。
ダンカンおお、勇敢な従弟よ。天晴れな武人だ。
士官太陽が輝きはじめるその場所から、
船を砕く嵐と恐ろしい雷が生まれ出るように、
慰めが湧き出すかと見えたその泉から、
禍が膨れ上がりました。お聞きください、スコットランドの王よ、お聞きを。
正義が武勇を鎧として、
あの跳ね回る軽装兵どもを、踵を返して逃げ出させたと思う間もなく、
ノルウェーの王が、勝機ありと見て取って、
磨き立ての武具と新手の兵を繰り出し、
新たな攻撃を仕掛けて参ったのです。
ダンカンそれに怯まなかったか、
わが将たち、マクベスとバンクォーは。
士官怯みましたとも——
雀が鷲に、兎が獅子に怯むほどには。
まことを申せば、おふたりは、
二重に弾を込めた大砲さながら、
敵に二倍の二倍の打撃を浴びせておられました。
湯気の立つ傷の血で湯浴みをするおつもりか、
それとも第二のゴルゴタを後の世に残すおつもりか、
私には分かりかねますが——
ですが、もう気が遠くなります。傷が助けを呼んでおりますので。
ダンカンおまえの言葉は、その傷とともに、おまえの面目だ。
どちらにも、名誉の味がする。——医者に診せてやれ。
ダンカンあそこへ来るのは誰だ。
マルコムロスの領主どのです。
レノックスあの目の中を、なんという急ぎ足が駆けていることか。
よほど珍しい知らせを運んで来た者の顔です。
ロス王に神のご加護を。
ダンカンどこから参った、忠義の領主よ。
ロスファイフからでございます、偉大なる王よ。
かの地では、ノルウェーの軍旗が空を嘲り、
はためく風で、わが民を凍えさせております。ノルウェー王みずから、
恐るべき大軍を率い、
あの不忠きわまる裏切り者、
コーダーの領主の加勢を得て、暗澹たる戦を始めました。
ですが、戦の女神ベローナの花婿が、鍛え抜いた鎧に身を固め、
おのれと寸分違わぬ姿で立ちはだかり、
謀反の切っ先には切っ先を、腕には腕を突き合わせて、
あの驕った意気をねじ伏せました。仕舞いに申せば——
勝利はわれらに落ちましてございます。
ダンカンなんという幸せだ。
ロス今や、
ノルウェー王スウィーノーは、和議を乞うております。
われらは、あの者の兵の埋葬さえ許しませんでした、
セント・コルムの小島にて、
一万ドルをわが国庫に納めるまでは。
ダンカンもう二度と、あのコーダーの領主に、
わが信頼を欺かせはせん。ただちに死罪を申し渡せ。
そして、あの男の持っていた称号で、マクベスを迎えてやれ。
ロス確かに、申しつかりました。
ダンカンあの男の失ったものを、気高いマクベスが勝ち取ったのだ。
