ウルジーローマより授かった委任状を読み上げる間、
一同に静粛を命じよ。
ヘンリー王その必要があるか?
すでに公の場で読み上げられ、
いずれの側もその権威を認めている。
ならば、その時間は省けよう。
ウルジー仰せのとおりに。進めよ。
書記呼び上げよ、イングランド国王ヘンリー、法廷へ出頭せよ。
呼出人イングランド国王ヘンリー、以下同文。
ヘンリー王ここにいる。
書記呼び上げよ、イングランド王妃キャサリン、法廷へ出頭せよ。
呼出人イングランド王妃キャサリン、以下同文。
キャサリン王妃陛下、どうか私に正当な裁きと正義をお与えください。
そして、私にお情けをおかけください。なぜなら
私は哀れな女、異国の者、
陛下の領国外に生まれた身。この地には
公平な裁判官も、公平な友情と
手続きの保証もありません。ああ、陛下、
私は何をもって陛下を怒らせたのでしょう? 私の振る舞いが
どんな理由を陛下のお怒りに与え、
このように私をお捨てになり、
御寵愛を取り上げようとなさるのです? 天が証人です、
私は陛下に誠実で、慎ましい妻であり、
いつでも陛下の御心に従ってまいりました。
陛下の不興をかうことを絶えず恐れ、
その御顔の色に従い、喜びも悲しみも
そこに見えるままにしてきました。いつのことです、
私が陛下のお望みに逆らい、
それを自分の望みにもしなかったのは? 陛下のご友人で、
たとえ私の敵と知りながらも、
愛そうと努めなかった方が一人でも? 私の友人のうち、
陛下のお怒りを買った者を、私が
なお好意のうちに置き続けたでしょうか? いいえ、すでに
私の心から解き放ったと、知らせさえしなかったでしょうか? 陛下、どうか思い出してください、
私はこの従順を守って、陛下の妻であり続け、
二十余年、陛下との間に
多くの子を授かりました。この年月の
歩みの中で、私の名誉に反する何かを、
陛下が語ることができ、しかも証明できるなら、
婚姻の誓いに、あるいは陛下の聖なるお身への
愛と務めに反したと証明できるなら、神の御名において、
私をお捨てください。そして最も汚らわしい侮蔑に
私の目の前で戸を閉ざさせ、そうして私を
最も厳しい裁きにお渡しください。どうか陛下、
陛下の父王は、
この上なく賢明な君主、並ぶものなき
知性と判断力の持ち主と仰がれていました。またフェルディナンド、
私の父、スペイン王も、
その地を長年治めた君主の中で
最も賢い一人と数えられていました。疑いようもありません、
お二人がそれぞれの国から
賢明な顧問を集め、この問題を論じさせ、
私たちの結婚を合法と認めたことは。ですから謹んで
お願いします、陛下、どうかお待ちください、私が
スペインの友人たちから助言を受けられるまで。その意見を
求めたいのです。それも許されないなら、神の御名において、
陛下のお望みどおりになさってください!
ウルジー王妃様、ここには、
あなたご自身がお選びになった尊い聖職者たちがおられます。
並外れた誠実さと学識を備えた方々、
まさにこの国の精華が、あなたの訴えを
弁護するため集まっております。ゆえに、これ以上
審理の延期をお求めになっても無益です。
王妃様ご自身の安寧のためにも、王の御心にある
迷いを正すためにも。
カンペイアス猊下の
お言葉は正しく、公正です。ですから王妃様、
この王立法廷は審理を進め、
遅滞なく双方の主張を
今ここで提示し、聴取するのが適切です。
キャサリン王妃枢機卿、
あなたに申します。
ウルジー何なりと、王妃様。
キャサリン王妃枢機卿、
涙がこぼれそうです。でも、私は
王妃である、少なくとも長いあいだそう夢見てきた、そして確かに
王の娘であると思えば、この涙の雫を
炎の火花に変えてみせます。
ウルジーまだお心をお静めください。
キャサリン王妃あなたが謙虚になったら、そうしましょう。いえ、その前に、
さもなければ神が私を罰するでしょう。数々の動かぬ事情から、
私はこう信じています、
あなたは私の敵であると。ゆえに忌避を申し立てます、
あなたを私の裁判官にはさせません。なぜなら、あなたこそ
夫と私の間に、この炭火を吹き起こした人。
神の露がその火を消しますように! だからもう一度言います、
私はあなたを心底から忌み嫌い、そう、魂の底から
裁判官として拒みます。さらにもう一度、
あなたこそ私の最も悪意ある敵であり、
真実の友などでは断じてないと申し上げます。
ウルジー申し上げますが、
王妃様らしからぬお言葉です。これまで常に
慈愛を重んじ、穏やかな気質と、
女の力を超える知恵の働きを
お示しになった方とは思えません。王妃様、私への誤解です。
私は王妃様に何の恨みもなく、あなたにも誰にも
不正を働くつもりはありません。私がどこまで手続きを進め、
今後どこまで進めるかは、
宗教裁判所から、
そう、ローマの全宗教裁判所からの委任によって認められています。私が
この炭火を吹き起こしたとお責めになるが、それは否定します。
王もおいでです。もし王が、私が自分の行為を
否認しているとご存じなら、どれほど私を傷つけても、
その虚偽への当然の罰となりましょう! それはちょうど、王妃様が
私の真実を傷つけられたのと同じです。王が
私にそのご非難の根拠がないとご存じなら、王はまた、
私が王妃様に不正をなしていないともご存じです。ですから王にこそ、
私を癒す力があります。その癒しとは、
王妃様からその疑念を取り除くこと。陛下が
その点についてお話しになる前に、どうか
慈悲深き王妃様、今のお言葉をお取り消しになり、
二度と口になさらないよう願います。
キャサリン王妃猊下、猊下、
私はただの女、あなたの狡知に
立ち向かうにはあまりに弱い。あなたは柔和で、口ぶりも謙虚。
見たところは、柔和と謙遜によって
地位と聖職を示しておられる。でも、その心には
尊大さ、恨み、高慢が詰め込まれている。
あなたは運と陛下の御寵愛により、
低い段々を軽々と飛び越え、今では
権力そのものを従者にし、あなたの言葉は
召使いとなって、あなたが命ずるままに、
好きな役目を果たす。はっきり申し上げます、
あなたは聖なる高い務めよりも、
ご自分の名誉を大事になさる。ゆえに、もう一度、
あなたを裁判官として拒みます。そしてここで、
皆様の前で、教皇猊下へ上訴し、
私の訴えのすべてを聖下の御前へ運び、
その裁きを受けることを求めます。
カンペイアス王妃は強情だ、
正義に逆らい、すぐ正義を責め、
その裁きを受けることを侮っている。よくないことだ。
立ち去ろうとしておられる。
ヘンリー王呼び戻せ。
呼出人イングランド王妃キャサリン、法廷へ出頭せよ。
グリフィス王妃様、お呼び戻しです。
キャサリン王妃なぜそれをわざわざ言うの? そのまま進んでください。
あなたが呼ばれたら、戻ればよい。ああ、主よ、お助けを、
この人たちは私の忍耐を越えて苦しめる! どうか先へ。
私は留まりません。いいえ、今後二度と、
この件について、この人たちのどの法廷にも
姿を見せません。
ヘンリー王行くがよい、ケイト。
あの人より善い妻を持つと
言い立てる男が世にいるなら、何事についても信用するな、
その言葉が偽りだからだ。そなたこそ、ただ一人、
類いまれな資質、優しい穏やかさ、
聖女のような慎ましさ、妻としての家の治め方、
命じながら従う心、そしてほかにも備わる
君主らしく敬虔な美質、そのすべてを語り尽くせるなら、
地上の王妃たちの王妃だ。高貴な生まれ、
そして、その真の高貴さにふさわしく、
私に対して身を処してきた。
ウルジー慈悲深き陛下、
この上なく謙虚にお願い申し上げます、
どうか、この場のすべての耳に聞こえるよう、
ご宣言ください——奪われ、縛られたこの場でこそ、
私は縄を解かれねばなりません、たとえここで
ただちに完全な償いを得られずとも——これまで私が
この問題を陛下に持ち出したことが一度でもあるか。
あるいは陛下の行く手に疑念を置き、
この結婚を問題になさるよう促したことがあるか。それとも、
このような王妃を授けた神に感謝するほかに、
現在の王妃の御身分を損なうような
ほんの一言でも陛下へ申し上げたか、
その善きお人柄を傷つけたことがあるか。
ヘンリー王枢機卿、
そなたを許そう。そう、わが名誉にかけて、
この件について潔白と認める。教えるまでもなかろう、
そなたには多くの敵がいて、その者たちは
なぜ敵なのかも知らず、ただ村の野良犬のように、
仲間が吠えるから吠えている。その何人かに
王妃は怒りを吹き込まれたのだ。そなたは潔白だ。
だが、さらに正しさを証し立てようか? そなたは常に
この問題を眠らせておきたいと願い、起こすことなど
一度も望まなかった。それどころか何度も、何度も、
問題へ通じる道を塞いだ。わが名誉にかけて、
善き枢機卿について、この点は
私が証言し、ここまで潔白と認める。では、何が私を動かしたのか、
時間と皆の注意を借り、包み隠さず語ろう。
発端をよく聞け。こうして始まった、耳を傾けよ。
まず、私の良心が痛みを感じ、
疑念の棘に刺された。ある言葉を口にしたのは、
当時フランス大使だったバイヨンヌ司教。
オルレアン公と
わが娘メアリーとの婚姻を協議するため、ここへ遣わされていた。
協議を進めるなか、
最終の決定に至る前、司教は
猶予を求めたのだ。
主君であるフランス王に、わが娘が
嫡出子であるかどうかを報告するために。
かつてわが兄の妻であった王太后との
この婚姻を考慮してのことだ。その猶予が
わが良心の胸を揺さぶり、内へ入り込んだ、
そう、引き裂くほどの力で、胸の領域を
震え上がらせた。そして道をこじ開け、
数多くの惑う思いが、この警告とともに
ひしめき、押し入ってきた。まず思ったのは、
私は天の微笑みの中にいない、ということ。天は
自然に命じ、わが妃の胎が
私の男児を宿しても、その命に
墓が死者にする以上のことを
何一つさせなかった。男児は
胎内で死ぬか、この世の空気に
触れて間もなく死んだ。そこから私は考えた、
これは私への天罰なのだと。わが王国は、
世に最良の世継ぎを迎えるにふさわしいのに、
私によってその喜びを得られない。続いて、
世継ぎを欠くため、わが領土が直面する
危険を思い量り、そのたび
幾度も呻くほどの苦しみに襲われた。こうして、
良心の荒海で漂ううち、私は
この救いの港へ舵を切った。そのために
今、われわれはここに集まっている。つまり、
私は良心を正そうとしたのだ——その時すでに
ひどく病み、今なお癒えぬ良心を——
この国の尊い聖職者たちと、
学識ある博士たち全員の力で。まず内々に、
リンカン卿、そなたへ相談した。覚えていよう、
初めてこの件を持ち出した時、私は苦悩に
汗を流していたな。
リンカンよく覚えております、陛下。
ヘンリー王長く話した。そなた自身の口から、
どこまで私の疑念を解いたか述べてくれ。
リンカン陛下、恐れながら、
この問題は最初、私をひどく動揺させました。
国家にとってあまりに重大な意味を帯び、
恐るべき結果を伴うため、手持ちのうち
最も大胆な助言さえ疑わざるをえませんでした。
そこで陛下に、今ここで進めておられる
この手続きをお勧めしたのです。
ヘンリー王その後、そなたにも話した、
カンタベリー卿。そして今回の召集を
行う許しを得た。私はこの法廷の
尊い方々を、一人として頼まずにはおかなかった。
皆の個別の同意を得て、
署名と封印のもとに進めてきた。ゆえに、続けよ。
善き王妃その人への、世のいかなる
嫌悪でもない。申し立てた理由の
鋭い棘だけが、この件を押し進めている。
われらの結婚が合法だと証明されさえすれば、わが命と
王の尊厳にかけて、喜んで
残る有限の生涯をともに歩もう、
わが王妃キャサリンと、たとえ世の第一の美女が
目の前に並べられようとも。
カンペイアス陛下、恐れながら、
王妃がご不在ですので、当然の措置として
この法廷を後日まで休廷すべきでしょう。
その間に、王妃へ強く働きかけ、
教皇聖下へなさろうとしている上訴を
取り下げていただかねばなりません。
ヘンリー王(傍白。)分かってきたぞ、
この枢機卿どもは私を弄んでいる。私は忌み嫌う、
ローマの、このぐずぐずした怠慢と小細工を。
学識深く、愛するわが臣クランマー、
どうか戻って来てくれ。そなたが近づけば、
慰めもともに来ると分かっている。法廷を閉じよ。
さあ、進め。
