ケイドよし、皆。何人かは、サヴォイ宮殿を引き倒せ。ほかの者は、法学院へ行け。ことごとく、叩き潰せ。
ディック閣下に、一つ、お願いがあります。
ケイドお前を閣下にする領地が願いなら、その言葉への褒美に、くれてやろう。
ディックただ、イングランドの法律が、閣下のお口から出るようにしていただきたいのです。
ホランド(傍白。)
スミス(傍白。)
ケイド考えておいた。そうしよう。行け、王国の記録を、すべて焼き払え。わが口こそ、イングランドの議会となる。
ホランド(傍白。)
ケイドそして、今よりのち、すべてを共有にする。
使者閣下、獲物です、獲物です! フランスの町々を売ったセイ卿を、捕らえました。二十一回の十五分の一税と、先の補助税で、一ポンドにつき一シリングを、われらに払わせた男です。
ケイドよし。その罪で、十回、首を刎ねてやろう。ああ、お前は「セイ」、薄布め、「サージ」、いや、粗布のバクラム卿だ! 今や、お前は、われらの王たる裁きの、真っ向から射抜ける範囲にいる。フランスの王太子、ムッシュー・ベズモンキュに、ノルマンディーを引き渡したことについて、わが威厳に、何と答える? ここにいる方、まさにモーティマー卿御本人によって、お前に知らせておく。私は、お前のような汚物を、宮廷から掃き出す箒だ。お前は、文法学校を建て、王国の若者を、最も卑劣に堕落させた。かつて、われらの祖先には、刻み目と割符のほかに、本などなかった。それなのに、お前は、印刷を使わせ、国王、その王冠と尊厳に背いて、製紙工場を建てた。お前の面前で、証明してやる。お前の周りには、名詞だの、動詞だのと、キリスト教徒の耳には、到底、耐えられぬ忌まわしい言葉を、いつも話す者たちがいる。お前は、治安判事を任命し、答えようもない事柄について、貧しい者たちを、その前へ呼び出させた。そのうえ、奴らを牢へ入れた。そして、字を読めないからというので、絞首刑にした。実のところ、その理由だけでも、生きるに最も値する者たちだったのだ。お前は、飾り布を掛けた馬に乗るな?
セイそれが、どうした?
ケイド何を言う。お前より正直な者たちが、長靴下と上着だけで歩くのに、自分の馬へ外套を着せるべきではない。
ディックしかも、シャツ一枚で働くのです。肉屋の、この私のように。
セイケントの方々よ――
ディックケントが、どうした?
セイただ、これだけです。「ボナ・テッラ、マラ・ゲンス」――よき土地、悪しき民。
ケイド連れていけ、連れていけ! ラテン語を話したぞ。
セイ私の話だけ聞き、そのあと、望む所へ連れていけ。
カエサルの記した『戦記』で、ケントは、
この島で、最も文明の進んだ地と、呼ばれている。
豊かな土地ゆえ、国土は恵まれ、
民は寛大、勇敢、活発、裕福。
そのため、そなたたちに、慈悲がないはずはないと、望むのだ。
私は、メーヌを売らず、ノルマンディーを失ってもいない。
だが、それらを取り戻すためなら、命を失おう。
私は、いつも、慈悲を添えて、正義を行ってきた。
祈りと涙には、心を動かされたが、贈り物には、一度も動かされなかった。
そなたたちから、何かを取り立てたことが、いつあった?
国王と、王国と、そなたたちを支えるため以外に。
私は、学識ある聖職者たちへ、惜しみなく贈り物をしてきた。
学問によって、私も国王に、取り立てられたからだ。
無知は、神の呪い、
知識は、われらが天へ飛ぶための翼。
悪魔の霊に取り憑かれていないかぎり、
そなたたちは、私を殺すことを、思いとどまるはずだ。
この舌は、そなたたちの利益のため、
異国の王たちと交渉してきた――
ケイドふん。戦場では、いつ、一撃でも加えた?
セイ偉大な者の手は、遠くまで届く。私は幾度も、
見たこともない者を打ち、死なせた。
ベヴィスおお、何という、とんでもない臆病者! 人の背後から、襲うのか?
セイこの頬が青ざめているのは、そなたたちのため、夜も眠らなかったからだ。
ケイドその耳に、一発食らわせろ。頬も、また赤くなる。
セイ貧しい者たちの訴えを裁こうと、長く座り続けたため、
私は、病と患いに、満ちている。
ケイドならば、麻縄で作った卵酒と、斧の助けを、くれてやろう。
ディックなぜ、震えるのだ?
セイ恐れではない。中風が、私を震わせるのだ。
ケイドいや、こいつは、われらに、うなずきかけているぞ、「お前たちに、きっと仕返しする」とでも言うように。首が、杭の上なら、もっと真っすぐ据わるかどうか、試してやろう。連れていき、首を刎ねろ。
セイ私が、最も重く、罪を犯したことを、教えてくれ。
私は、富や名誉を貪ったか? 答えてくれ。
わが箱は、力ずくで奪った黄金に、満ちているか?
わが衣服は、目を奪うほど豪華か?
誰を傷つけたために、そなたたちは、私の死を求める?
この両手は、罪なき血を流したことから、清らかだ。
この胸も、汚れた、偽りの考えを、宿したことはない。
おお、どうか、生かしてくれ!
ケイド(傍白。)
一同仰せのとおりに。
セイああ、同郷の者たちよ! そなたたちが祈るとき、
神が、そなたたちと同じほど、頑なであったなら、
世を去った、そなたたちの魂は、どうなるだろう?
ゆえに、今こそ心を和らげ、私の命を救ってくれ。
ケイド連れていけ! 命じたとおりにせよ。
ケイド王国で、最も高慢な貴族であろうと、私へ貢ぎ物を払わぬかぎり、肩の上に、首を載せてはいられぬ。娘が結婚するときには、夫が、その処女を得る前に、私へ、その処女を捧げねばならぬ。男たちは、「イン・カピテ」、その首をもって、私に仕えよ。そして、われらは命じ、布告する。奴らの妻たちは、心に望み、舌で語れるかぎり、自由であれ。
ディック閣下、いつ、チープサイドへ行き、われらの「ビル」、この鉤槍を手形代わりにして、商品を、いただきましょう?
ケイドもちろん、今すぐだ。
一同おお、見事!
ケイドだが、こちらの方が、見事ではないか? 二人に、口づけさせろ。生きていたときは、たいそう愛し合っていたからな。さあ、また引き離せ。フランスで、さらに、いくつか町を引き渡そうと、相談してはいけない。兵士たち、都の略奪は、夜まで延ばせ。この二つを、権杖の代わりに、われらの前へ捧げ持たせ、通りを馬で進む。そして、街角ごとに、口づけさせよう。行け!
