ウィンチェスターそんな深く練り上げた文句を携え、
丹念に仕立てた書きつけを手にやって来たのか、
ハンフリー・グロスター? 私を告発できるなら、
私に着せるつもりの罪が何かあるなら、
作り事をせず、その場で言え。
こちらも即座の、用意なしの言葉で、
おまえの言い分すべてに答えてやる。
グロスター思い上がった坊主め! この場ゆえ我慢しているのだ。
さもなければ、私を辱めた報いを思い知るぞ。
私がおまえの卑劣きわまる悪事の一部始終を
書面にして差し出したからといって、
でっち上げだとか、この筆が記した筋道を
一言一句そらで言えぬなどと思うな。
いや、高位聖職者どの。おまえの悪行は、それほど図太く、
淫らで、有害で、争いをまき散らす振る舞いは、
乳飲み子までが、おまえの高慢を口にするほどだ。
おまえは、実に始末の悪い高利貸し、
生まれつき強情で、平和の敵。
おまえの聖職と身分には似つかわしくないほど、
好色で、ふしだらだ。
しかも、その裏切り、これ以上明白なものがあるか?
おまえは私の命を奪おうと、罠を仕掛けた。
ロンドン橋でも、ロンドン塔でも。
そのうえ恐ろしいことだが、おまえの胸の内をふるいにかければ、
おまえの主君である国王でさえ、膨れ上がった心に巣食う
妬みと悪意から、まるで免れてはいまい。
ウィンチェスターグロスター、真っ向から受けて立つ。諸卿、
どうか、私の返答にも耳をお貸し願いたい。
もし私が、こやつの言うように強欲で野心深く、ねじけているなら、
なぜ、これほど貧しいのか?
なぜ出世を求めて、
わが身を高めず、いつもの職分にとどまっている?
争いについても、私以上に
平和を願う者がいるか? 挑発されぬかぎりは。
いや、諸卿、この男を怒らせたのは、そんなことではない。
公爵を激怒させたのは、そんなことではない。
自分以外の者が権勢を振るうのが、許せぬのだ。
国王のおそばにいるのも、自分一人でなければならぬ。
それが胸中に雷を生み、
このような告発を吠え立てさせる。
だが、私がこやつに劣らぬことを――
グロスター私に劣らぬだと!
祖父の私生児め!
ウィンチェスターそうとも、ご大層な殿様。では、お尋ねするが、
あなたこそ、他人の王座で威張り散らす者ではないか?
グロスター私は護国卿ではないか、無礼な坊主め?
ウィンチェスター私も教会の高位聖職者ではないのか?
グロスターそうだ、城を根城にする無法者が、
盗みをかばうため、その城を使うようにな。
ウィンチェスター不敬なグロスターめ!
グロスターおまえが敬われるのは、
聖職ゆえだ。生き方ゆえではない。
ウィンチェスターローマが、これを正してくれる。
ウォリックならば、さっさとローマへ行かれよ。
サマセット閣下、お控えになるのが務めでしょう。
ウォリックそうだ、司教が言い負かされぬよう、見張るがいい。
サマセット司教閣下なら、信仰心をお持ちになり、
その地位に伴う務めをご存じのはず。
ウォリック司教閣下なら、もっと謙虚であるべきだ。
高位聖職者が、こんな争い方をするものではない。
サマセット聖なる身分が、これほど傷つけられたなら、話は別だ。
ウォリック身分が聖だろうと汚れていようと、それが何だ?
こちらの殿下は、国王の護国卿ではないか?
プランタジネット(傍白。)プランタジネット、ここは黙るほかないらしい。
さもないと、こう言われる。「出る幕になってから口を利け、小僧。
諸卿の話へ、ずうずうしい判決を差し挟む気か?」と。
でなければ、ウィンチェスターに一矢報いてやるのだが。
ヘンリー王グロスター叔父上、ウィンチェスター叔父上、
わがイングランドの安寧を、ことに見守るお二人、
祈りに力があるものなら、私は祈りによって、
お二人の心を、愛と親しみで結びたい。
ああ、わが王冠にとって、何たる恥辱か、
これほど高貴な諸侯二人が、いがみ合うとは!
信じてほしい、諸卿、幼い私にもわかる。
内輪争いは、毒蛇のごとき虫となり、
国のはらわたを食い破るのだ。
ヘンリー王この騒ぎは何だ?
ウォリック暴動に違いありません、
司教の手下どもの悪意が、火をつけたのでしょう。
市長おお、諸卿、そして心正しきヘンリー王、
ロンドンの町を、われらを、お憐れみください!
司教とグロスター公爵の手下どもは、
先ごろ武器を持つことを禁じられたため、
ポケットを小石でいっぱいにし、
敵味方に分かれて、
互いの頭へ猛烈に投げつけております。
何人もが、くらくらする脳みそを叩き出されました。
どの通りでも窓は打ち壊され、
私どもは恐ろしくて、店を閉めるほかありません。
ヘンリー王われへの忠誠にかけて命じる、
人殺しの手を止め、平和を守れ。
お願いです、グロスター叔父上、この争いを鎮めてください。
第一従者いや、石を禁じられたら、今度は歯で食らいついてやる。
第二従者やれるものならやってみろ。こっちの覚悟も同じだ。
グロスターわが家の者たちよ、この意地っ張りな喧嘩をやめ、
柄にもない争いから手を引け。
第三従者閣下が公正で、
曲がったことのないお方だと存じております。王家のお生まれゆえ、
陛下お一人を除けば、誰にも劣らぬお方。
国の民に、これほど優しい父である殿下が、
インク壺を抱えた書生野郎に
辱められるのを黙って見ているくらいなら、
われらは、妻も子もこぞって戦い、
あなたの敵に、この身を切り刻まれましょう。
第一従者そうだ、俺たちが死んだあとも、この爪の切りくずまでが、
戦場に陣を張ってやる。
グロスターやめろ、やめろと言うのだ!
おまえたちが言うとおり、私を慕うなら、
私の言葉を聞いて、しばし手を引け。
ヘンリー王ああ、この不和が、どれほど私の魂を苦しめることか!
ウィンチェスター卿、私の
ため息と涙を見ても、一度も心を和らげぬのですか?
あなたに慈悲がなくて、誰に慈悲がある?
聖職者が争いを喜ぶなら、
誰が平和を進んで求めるのです?
ウォリックお譲りください、護国卿殿下。お譲りください、ウィンチェスター。
意地を張って退けつづけ、
主君を殺し、この国を滅ぼすおつもりでないかぎり。
お二人の敵意が、どれほどの災いを、
どれほどの殺し合いまで引き起こしたか、おわかりでしょう。
血に飢えておられぬなら、和睦を。
ウィンチェスターこやつが屈服せぬかぎり、私は決して譲らぬ。
グロスター国王への憐れみゆえ、こちらが折れよう。
さもなければ、この坊主に屈服させられるくらいなら、
先に、その心臓がえぐり出されるのを見届ける。
ウォリックご覧ください、ウィンチェスター卿、公爵は、
不機嫌で険しい怒りを追い払われました。
なだらかになった眉を見れば、わかります。
なぜ、まだそれほど厳しく、悲劇めいたお顔を?
グロスターさあ、ウィンチェスター、この手を取れ。
ヘンリー王恥を知ってください、ボーフォート叔父上! 以前こう説かれた、
悪意は、大きく重い罪だと。
それなのに、自らの教えを守らず、
その罪の第一人者となるおつもりですか?
ウォリックお優しい王よ! 司教を、実に穏やかにお刺しになった。
恥を知り、心を和らげられよ、ウィンチェスター卿!
子供に身の処し方を教わるおつもりか?
ウィンチェスターよかろう、グロスター公爵、そなたに譲ろう。
愛には愛を、手には手を差し出す。
グロスター(傍白。)そうとも。だが、腹の底は偽りに違いない。
グロスターさあ見よ、友たち、愛する同国人たち。
この握手を、われら二人と、
すべての従者との休戦の旗印とする。
神かけて、私には偽りなどない!
ウィンチェスター(傍白。)神かけて、私には、その気などない!
ヘンリー王おお、愛する叔父上、心優しいグロスター公爵、
この約束が、どれほど私を喜ばせたことか!
さあ、皆の者! これ以上、われらを悩ませるな。
主人たちがしたように、おまえたちも友情を結べ。
第一従者承知しました。俺は外科医へ行く。
第二従者俺もそうしよう。
第三従者俺は、酒場にどんな薬があるか見てこよう。
ウォリック慈悲深き陛下、この書状をお受け取りください。
リチャード・プランタジネットの権利を申し立て、
われら一同が、陛下に差し出すものです。
グロスターよくぞ申された、ウォリック卿。お優しい王よ、
もし陛下が、事の一部始終をご覧くだされば、
リチャードに正当な権利を返す、十分な理由がおありです。
ことに、エルタム宮殿で、
私が陛下にお話しした事情がございます。
ヘンリー王叔父上、その事情には、確かな重みがあった。
ゆえに、愛する諸卿、われらは望む、
リチャードを、その血筋に伴う地位へ復帰させることを。
ウォリックリチャードを、その血筋に伴う地位へ復帰させられよ。
そうすれば、父君への不正も償われます。
ウィンチェスター皆が望むなら、ウィンチェスターも望みます。
ヘンリー王リチャードが忠実であるなら、それだけでなく、
ヨーク家に属する、すべての所領を、
直系の子孫である、そなたに与えよう。
プランタジネット陛下の卑しき僕として、死の瞬間まで、
従順に、慎ましくお仕えすると誓います。
ヘンリー王ならば、身をかがめ、わが足もとに膝をつけ。
その忠勤への褒美として、
勇ましいヨークの剣を、そなたに帯びさせる。
立て、リチャード、真のプランタジネットとして。
そして、新たに高貴なるヨーク公爵となって立て。
プランタジネット陛下の敵が倒れるほどに、リチャードは栄えん!
わが忠義が芽吹くほどに、陛下に対して、
ただ一念でも恨みを抱く者は滅びん!
一同ようこそ、高貴な殿下、偉大なるヨーク公爵!
サマセット(傍白。)滅びろ、卑しい殿下、下劣なヨーク公爵!
グロスター今こそ陛下にとって最善なのは、
海を渡り、フランスで戴冠されることです。
王がその場におられれば、臣民と、
忠実な友の胸に愛が生まれ、
敵の胸からは、戦う気力が失われます。
ヘンリー王グロスターが行けと言えば、ヘンリー王は行く。
友の助言は、多くの敵を断ち切るもの。
グロスター船の支度は、すでに整っております。
エクセターそうだ、われらはイングランドでもフランスでも進軍できる。
この先、何が起こりそうかも見えぬまま。
諸侯のあいだに生まれた、今度の不和は、
偽りの愛が作った灰の下で燃え、
ついには、炎となって噴き出すだろう。
膿んだ手足が、少しずつ腐り、
骨も肉も筋も崩れ落ちるように、
この卑しく、妬みに満ちた不和も育ってゆく。
そして今、あの破滅の予言が恐ろしい。
第五代ヘンリーの時代、
乳を吸う赤子までが口にした予言だ。
モンマス生まれのヘンリーは、すべてを勝ち取り、
ウィンザー生まれのヘンリーは、すべてを失う。
あまりにも明らかなゆえ、エクセターは願う、
その不幸な時が来る前に、自分の命が尽きることを。
