フランス王ジャンここに陣を張ろう、わが千隻の艦隊が
海の敵を朝飯にしてしまうまで、
そのめでたい戦果を待つのだ。——
ロレーヌ、エドワードの備えはどうだ?
この遠征に必要な軍装を、
どれほど整えたと聞いている?
ロレーヌ無用なお慰めは脇へ置き、
回りくどい話に時を費やさず申せば、
確かな噂でございます、陛下、
敵は並外れて堅固に守りを固めていると。
臣民は、凱旋へ導かれるかのように、
喜び勇んで戦へ集まっております。
シャルルイングランドといえば、不平分子の巣窟だった、
血に飢え、謀反を企むカティリナども、
財産を使い果たした者、ほかに何も望まず、
ただ国の体制が覆り、変わるのを待ち望む者たちの。
それがあり得るのか、
今や民同士が、それほど忠義で結ばれているとは?
ロレーヌスコットランド人を除けば。かの王は厳かに宣言しております、
以前、陛下へお伝えしたとおり、
決して剣を鞘に収めず、休戦にも応じぬと。
フランス王ジャンああ、それこそ、よりよい希望を繋ぐ錨場だ!
だが一方で、エドワード王が
ネーデルラントに抱え込んだ味方を思うと腹が立つ、
いつも酒浸りの、快楽主義者ども、
二倍濃い麦酒で腹を膨らませた、泡まみれのオランダ人、
どこへ来ようと、飲んでは浴びるあの連中だ。
思えば、余の怒りも少なからず膨れ上がる。
おまけに聞けば、皇帝までやつと手を結び、
みずからの権威を帯びる座へ、やつを据えたという。
だが相手の数が強大になればなるほど、
勝利が刈り取る栄光も、ますます大きくなる。
わが国の兵力のほかにも、味方はある。
峻厳なポーランド人、戦巧者のデーン人、
ボヘミア王とシチリア王が、
みな余と同盟を結び、
今ごろは急ぎ、こちらへ進軍しているはずだ。
フランス王ジャン待て、太鼓の調べが聞こえる、
あれなら、もう間近まで来ているに違いない。
ボヘミア王フランス王ジャンよ、同盟と隣国のよしみが
友のいかなる危難にも求める務めに従い、
わが国の軍勢を率い、そなたを助けに参った。
ポールトルコ人さえ恐れる大モスクワと、
勇猛な男たちを育てる誇り高きポーランドから、
そなたのために戦う、この兵らを連れて参った。
皆、喜んでそなたの大義に命を懸けよう。
フランス王ジャンようこそ、ボヘミア王。皆もよく来てくれた。
この大いなる厚意、余は決して忘れぬ。
王庫から受け取ることになる、
潤沢な金貨の褒美だけではない。
誇りで着飾った、向こう見ずな国の民が来る、
あれを奪えば、三倍の獲物になろう。——
今や希望は満ち足り、喜びは申し分ない。
海では、トロイアの港に臨んだ
アガメムノンの軍勢にも劣らぬ強さ。
陸では、渇きのあまり兵士が川を飲み干したという
クセルクセスの軍勢にも肩を並べる。
ならば、盲馬ベイヤードさながらの、うぬぼれ屋ネッドめ、
わが帝王の王冠へ手を伸ばせば、
海の波に呑み込まれるか、
岸へ上がったところを八つ裂きにされるだけだ。
船乗り海岸近くで見つけました、陛下、
見張りの任に励んでいた折、
エドワード王の誇る大艦隊を。
初めて遠くに見えた時には、
枯れ松の林かと思われました。
ところが近づくにつれ、その姿は輝かしく壮麗、
色とりどりの絹で織った旗が風に流れ、
さまざまな花に満ちた野原のように、
大地の裸の胸を美しく飾ります。
その進む隊列は、威風堂々、
角ある月の円弧を描いております。
旗艦の最上帆柱にも、
その供をする侍女のごとき船すべてにも、
イングランドとフランス、二国を合わせた紋章が、
紋章官の技で等しく四分割されております。
こうして快い風に、きりりと帆を張り、
大海を耕しながら、まっしぐらにこちらへ進んでおります。
フランス王ジャンもう百合の花を摘み取るつもりか?
願わくは、そこから蜜を集めたあと、
近づいて来たやつが、蜘蛛と同じく、
その葉から死の毒を吸い出さんことを。——
だが、わが艦隊はどこだ? どんな備えで、
鴉の群れの飛来に、翼を広げて立ち向かう?
船乗り斥候から知らせを受けますと、
ただちに錨を上げました。帆が風を孕むにも劣らず、
怒りをいっぱいに膨らませ、打って出ました、
腹を空かせた鷲が飛び立ち、
貪欲な胃袋を満たしにかかるように。
フランス王ジャンこの褒美は、知らせの礼だ。船へ戻れ。
血にまみれた戦の一撃を逃れ、
この激突を生き延びたなら、また来て、
戦の有り様を余らに聞かせよ。——
フランス王ジャンその間に、諸卿、敵が上陸する場合に備え、
各所へ散るのが最善だ。
まずボヘミア王、そなたの軍勢は、
低地に陣を敷け。
長男のノルマンディー公は、
モスクワ人の援軍とともに、
別の道から高台へ登れ。
二人の間、この中央の海岸には、
末の息子フィリップと余が陣取る。
さあ諸卿、行け。それぞれの任を果たせ。
そなたらが支えるのは、広く美しき帝国フランスだ。——
フランス王ジャンさてフィリップ、そなたの考えを聞かせよ、
イングランド人が突きつけた、この挑戦について。
フィリップ陛下、エドワードが何を主張しようと、
どれほど明白な系図を持ち出そうと、
今、王冠を手にしているのは父上、
それこそ法の何より確かな一点です。
たとえそうでなくとも、やつが勝つより先に、
このかけがえのない血を、水路となって流しましょう、
さもなくば、さすらう成り上がりどもを故国へ追い返します。
フランス王ジャンよく言った、若きフィリップ! パンと葡萄酒を運ばせよ、
食事で腹を奮い立たせ、
敵の顔を、いっそう険しく睨めるようにな。
フランス王ジャン海の重苦しい一日が、今始まった。
戦え、フランス人よ、戦え。洞穴で子を守る、
熊の群れのようになれ!
怒れるネメシスよ、幸運の舵を取れ。
そなたの憤怒が放つ、硫黄の戦火で、
イングランド艦隊を打ち散らし、海底へ沈めよ!
フィリップああ父上、こだまする、この砲声は、
こよなく甘い調べのように、食べた物をこなしてくれます!
フランス王ジャン小僧、今聞こえる雷鳴の恐ろしさこそ、
王国の主権を懸け、鎧を締めるということだ。
大地が目を回し、身震いしながら揺れる時も、
大気から立ち昇ったものが、
極まって稲妻の閃光に弾ける時も、
王たちが膨れ上がった心の憎悪を
解き放とうとする時ほど、人を怯えさせはしない。
フランス王ジャン退却の合図だ。どちらかが劣勢になった。
ああ、それがフランスであったなら! 優しき運命よ、翻れ。
そして翻るついでに、向かい風も変えてくれ、
恵み深い空を味方につけ、
わが兵が敵を打ち負かし、相手を敗走させられるように!
フランス王ジャン胸騒ぎがする。——青ざめた死を映す鏡よ、答えよ、
今日の誉れは、いずれの手に帰した?
息が続くなら、どうか語ってくれ、
この敗北の悲しい顛末を。
船乗り申し上げます、陛下。
慈悲深きわが君、フランスは敗れ、
勝ち誇るエドワードが、勝利を手にしました。
あの鉄の心を持つ二つの艦隊は、
先ほど陛下へご報告しました時、
ともに怒気と、希望と恐怖を満たし、
互いに正面からぶつかろうと急いでおりました。
ついに両軍は接し、敵の旗艦から
わが旗艦へ、幾発もの砲弾が撃ち込まれました。
すると、ほかの船々も、この二隻が
さらなる破滅の手付金を払うのを見て、
火を吐く竜のように、猛然と飛びかかり、
同じく出会いざま、煙る腹から
死の恐ろしい使者を、幾人も送り出しました。
やがて昼は、陰惨な夜へと変わり、
闇は、生きている者も、
命を奪われたばかりの者も、同じように包みました。
友が別れを告げる暇などなく、
たとえあったとしても、轟音があまりに凄まじく、
互いに耳も聞こえず、口も利けぬような有り様でした。
海は紫に染まり、その水路は瞬く間に満ちました、
傷ついた者から流れ出る血潮で、
穴だらけに撃ち抜かれた船板の、
ひび割れた裂け目から、海水が噴き込むのと同じ速さで。
こちらでは、胴から切り離された首が飛び、
あちらでは、ちぎれた腕や脚が宙へ投げ上げられました、
つむじ風が夏の埃を巻き上げ、
空のただ中に撒き散らすように。
よろめく船が裂けるのも見えました、
ぐらつきながら、情け容赦ない大波へ沈み、
高い帆柱の先まで、ついに見えなくなるのも。
守るため、傷つけるため、あらゆる手が尽くされました。
そして、勇気と恐怖がもたらすもの、
決意と臆病がもたらすものを、
われらは生きた絵として示しました。一方は名誉のため、
もう一方は追い立てられながら、激しく剣を振るいました。
勇壮な船ノンパレイユは、大いに働き、
ブーローニュの黒蛇号もまた、奮戦しました、
あれほど見事に帆を広げた船は、かつてありません。
ですが、すべて無駄でした。太陽も、風も、潮も、
ことごとく寝返り、敵方についたため、
われらは力尽くで、道を譲らざるを得ず、
敵は上陸しました。これで話は終わりです。
われらは時ならぬ敗北を喫し、敵は勝ちました。
フランス王ジャンならば今すぐ、各地に分けた軍勢を
一つに合流させるほかはない。
敵が遠くへ展開する前に、戦を挑むのだ。——
来い、優しきフィリップ、ここを立ち去ろう。
この兵の言葉が、父の胸を貫いた。
