第二貴族あいつはこの生垣の角を通るほかない。襲いかかるときは、思いつくかぎり恐ろしげな言葉を吐け。自分で意味が分からなくても構わん。われわれはあいつの言葉を理解しないふりをせねばならんからな、ただし一人だけ、通訳として差し出す者を除いて。
第一兵士隊長、私に通訳をやらせてください。
第二貴族あいつと面識はないのか? 声を知られてはいないな?
第一兵士ありません、保証します。
第二貴族だが、こちらへ返す継ぎはぎ言葉はどうする?
第一兵士あなたが私に話すのと同じ言葉を。
第二貴族あいつには、われわれを敵方に雇われた外国人部隊と思わせねばならん。あいつは近隣諸国の言葉をひと舐めずつ知っている。だから全員、勝手な言葉をでっち上げ、仲間同士の言葉さえ分からぬ顔をしろ。互いに通じていると見せれば、たちまち企みを見抜かれる。鳥の鳴き声だ、ぺちゃくちゃ言えばそれでいい。通訳役、お前だけはひどく老獪らしく振る舞え。だが伏せろ! 来たぞ、二時間を眠ってつぶし、それから帰って自作の嘘を誓い立てる気だ。
パローレス十時か。あと三時間もすれば、戻るには頃合いだ。何をやったことにしよう? 誰もが膝を打つほど、もっともらしい作り話でなければ通らん。連中、俺を怪しみ始めている。近頃は不名誉が、あまりに何度も俺の戸を叩く。俺の舌は向こう見ずすぎる。だが心臓のほうは、その前に立ちはだかる軍神マルスと手下どもが怖くて、舌の吹いた法螺を実行する度胸がない。
第二貴族今のが、お前の舌が生まれて初めて犯した真実だ。
パローレスそもそも何の悪魔にそそのかされて、この太鼓を取り返すなどと請け合った? 不可能だと知り、やる気もなかったというのに。自分でどこか傷つけて、手柄の戦傷だと言うしかない。だが、かすり傷では通らん。「それっぽっちで逃げ帰ったのか」と言われる。深手を負わせる勇気はない。では、どうする? 舌よ、貴様が俺をこんな危地へしゃべり込むなら、バター売り女の口へ貴様を放り込み、バヤジットの無口な騾馬から、代わりの舌を買ってやる。
第二貴族自分が何者か分かっていながら、その何者かのままでいられるものか?
パローレス服を切り裂くか、スペイン剣を折るだけで済めばいいが。
第二貴族それほど安くはまからんぞ。
パローレスそれとも髭を剃り落とし、計略のためだったと言うか。
第二貴族通用せん。
パローレスそれとも服を水浸しにして、裸に剥かれたと言うか。
第二貴族まず無理だ。
パローレス城塞の窓から飛び降りたと誓えば——
第二貴族どれほどの高さだ?
パローレス三十尋。
第二貴族大誓言を三つ重ねても、信じてもらえまい。
パローレス敵の太鼓なら何でもいい、手元にあればなあ。俺が奪い返したと誓うのに。
第二貴族じきに一つ聞こえるさ。
パローレス今こそ敵の太鼓が——
第二貴族スローカ・モヴーサス、カルゴ、カルゴ、カルゴ。
一同カルゴ、カルゴ、カルゴ、ヴィリアンド・パル・コルボ、カルゴ。
パローレスおお、身代金を払う、払う! 目を隠さないでくれ。
第一兵士ボスコス・スロムルド・ボスコス。
パローレスお前たちはムスコス連隊だろう。
言葉が通じず、俺は命を失うことになる。
ここにドイツ人か、デンマーク人、低地ドイツ人、
イタリア人かフランス人がいれば、話してくれ。俺は
フィレンツェ軍を滅ぼす秘密を明かそう。
第一兵士ボスコス・ヴァウヴァド。お前の言葉は分かるし、話すこともできる。ケレリボント、さあ、信仰にすがれ。十七本の短剣がお前の胸に突きつけられている。
パローレスおお!
第一兵士おお、祈れ、祈れ、祈れ! マンカ・レヴァニア・ドゥルチェ。
第二貴族オスコルビドゥルコス・ヴォリヴォルコ。
第一兵士将軍は、ひとまず命を助けてやるとのことだ。
目隠しをしたまま、お前を連れてゆき、
話を引き出す。運がよければ、お前の情報が
命拾いの種になるかもしれん。
パローレスおお、命だけは!
陣営の秘密なら、何もかもお見せする、
兵力も、作戦も。それどころか、聞けば
仰天することまで話そう。
第一兵士偽りなく話すか?
パローレス偽れば、地獄へ落としてくれ。
第一兵士アコルド・リンタ。
来い。猶予を与えられたぞ。
第二貴族行け、ルシヨン伯爵と、私の兄弟に伝えろ、
山鴫を罠にかけた、目隠しのまま取っておくと、
お二人から返事が来るまでな。
第二兵士隊長、承知しました。
第二貴族あいつは俺たちのすべてを、俺たち自身に売り渡すぞ。
その件も報告しろ。
第二兵士そうします。
第二貴族それまでは暗闇に置き、厳重に閉じ込めておこう。
