ジュリアねえ、ルセッタ、今は二人きり、聞かせて、
おまえは私に、恋へ落ちろと勧めるの?
ルセッタはい、お嬢様、うっかりつまずいて落ちなければ。
ジュリア毎日のように言葉の試合を挑んでくる
あの美しい紳士の一団のうち、
おまえの考えでは、誰がいちばん愛する値打ちがある?
ルセッタお名前を順に挙げてください、考えを申します、
浅くつたない、私なりの目利きで。
ジュリア美男のエグラモア様をどう思う?
ルセッタ口も身なりも、すっきり粋な騎士です。
でも、私がお嬢様なら、決して私のものにはしません。
ジュリアお金持ちのメルカティオをどう思う?
ルセッタ財産は結構。でもご本人は、まあまあ。
ジュリア優しいプローテュースをどう思う?
ルセッタまあ、まあ! 私たち女には、なんて愚かさが幅を利かすんでしょう!
ジュリアどうしたの! あの方の名で、なぜそんなに取り乱すの?
ルセッタお許しを、お嬢様——なんともお恥ずかしい。
取るに足らないこの私が、
愛すべき殿方たちを、あれこれ品定めするなんて。
ジュリアどうしてプローテュースだけ、ほかの方と同じに評さないの?
ルセッタなら、こうです。よい方は大勢いても、あの方が一番。
ジュリア理由は?
ルセッタ理由はほかにありません、女の理屈です。
そう思うから、そう思うんです。
ジュリアそれで、あの方へ私の恋を投げろと言うの?
ルセッタはい、その恋を投げても、投げ捨てにはならないと思うなら。
ジュリアでも、ほかの誰より、あの人だけは一度も私の心を動かしてない。
ルセッタでも誰よりもあの方こそ、お嬢様をいちばん愛してます。
ジュリア言葉が少ないなら、愛もほんの少しでしょう。
ルセッタいちばん奥に隠した火こそ、いちばん激しく燃えます。
ジュリア愛を見せない者は、愛していないのよ。
ルセッタいいえ、愛を人に見せる者ほど、愛は薄いものです。
ジュリアあの方の胸の内が分かればいいのに。
ルセッタこの紙をお読みください、お嬢様。
ジュリア「ジュリアへ」。ねえ、誰から?
ルセッタ中身を見れば分かります。
ジュリア言って、言って、誰がおまえに渡したの?
ルセッタヴァレンタイン様の小姓です。たぶん、プローテュース様から。
小姓がお嬢様へ渡そうとしたところ、私が間に居合わせ、
お嬢様の名で受け取りました。どうか、この過ちをお許しください。
ジュリア貞節にかけて、なんて立派な取り持ち女!
よくもふしだらな文など預かれたものね?
私の若さをたぶらかそうと、陰で囁き、企むつもり?
まったく、たいそう値打ちのあるお役目だこと、
おまえはその役にぴったりの役人ね。
さもなくば、二度と私の目の前へ戻らないで。
ルセッタ恋の弁護は、憎しみより高い報酬に値します。
ジュリア行ってくれる?
ルセッタ思う存分、反芻なさるように。
ジュリアそれでも、あの手紙に目を通しておけばよかった——
あの子をまた呼び戻し、
叱りつけたその過ちを、もう一度してと頼むのは恥ずかしい。
なんて間抜けな子、私が生娘だと知っていながら、
無理にでも手紙を見せようとしないなんて!
生娘は、慎みから「いいえ」と言うもの、
差し出した相手には「はい」と読んでほしい時にも。
もう、もう、なんて気まぐれなの、この愚かな恋は。
癇癪持ちの赤ん坊のように、乳母を引っかき、
すぐにしおらしくなって、懲らしめの鞭に口づけする!
なんてつっけんどんに、ルセッタを追い払ったこと、
本当は、喜んでここにいてほしかったのに!
なんて怒った顔をしろと、眉に教え込んだこと、
胸の喜びは、心に笑えと迫っていたのに!
償いには、ルセッタを呼び戻し、
さっきの愚かさを許してと頼まなくては。
ねえ! ルセッタ!
ルセッタお嬢様、何かご用ですか?
ジュリアもう食事の時間かしら?
ルセッタそうならいいのに、
お食事で腹立ちも空腹も鎮めてくだされば、
小間使いを責め立てずに済みますから。
ジュリアそんなにそっと拾い上げたのは何?
ルセッタ何でもありません。
ジュリアでは、なぜ屈んだの?
ルセッタ落とした紙を拾うためです。
ジュリアその紙が、何でもないものなの?
ルセッタ私には何の関わりもありません。
ジュリアなら、関わりのある人のため、そこに置いておきなさい。
ルセッタお嬢様、関わる人の前に置けば、この紙は嘘をつきません、
嘘つきの読み手がつかないかぎり。
ジュリアおまえの恋人の誰かが、おまえに韻文で書いたのね。
ルセッタ節をつけて歌えるようにです、お嬢様。
音をください。お嬢様なら調子をつけられます。
ジュリアそんなおもちゃには、できるだけ低い値しかつけないわ。
「軽い恋」の調べで歌うのが一番ね。
ルセッタその軽い調べには重すぎます。
ジュリア重い! なら、重荷になる折り返しがついてるの?
ルセッタはい、お嬢様がお歌いなら、美しい節になります。
ジュリアでは、なぜおまえが歌わないの?
ルセッタ私はそんな高い音には届きません。
ジュリアその歌を見せなさい。まあ、小生意気な!
ルセッタその調子のまま、最後まで歌い切るおつもりなら——
でも私、この調べは好きになれそうもありません。
ジュリア好きではないの?
ルセッタはい、お嬢様。音が尖りすぎます。
ジュリアおまえこそ、口が尖りすぎよ。
ルセッタいいえ、今のお嬢様は低すぎます、
きつすぎる対旋律で、和音を壊しておいでです——
歌を満たすには、中音が一つ足りません。
ジュリア中音は、おまえの無作法な低音にかき消されたわ。
ルセッタええ、プローテュース様のため、低音で陣取りを挑みました。
ジュリアこんなおしゃべりには、もう悩まされないわ。
ああ、愛の誓いのせいで、なんて大騒ぎ!
ジュリアさあ、行きなさい、紙切れはそこに置いて。
またいじり回して、私を怒らせるつもりでしょう。
ルセッタわざとつれなくしてる。でも、もう一通手紙が来て
同じように怒らせてくれたら、あの方は大喜びする。
ジュリアいいえ、同じ人の手紙でもう一度怒らされたい!
ああ、憎らしい手、こんな愛の言葉を引き裂くなんて!
無法な蜂め、こんな甘い蜜を食べながら、
その蜜をくれる蜂を、おまえの針で殺すなんて!
償いに、紙切れ一枚一枚へ口づけしよう。
見て、ここには「優しいジュリア」。優しくないジュリア!
おまえの忘恩に仕返しするように、
私はおまえの名を、打ちつける石へ投げ、
おまえの侮りを、さげすんで踏みにじる。
そしてここには「恋に傷つくプローテュース」。
かわいそうな傷ついた名! 私の胸を寝床にし、
傷がすっかり癒えるまで、おまえを泊めてあげる。
こうして、妙薬の口づけで傷を調べよう。
でも「プローテュース」は二度か三度、書かれていたはず。
静かに、よい風よ、一文字も吹き飛ばさないで、
この手紙の文字を、一つ残らず見つけるまでは。
ただし私の名は別。その名は、つむじ風がさらい、
ごつごつした、恐ろしく切り立つ岩へ運び、
そこから荒れ狂う海へ投げ込めばいい!
ほら、この一行には、あの人の名が二度書いてある、
「哀れな、見捨てられたプローテュース、恋に燃えるプローテュース、
優しいジュリアへ」——ここは引きちぎってしまおう。
でも、やっぱりやめる。だって、こんなにも愛らしく、
私の名を、嘆きに満ちたあの人の名と結んでいる。
こうして、その名を一つずつ重ねて折ろう。
さあ、口づけして、抱き合って、争って、好きにして。
ルセッタお嬢様、
お食事の支度ができて、お父様がお待ちです。
ジュリア分かった、行きましょう。
ルセッタまあ、この紙切れは告げ口屋のように、ここへ寝かせておくんですか?
ジュリア大事に思うなら、拾っておくのが一番よ。
ルセッタいいえ、置いたことで私はお叱りを受けました——
でも、風邪を引くといけないから、ここには寝かせておけません。
ジュリアひと月も焦がれたように、ご執心なのね。
ルセッタはい、お嬢様、ご覧になったものを何とでもおっしゃればいい。
私だって見えています、お嬢様には目をつぶっているようでも。
ジュリアさあ、さあ。行ってくれる?
