ルーシアス誰だ、タイモン卿のことか。あの方は、わたしの本当によい友人で、誉れ高い紳士だ。
第一の旅人われらは、あの方と面識がないだけで、まさしくそのとおりの方だと知っています。ですが殿、ひとつお伝えできます。世間の噂で聞いた話です。タイモン卿の幸せな時は、もう終わり、過ぎ去り、財産も、あの方から縮み去ろうとしていると。
ルーシアスいや、違う。信じてはならぬ。あの方に、金がなくなるはずはない。
第二の旅人ですが殿、こちらは信じてください。つい先ごろ、あの方の使用人が、ルーカラス卿のもとへ、何十タラントンもの借金を頼みに行きました。それどころか、激しくお願いし、どれほど差し迫っているかも示したのに、断られたのです。
ルーシアス何だと。
第二の旅人申し上げたとおり、断られました、殿。
ルーシアス何という、異様な出来事だ。神々にかけて、わたしまで恥ずかしい。あれほど誉れ高い方を断るとは。そこには名誉など、ほとんど見られぬ。わたし自身、告白せねばならぬが、あの方から少しばかり親切を受けた。金、銀器、宝石、そのような、ささやかな品々だ。あの方が持つものに比べれば、何ほどでもない。それでも、あの方が相手を間違え、わたしのもとへ使いをよこしていたなら、必要な何十タラントンを、決して断らなかっただろう。
セルヴィリアスおお、運よく、あちらに殿がいらっしゃる。お目にかかるため、汗を流してきた。誉れ高き殿。
ルーシアスセルヴィリアス。よいところで会った。では、さらばだ。誉れ高く徳あるおまえのご主人、わが最上の友へ、よろしく伝えてくれ。
セルヴィリアス恐れながら、わが殿から、お届けするよう。
ルーシアスほう、何を届けてくださった。わたしは、あの殿から、これほど大切にしていただいている。いつも、何かを贈ってくださる。どう礼をすればよいと思う。それで今度は、何をくださった。
セルヴィリアス今お届けしたのは、ただ、殿の差し迫ったご事情です。今すぐ必要な何十タラントンかを、閣下に用立てていただきたいと、お願いしております。
ルーシアスタイモン卿は、わたしをからかっておられるのだろう。
五千五百タラントンも、お持ちでないはずがない。
セルヴィリアスですが今は、それより少ない額にも、お困りなのです。
正当なご事情でなければ、
わたしも、この半分ほど熱心にはお願いしません。
ルーシアスセルヴィリアス、本気で言っているのか。
セルヴィリアスわが魂にかけて、本当です。
ルーシアス何という邪悪な獣だったのだ、わたしは。これほどよい機会に備え、自分の手元を満たしておかなかったとは。名誉ある姿を示せたはずなのに。何と運の悪いことに、昨日、わずかな土地を買ったばかりで、大きな名誉を失ってしまった。セルヴィリアス、神々にかけて、今のわたしには、どうにもできぬ。だからこそ、なおさら獣だと言うのだ。実は、わたし自身もタイモン卿へ頼み事の使いを送ろうとしていた。この紳士たちが証人だ。だが今となっては、アテネ中の富をもらっても、送っていなくてよかったと思う。善き殿へ、惜しみない言葉で、よろしく伝えてくれ。親切にできる力がないからこそ、わたしを最も善意に解してくださるよう願っているとな。そして、こうも伝えてくれ。これほど誉れ高い紳士をお喜ばせできぬことは、わが最大の苦しみのひとつだと。善きセルヴィリアス、わたし自身の言葉をそのまま使い、友として、そこまでしてくれるか。
セルヴィリアスはい、そのようにいたします。
ルーシアスいつか、よい形で報いてやろう、セルヴィリアス。
ルーシアスあなたがたの言葉どおり、タイモンは確かに縮んでいる。
一度断られた者が、うまく進めることは難しい。
第一の旅人今のを見たか、ホスティリアス。
第二の旅人ああ、嫌というほど。
第一の旅人これこそ、この世の魂だ。そして、まったく同じ生地から、
おべっか使いの心は、すべて作られている。同じ皿へ、
食べ物を浸すだけの者を、誰が友と呼べる。わたしの知る限り、
タイモンは、この殿の父親も同然だった。
自分の財布を使い、この男の信用を守り、
身代を支えた。それどころか、タイモンの金が、
この男の使用人へ、給金まで払った。この男が酒を飲むたび、
タイモンの銀が、その唇を踏んでいる。
それなのに。ああ、人が恩知らずの姿で顔を出すときの、
何という怪物ぶりを見よ。
この男は、自分の財産に比べれば、慈悲深い者が、
乞食へ恵むほどの額さえ、タイモンへ与えようとしない。
第三の旅人信仰さえ、その行いにうめいている。
第一の旅人わたし自身は、
生まれて一度も、タイモンの食事を味わったことがない。
その気前よさが、わたしの上へ降り、
友という印をつけたこともない。それでも誓って言う。
まことに気高い心、輝かしい徳、
誉れある振る舞いのために、
もし窮乏が、わたしを必要としていたなら、
わが富を、贈り物として差し出し、
その最もよい半分を、あの方へ返しただろう。
それほど、あの心を愛している。だが、もうわかった。
今の人は、憐れみを手放すことを学ばねばならぬ。
処世の計算が、良心より上に座っているからだ。
