公爵いや、聖なる父上、その考えは捨ててください。
恋のちっぽけな矢ごときが、鎧を着込んだ胸を
貫けるなどと思わぬことです。私があなたに
ひそかな庇護を願うには、燃える若者の
狙いと果てより、もっと重く皺深い
目的があります。
トマス修道士殿下、そのことをお話しくださいますか。
公爵聖なる御方、私がいつも人里離れた暮らしを愛し、
若さと金遣いと無分別な華美がうろつく
集まりへ出ることを、つまらぬ値でしか見なかったのを、
あなたほどよく知る方はいない。
私はアンジェロ卿へ、
厳格で堅い禁欲の男へ、
ここウィーンでの私の全権と地位を渡した。
彼は私がポーランドへ旅立ったと思っている。
そう世間の耳へ撒き散らしたからで、
人もそう受け取っている。さて、敬虔な父上、
なぜ私がこうするのかと、お尋ねでしょう。
トマス修道士ぜひとも、殿下。
公爵我らには厳しい法令と、容赦なく噛みつく法がある、
手に負えぬ荒馬を抑えるために必要な、くつわと手綱が。
それを十九年、我らはたるませてきた。
洞穴にこもり、たてがみだけ伸びた獅子が、
獲物を求めて外へ出ないようなものだ。さて、甘い父親が、
脅すための白樺の枝を束ねて、
子供の目に見せるだけ、
使いはせぬのと同じで、時がたてば鞭は
恐れられるより笑われる。だから我らの布告も、
執行を失えば、自らに対して死ぬ。
自由は正義の鼻をつまみ、
赤子が乳母を打ち、すべての礼法が
まるきり逆さにゆく。
トマス修道士その縛られた正義をほどくことは、
殿下がお望みならできたことです。
それをなされば、アンジェロ卿の場合より
殿下にはもっと恐ろしく見えたでしょうが。
公爵そのとおり。恐ろしすぎるのだ。
民へ放縦を許したのが、私の過ちなら、
その民を今さら打ち、苦しめるのは暴政になる、
私がせよと命じたも同じ行いのために。なぜなら我らは、
悪事へ通行許可を与え、
罰を与えなかった。だからこそ、父上、
私はアンジェロに、この役目を負わせた。
あの者なら、私の名を隠れ蓑に、深く斬り込める。
しかも、その戦いに私の気質は姿を見せず、
そしりを受けずにすむ。その支配を見届けるため、
私は、あなたの修道会の一兄弟を装い、
君主と民、双方を訪ねる。だから、どうか、
修道服を用意し、教えてください、
どう振る舞えば、外見も所作も、
真の修道士になれるか。この策の理由は、さらに、
時間のある時、お話ししよう。
今は一つだけ。アンジェロ卿は潔癖で、
非難を警戒し、身構えている。自分にも、
血が流れることや、自分の食欲が、
石よりパンを欲しがることさえ、ほとんど認めない。だから見よう、
権力が志を変えるなら、見かけの善人の正体が何かを。
