フランス王女丘の急な上り坂へ向かい、あれほど馬へ拍車を掛けたのは、
ナヴァール王でしたか。
ボイエット分かりません。ですが、王ではなかったと思います。
フランス王女誰であれ、高みを目指す心は見せました。
さて皆さん、今日は返事をいただけるでしょう。
土曜日には、フランスへ帰ります。
では、友なる森番よ、茂みはどこです、
わたしたちが立ち、人殺しの役をする場所は。
森番すぐそこ、向こうの雑木林の縁です。
最も見事に射てる、狩り場があります。
フランス王女わたしの美しさに感謝しましょう。射るわたしが美しいから、
あなたも「最も美しく射てる」と言うのですね。
森番お許しを、王女様、そのような意味ではありません。
フランス王女まあ、まあ。初めに褒めておいて、すぐ違うと言うの。
何と短命な誇りでしょう。美しくない。ああ、悲しい。
森番いいえ、王女様、美しいです。
フランス王女もう、わたしを言葉で塗らなくてよい。
美しさがなければ、褒めても額は直りません。
ほら、善き鏡よ、真実を言った褒美です。
醜い言葉へ美しい支払い、充分すぎるほど。
森番あなたが受け継いだものは、美しさ以外にありません。
フランス王女ほら、見なさい、わたしの美しさが、褒美に救われた。
美への異端、今の時代にはふさわしい。
金を与える手は、醜くても美しい賛辞を得るのです。
ですが、弓を。今、慈悲が殺しに向かい、
見事に射るほど、悪い行いと数えられます。
こうして狩りの評判だけは守りましょう。
傷つけなければ、憐れみが許さなかったから。
傷つければ、腕前を見せるため。
殺す目的より、褒められることを求めたから。
確かに、時にはこうして、
栄光が、憎むべき罪の罪人になります。
名声のため、外から見える賛辞のため、
心の働きとは違う行いへ、身を曲げる時に。
今のわたしも、褒められたい一心で、
害する気のない哀れな鹿の血を、流そうとしています。
ボイエット気の強い妻たちが、夫の上へ
君臨しようと争い、その主権を保つのも、
褒められたい一心からでは。
フランス王女褒められたい一心から。そして殿方を征服する御婦人なら、
誰にでも、わたしたちは賛辞を差し上げましょう。
ボイエットこの国の一員がやって来ます。
コスタード皆様、こんちは。お尋ねしますが、頭の御婦人はどなたです。
フランス王女ほかの者に頭がないのを見れば、その人が分かります。
コスタード一番大きな、一番高い御婦人は、どなたです。
フランス王女一番太く、一番背が高い人。
コスタード一番太く、一番背が高い。まさにそう、真実は真実です。
奥様の腰が、わしの知恵ほど細ければ、
こちらの侍女の帯でも、腰に合うでしょう。
あなたが一番偉い女ですか。ここで一番太いですから。
フランス王女何が望みです。何が望みです。
コスタードビローン殿から、ロザラインという御婦人へ手紙があります。
フランス王女おお、手紙ね、手紙。ビローンは、わたしの善き友です。
善き配達人よ、脇へ。ボイエット、あなたは肉を切り分けられますね。
この去勢鶏を、切り開いてください。
ボイエット喜んで、お仕えします。
この手紙は間違っています。ここにいる誰にも関係がない。
ジャクネッタ宛てです。
フランス王女それでも読みましょう、誓って。
封蝋の首を折り、皆で耳を傾けましょう。
ボイエット(手紙を読む。)「天にかけ、そなたが美しいことは絶対に誤りなく、そなたが麗しいことは真、そなたが愛らしいことは真理そのものである。美しいよりさらに美しく、麗しいより美麗に、真理そのものより真実なる者よ、そなたの英雄的臣下を憐れみたまえ。度量広く、最も輝かしきコフェチュア王は、危険にして疑いなき乞食ゼネロフォンへ目を留めた。そして王こそ正しく「来た、見た、勝った」と言いうる者であった。これを俗語、ああ卑しく暗き俗語へ解剖すれば、すなわち「王は来た、見た、征服した」。来た、一。見た、二。征服した、三。誰が来た。王。なぜ来た。見るため。なぜ見た。征服するため。誰のもとへ来た。乞食。何を見た。乞食。誰を征服した。乞食。結論は勝利。どちら側の。王。捕虜は豊かになった。どちら側の。乞食。大破局は婚礼。どちら側の。王。否、一つになった両者、あるいは両者の中の一つ。わたしは王、比較がそう定める。そなたは乞食、その低き身分が証言する。そなたの愛へ命令しようか。できる。そなたの愛を強いようか。可能だ。そなたの愛を請おうか。そうしよう。ぼろを何と交換する。礼服。小さな点々を何と。肩書。そなた自身を何と。わたしを。返事を待ちながら、わが唇をそなたの足へ、目をそなたの姿へ、心をそなたのあらゆる部分へ捧げ、汚す。最愛の企てへ励む、そなたのもの。
ドン・アドリアーノ・デ・アーマード。」
こうして、ネメアの獅子が吠えるのを聞け、
餌食として立つ子羊よ、そなたに向けて。
王者の足もとへ、従順に身を伏せよ、
そうすれば獅子は、餌を食うのをやめ、遊んでくれる。
だが抵抗すれば、哀れな魂よ、そなたは何になる。
怒りの餌、巣穴で食らう食事となる。
フランス王女この手紙を書いたのは、どんな羽飾りの男です。
どんな風見板、どんな風見鶏。これ以上のものを聞いたことがありますか。
ボイエットよほどの思い違いでなければ、この文体には覚えがあります。
フランス王女つい先ほど目を通したのに、覚えていなければ、記憶が悪すぎます。
ボイエットこのアーマードは、宮廷に居つくスペイン人。
空想の化け物、自称の王、
王子と本の仲間たちを楽しませる男です。
フランス王女そこの人、一言。
誰が、この手紙を渡しました。
コスタード言いましたよ、わしの殿様です。
フランス王女誰に渡すはずでした。
コスタードわしの殿様から、わしの御婦人へ。
フランス王女どの殿様から、どの御婦人へ。
コスタード善き御主人、ビローン殿から、
ロザラインと呼んでいた、フランスの御婦人へ。
フランス王女手紙を取り違えましたね。皆さん、行きましょう。
フランス王女ほら、可愛い人、しまっておきなさい。別の日には、あなたのものになります。
ボイエット求婚者は誰。求婚者は誰。
ロザライン見分け方を、教えてあげましょうか。
ボイエットええ、わが美の大陸よ。
ロザライン決まっているでしょう、弓を持っている女。
うまく質問をかわした。
ボイエット王女様は、角ある鹿を殺しに行く。だが、あなたが結婚すれば、
その年、夫の角が無事に生まれぬなら、わたしの首を吊れ。
うまく角をかぶせた。
ロザラインよろしい、それなら射手はわたし。
ボイエットでは、あなたの鹿、愛しい獲物は誰です。
ロザライン角で選ぶなら、あなたは近寄らないで。
本当に、うまく角をかぶせた。
マライアまだロザラインと争うの、ボイエット。額を狙い撃ちされていますよ。
ボイエットだが本人は、もっと下を撃ち抜かれた。今度は当てただろう。
ロザライン「当てる」話なら、フランスのペパン王が小さな少年だった頃、もう一人前だった古い諺で、あなたを迎え撃ちましょうか。
ボイエットならば、ブリテンのグィネヴィア王妃が小娘だった頃、もう一人前の女だった古い諺で、「当てる」に答えよう。
ロザラインあなたには当てられない、当てられない、当てられない。
あなたには当てられない、善きお方。
ボイエットわたしにできない、できない、できないなら、
わたしにできなくても、別の男ができる。
コスタード誓って、実に愉快。二人とも、ぴたりとはめた。
マライア驚くほど見事に射た的です。二人とも命中しました。
ボイエット的。おお、その的をよく見ろ。御婦人が「的」と言った。
狙えるように、的の中へ尖った印を一本立てよう。
マライア弓を持つ手の側へ大外れ。本当に、腕が狂っています。
コスタード確かに、もっと近くを射たなきゃ、布の的には永遠に当たらない。
ボイエットわたしの手が外なら、どうやら、あなたの手は中にある。
コスタードならば女は、真ん中の杭を割り、最後の一射をいただきます。
マライアもう、やめなさい、脂ぎった話ばかり。唇が汚れてきました。
コスタード尖った印の勝負では、あの人が旦那より上だ。次は玉転がしで勝負なさい。
ボイエット体をこすり合いすぎるのが怖い。おやすみ、わが善き梟よ。
コスタード魂にかけて、田舎者だ。実に単純な道化だ。
神様、神様、御婦人たちとわしとで、何と見事にあいつを負かしたことか。
誓って、実に甘い冗談。実に可愛らしい庶民の知恵。
あれほど滑らかに、いわば、あれほど猥らに、ぴたりと出て来る時には。
一方にはアーマード。おお、実に優美な男。
御婦人の前を歩き、扇を持つところを見てみたい。
手へ口づけするところを。何と甘美に誓いを立てることか。
もう一方には小姓、手のひら一杯の知恵。
ああ、天よ、実に感動的な小さな虱だ。
ソーラ、ソーラ。
