ヘンリー王この命そのもの、命の最も尊い心から、
その大いなる配慮に礼を言う。私は、弾を満たした
陰謀の砲口に立っていた。それを塞いだ
そなたに感謝する。バッキンガムの例の男を
ここへ呼べ。本人の口から、
その告白が真実だと証し立てるのを聞こう。
主人の反逆を一つ一つ、
もう一度語らせるのだ。
キャサリン王妃いいえ、もうしばらくひざまずかねば。お願いがございます。
ヘンリー王立って、我らの傍らへ。願いの半分は
口にするな。そなたは我が力の半分を持つ。
残りの半分も、願う前に与えよう。
望みを述べ、受け取るがよい。
キャサリン王妃陛下、ありがとうございます。
陛下がご自分を愛し、その愛ゆえに
ご自身の名誉も、御位の
尊厳も、顧みずに放置なさらぬこと、
それが私の願いです。
ヘンリー王妃よ、続けよ。
キャサリン王妃少なからぬ者から訴えを受けました、
しかも信頼に足る者たちです。陛下の臣民が
大きな苦しみの中にいる、と。各地へ徴収委任状が
送られ、それが臣民すべての忠誠の心に
ひびを入れています。そのことで、
枢機卿閣下、民はこの取り立てを
始めた者として、あなたを最も激しく
非難しています。けれど、我らが主君、国王——
その名誉を天が汚れから守りますように!——陛下でさえ、
無礼な言葉を免れません。それどころか、その言葉は
忠誠の脇腹を突き破り、今にも声高な
反乱となって現れそうです。
ノーフォーク現れそうなのではない、
現れています。この課税のため、
織物業者は、配下の多くの者を
養えず、糸紡ぎ、梳毛工、縮絨工、
織工を解雇しました。彼らは
他の仕事では生きられず、飢えと
手段のなさに追い詰められ、結果を真っ向から
恐れず、絶望のうちに騒ぎ立っています。
危険が彼らの間で幅を利かせています。
ヘンリー王課税だと!
何に対する、どんな課税だ? 枢機卿、
我らと同じく、そのことで非難されているそなた、
この課税を知っているのか?
ウルジー陛下、
国事に関わることなら、私が知るのは
一人分にすぎません。この件の隊列でも、私が前に出るのは、ただ
他の者と歩調を合わせる一人としてです。
キャサリン王妃ええ、閣下、
あなたが知るのは他の方と同じだけ。けれど、あなたは
皆が等しく知る事柄を組み立てます。その事柄は、
知りたくない者にも有害なのに、彼らは
無理やり知り合わされる。この取り立てを、
陛下はお知りになりたい。その重荷は
担う者にとって疫病そのもの。担えば、
背中が荷の生贄になります。民は
あなたの考案だと言っています。そうでなければ、
あなたへの非難があまりに酷すぎます。
ヘンリー王まだ取り立ての話か!
正体は何だ? どんなものか聞かせよ、
その取り立てとは?
キャサリン王妃私はあまりにも向こう見ずに、
陛下のご辛抱を試しております。ですが、お許しくださるとの
お約束に勇気を得ました。臣民の嘆きは
委任状から来ています。それは一人一人の
財産の六分の一を、遅滞なく
取り立てよと命じるもの。その名目は
陛下のフランスでの戦です。これが口を大胆にする。
舌は忠義を吐き捨て、冷えた心は
内なる忠誠を凍らせる。今や呪いが、
かつて祈りのあった場所に住む。そしてついには、
あれほど従順だった服従が、怒りに燃える
一人一人の意志の奴隷になりました。陛下には
一刻も早くご熟慮いただきたいのです。
これより先にすべき務めはありません。
ヘンリー王我が命にかけて、
これは我らの意向に反する。
ウルジー私について言えば、
この件で果たした以上の役割はない、
一票を投じただけです。それさえ私を通ったのは、
法官たちの学識ある承認を得たから。もし私が、
私の職権も人柄も知らぬ
無知な舌に中傷され、それでもその舌が
私の行いの年代記になろうというなら、こう申します、
それは高い地位の宿命、美徳が
抜けねばならぬ荒い茨の藪にすぎない。我らは、
悪意ある批評家に立ち向かうのを恐れて、
必要な行動を控えてはならない。彼らは常に、
飢えた魚のように、装いを新たにした
船を追うが、むなしく欲しがるだけで
何の益ももたらさない。我らが最善を尽くしても、
病んだ解釈者、すなわち弱者にかかれば、
我らの行いではない、あるいは認められぬと言われる。最悪の行いは、
下卑た性質に響くため、しばしば
最上の仕事ともてはやされる。動けば
嘲られ、難癖をつけられるのを恐れて立ち止まるなら、
我らは座ったこの場に根を生やすか、座ったまま
威厳を飾る石像になるほかない。
ヘンリー王よく成されたこと、
注意を尽くして成されたことは、恐れを免れる。
前例なく成されたことは、その結末を
恐れねばならぬ。この委任状に
前例はあるか? 一つもあるまい。
臣民を法から引き裂き、
我らの意志に突き刺してはならぬ。各人の六分の一?
身も震える献金だ! それでは、あらゆる木から
枝も、皮も、材の一部も奪うことになる。
根を残しても、そこまで切り刻めば、
空気が樹液を飲み干す。この件が問題となった
すべての州へ、我らの書状を送れ。
この委任状の強制を拒んだ者すべてに
無条件の赦免を与える、と。頼む、処置せよ。
そなたに任せる。
ウルジー一言、こちらへ。
ウルジー各州へ書状を書け、
王の恩赦と慈悲を伝えるのだ。苦しむ民は
私をひどく誤解している。この撤回と
赦免は、我らの取りなしによるものだと
広めさせろ。手順については追って
さらに指図する。
キャサリン王妃バッキンガム公が
陛下のご不興を買ったことを、悲しく思います。
ヘンリー王多くの者が悲しんでいる。
あの男は学識があり、まことに類まれな弁舌家。
天賦の才に、あれほど恵まれた者はいない。鍛錬も深く、
大教師たちに材料を与え、教えを授けられるほどで、
自分の外に助けを求める必要もない。だが見よ、
これほど気高い恵みも、
使い道を誤り、ひとたび心が腐れば、
悪徳の姿に変わり、かつて美しかったときの
十倍も醜くなる。あれほど完成され、
驚異の一人に数えられた男、我らが
聞き惚れて、一時間の話を
一分とも思わなかった男が、妃よ、
かつての美点を怪物じみた習性に変え、
地獄の煤を塗られたように
黒くなった。傍らに座れ。これから聞くのだ——
これはあの男が信頼した家臣だった——彼の口から、
名誉さえ悲しませる話を。先ほど述べた
数々の企みを語らせよ。その害を身に受けるのは
いくら少なくてもよいが、聞くのはいくら多くてもよい。
ウルジー前へ出て、大胆な心で語れ。
忠実な臣民らしく、バッキンガム公から
探り集めたことを。
ヘンリー王遠慮なく話せ。
監督官まず、公爵は毎日のように、
その言葉に染みつくほど言っていました。もし王が
世継ぎなく亡くなれば、自分が事を運び、
王笏を我がものにする、と。まさにこの言葉を、
私は公爵が婿の
アバーガヴェニー卿に言うのを聞きました。またその方には、誓って
枢機卿への復讐をすると脅していました。
ウルジー陛下、ここに潜む
危険な考えをお留めください。
願いに味方する運がなければ、陛下ご自身への
意志は最も邪悪なものとなり、それは
陛下を越えて、ご友人にまで及びます。
キャサリン王妃学識ある枢機卿閣下、
すべてを慈愛の心でお述べください。
ヘンリー王続けよ。
我らに世継ぎがなければ、何を根拠に
王冠への権利を唱えるつもりだった? この点について、
いつか何か言うのを聞いたか?
監督官公爵をその考えへ導いたのは、
ニコラス・ホプキンズの空しい予言です。
ヘンリー王そのホプキンズとは何者だ?
監督官陛下、シャルトルーズ会の修道士で、
公爵の聴罪司祭です。絶えず公爵に
王となる話を食わせていました。
ヘンリー王なぜ、それを知っている?
監督官陛下がフランスへお発ちになる少し前、
公爵がセント・ローレンス・ポールトニー教区の
ローズ邸にいたとき、私に尋ねました、
今度のフランス行きについて、ロンドン市民は
何と言っているか、と。私は答えました、
フランス人が不実に転じ、
王に危険を及ぼすのを皆が恐れている、と。すると公爵は、
まさしくそれが恐ろしいと言い、さらに疑うには、
ある聖なる修道士が語った言葉が
真実になりはしまいか、と。「その修道士は何度も」と公爵は言いました、
「私に使いを寄こし、私の礼拝堂付き司祭、
ジョン・ド・ラ・カーに、都合のよいとき
大事な話を聞きに来させてほしいと頼んだ。
やがて告解の秘密を守る誓いのもと、
修道士は司祭に厳かに誓わせた、
これから話すことを、生きとし生ける誰にも、ただ
私だけに明かすように、と。そして重々しく確信をこめ、
間を置きながら、こう続けた——王も王の世継ぎも
栄えることはない、と公爵に告げよ。民衆の
愛を得るよう努めよと命じよ。公爵が
イングランドを治めることになる」と。
キャサリン王妃私の記憶が確かなら、
あなたは公爵の監督官だったが、小作人たちの訴えで
職を失ったはず。よく気をつけなさい、
私怨から高貴な方を告発し、
もっと高貴であるべき自分の魂を汚さぬように。気をつけなさい。
心からお願いします。
ヘンリー王好きに話させよ。
続けよ。
監督官魂にかけ、真実しか申しません。
私は公爵に言いました、悪魔の幻に
修道士は欺かれたのかもしれない。そこまで深く
このことを思い巡らすのは危険です、
何かの企てを心に鍛え上げ、それを信じ込むまでになりかねない、
おそらくそうなります、と。公爵は答えました、「ふん、
そんなもの、私には何の害もない」。さらに、
もし王が先のご病気で亡くなっていたら、
枢機卿とサー・トマス・ラヴェルの首は
飛んでいた、と付け加えました。
ヘンリー王何! そこまで腐りきったか? ああ!
この男には害意がある。まだ先があるか?
監督官ございます、陛下。
ヘンリー王続けよ。
監督官グリニッジにいたとき、
陛下がサー・ウィリアム・ブローマーのことで
公爵をお叱りになったあと——
ヘンリー王そのときのことは覚えている。我が誓約の家臣を、
公爵は自分の家臣として抱えたのだ。だが続けよ。
それからどうした?
監督官「もしあのことで私が投獄されていたら」と公爵は言いました、
「ロンドン塔へだ。そう思っていた。私は、
父が簒奪者リチャードに対して
演じようとした役を演じただろう。父はソールズベリーで、
リチャードへの目通りを願い出た。許されていれば、
忠義を示すふりをして、
あいつに短刀を突き立てただろう」と。
ヘンリー王なんたる大逆の巨人!
ウルジーでは、王妃様。陛下を自由に生かしておいて、
この男も牢の外に置けましょうか?
キャサリン王妃神よ、すべてを正したまえ!
ヘンリー王まだ何か吐き出したそうだな。何だ?
監督官「公爵の父」と「短刀」の話のあと、
公爵は背筋を伸ばし、片手を短刀に置き、
もう一方を胸に広げ、目を吊り上げ、
恐ろしい誓いを吐きました。その意味は、
もし自分が不当に扱われたなら、父を
はるかにしのいでみせる、実行が
煮え切らぬ企てをしのぐほどに、と。
ヘンリー王それが奴の終止符だ、
短刀を我らに突き立てることが。奴は捕らえた。
ただちに裁判にかけよ。法のうちに
慈悲があるなら受ければよい。なければ、
我らに求めるな。昼にも夜にも、
奴は紛れもない大逆人だ。
