キャサリンアリス、そなたはイングランドにいたことがあって、あの国の言葉が上手に話せるのね。
アリス少しばかりでございます、姫様。
キャサリンお願いだから教えて。私は話せるようにならなければ。手のことはイングランドの言葉で何と言うの?
アリス手でございますか? 「ハンド」と申します。
キャサリン「ハンド」。では指は?
アリス指ですか? まあ、指は忘れてしまいました。でも思い出しますわ。指ですね? たしか「フィンガーズ」と申したかと存じます。ええ、「フィンガーズ」。
キャサリン手は「ハンド」、指は「フィンガーズ」。私はよい生徒だと思う。イングランドの言葉を二つも早く手に入れたもの。爪は何と言うの?
アリス爪ですか? 「ネイルズ」と申します。
キャサリン「ネイルズ」。お聞き。うまく言えているか言っておくれ。「ハンド」、「フィンガーズ」、そして「ネイルズ」。
アリスよくおできになりました、姫様。まことに立派なイングランド語でございます。
キャサリン腕はイングランドの言葉で何と言うの。
アリス「アーム」でございます、姫様。
キャサリンでは肘は?
アリス「エルボー」。
キャサリン「エルボー」。今まで教えてもらった言葉をぜんぶ、自分で繰り返してみましょう。
アリスそれはあまりに難しゅうございましょう、姫様。
キャサリンそんなことはない、アリス。お聞き。「ハンド」、「フィンガーズ」、「ネイルズ」、「アーム」、「ビルボー」。
アリス「エルボー」でございます、姫様。
キャサリンおお、神様、忘れてしまった! 「エルボー」。首は何と言うの?
アリス「ネック」でございます、姫様。
キャサリン「ニック」。では顎は?
アリス「チン」。
キャサリン「シン」。首は「ニック」、顎は「シン」。
アリスさようでございます。恐れながら申し上げますが、まことにイングランド生まれの人と同じくらい正しくお発音になっておられます。
キャサリン神様の恵みによって、じきに覚えられると私は少しも疑っていません。
アリスお教えしたことを、もうお忘れになってはおられませぬか?
キャサリンいいえ、すぐにそなたに唱えてみせましょう。「ハンド」、「フィンガーズ」、「メイルズ」——
アリス「ネイルズ」でございます、姫様。
キャサリン「ネイルズ」、「アーム」、「イルボー」。
アリス恐れながら、「エルボー」でございます。
キャサリン私もそう言っているのです。「エルボー」、「ニック」、そして「シン」。足と衣装は何と言うの?
アリス「フット」でございます、姫様。それに「クン」。
キャサリン「フット」に「クン」! おお、神様! それは響きの悪い、下品な、ぶしつけな、はしたない言葉ではありませんか。名誉ある婦人が口にするものではない。私はあの言葉をフランスの殿方の前で口にするくらいなら、世界中を差し出してもよい。まあ! 「フット」に「クン」! それでももう一度、お稽古をひと続きに唱えてみましょう。「ハンド」、「フィンガーズ」、「ネイルズ」、「アーム」、「エルボー」、「ニック」、「シン」、「フット」、「クン」。
アリスお見事でございます、姫様!
キャサリン一度にはこれで十分。食事に参りましょう。
