王さて諸卿、我らの戸口で血を流すこの争いに、
神がよき終わりを与えてくださるなら、
我らは残る若き日々を、さらに高い戦場へ導き、
聖別された剣のほかは、二度と抜くまい。
艦隊は整い、軍勢は集まり、
我らの不在を預かる者には、十分な権限を授けた。
すべてが望みどおり、平らに道を開いている。
ただ我が身に、少し力が足りぬ。
そして今、武器を取っている反逆者どもが、
統治の軛へ入るまで、我らを足止めしている。
ウォリックそのどちらも陛下は間もなく、
必ず手にされると信じております。
王我が息子、グロスターのハンフリー、
兄の王子はどこだ。
グロスター陛下、ウィンザーへ狩りに出たと思います。
王誰を連れている。
グロスター存じません、陛下。
王弟のクラレンス公トマスは、一緒ではないのか。
グロスターいいえ、陛下。ここに控えております。
クラレンス父上、何をお望みですか。
王クラレンス公トマス、そなたの幸せのほか、何も望まぬ。
なぜ兄の王子と一緒にいない。
兄はそなたを愛しているのに、そなたは兄を顧みぬ、トマス。
兄弟の誰よりも、兄の愛情の中で
そなたはよい場所を占めている。大切にせよ、我が子。
私が死んだあと、兄の偉大さと、ほかの弟たちの間で、
気高い仲立ちの務めを果たせるだろう。
ゆえに兄をおろそかにするな。愛を鈍らせるな。
兄の望みに冷淡で、無頓着に見えることで、
その寵愛が与えるよい機会を失うな。
兄は丁重に扱われれば、慈悲深い。
憐れみの涙を持ち、その手は、
心を溶かす施しへ、真昼のように開かれている。
だがいったん怒れば、火打石だ。
冬のように気まぐれで、春の日の朝に
凍りつく突風のように、突然変わる。
ゆえに、その気性をよく見極めねばならぬ。
血が楽しさへ傾いていると見たとき、
過ちを叱れ。ただし敬意をもって。
だが不機嫌なときは、手綱と場所を与え、
陸へ上がった鯨がもがくように、
激情が働き疲れて、自らを滅ぼすまで待て。
これを学べ、トマス。そうすれば、そなたは友の避難所となり、
兄弟を一つに束ねる金の箍となる。
兄弟の血を合わせた器へ、
そそのかしの毒が混ざっても、
これからの時代が、どうしてもそれを注ぐだろうが、
トリカブトや軽率に扱う火薬のように激しく働いても、
その器は決して漏れぬだろう。
クラレンスあらゆる心遣いと愛をもって、兄上を見守ります。
王トマス、なぜ兄とともにウィンザーにいない。
クラレンス今日は兄上も、そこにはおりません。ロンドンで昼食を取られます。
王誰と一緒だ。それはわかるか。
クラレンスポインズと、いつもの取り巻きたちです。
王最も肥えた土地ほど、雑草に覆われやすい。
私の若き日の気高い姿である、あの子も、
雑草に覆われている。ゆえに我が悲しみは、
死の時を越え、その先まで伸びる。
私が祖先とともに眠ったあと、
そなたたちが目にする、導きのない日々と腐った時代を、
想像の中で形にすると、心臓から血が涙となって流れる。
あの子の向こう見ずな放埒に、手綱をかける者がいなくなり、
怒りと熱い血が助言者となり、
財力と浪費の気質が一つになれば、
ああ、あの子の欲望は、どれほど速い翼で、
正面から迫る危険と破滅へ飛ぶことか。
ウォリック慈悲深き陛下、王子の先を、あまりに遠く見すぎておられます。
王子は仲間たちを、見知らぬ言葉のように学んでいるだけです。
その言葉を身につけるには、
最も恥知らずな語まで見て、覚える必要がある。
しかし一度身につけば、陛下もご存じのとおり、
それ以上、使うことはなく、ただ知って憎むためだけに残る。
同じように王子は、時が満ちて完全な人となれば、
下品な言葉を捨てるように、取り巻きを捨てるでしょう。
そして、その記憶は手本、物差しとなって残り、
殿下はそれによって、ほかの人々の生き方を量る。
過ぎた悪を、役立つものへ変えるのです。
王蜂が、死んだ腐肉へ巣を残して去ることは、
めったにない。
王誰だ。ウェストモーランドか。
ウェストモーランド我が君にご健康を。そして、これからお届けする幸せへ、
さらに新しい幸せが加わりますように。
ご子息ジョン王子が、陛下のお手に口づけを。
モーブレー、スクループ大司教、ヘイスティングズほか全員は、
陛下の法による裁きを受ける身となりました。
今、鞘から抜かれた反逆者の剣は一つもなく、
平和が、いたるところでオリーブの枝を差し出しています。
この一件がどのように運ばれたか、
その経緯一つ一つは、こちらで、お時間のある折に
陛下がお読みになれます。
王ああウェストモーランド、そなたは夏の鳥。
冬の背後で、いつも日の昇ることを歌う。
王見よ、さらに知らせだ。
ハーコート天が陛下を敵からお守りくださいますように。
そして敵が立ち向かうときには、
これからお伝えする者たちのように倒れますように。
ノーサンバランド伯とバードルフ卿は、
イングランド人とスコットランド人の大軍を率いましたが、
ヨークシャーの州長官に打ち破られました。
戦いの経緯と正しい順序は、
よろしければ、この包みに詳しく記されております。
王なぜ、これほどよい知らせが私を病ませる。
運命は決して、両手を満たして来ないのか。
美しい言葉を、いつも最も醜い文字で書くのか。
食欲だけ与え、食物を与えぬ。
健康な貧しい者たちがそうだ。
あるいは宴を与え、食欲を奪う。
豊かさを持ちながら、楽しめぬ富める者たちがそうだ。
今、この幸せな知らせを喜ぶべきなのに。
目が見えなくなり、頭が回る。
ああ、皆、そばへ来てくれ。ひどく具合が悪い。
グロスターお気を確かに、陛下。
クラレンスああ、王たる父上。
ウェストモーランド我が君、気を強くお持ちください。顔をお上げください。
ウォリック王子方、落ち着かれよ。ご存じのとおり、この発作は
陛下には、いつものことです。
そばを離れ、風を入れよ。すぐお戻りになる。
クラレンスいいえ、いいえ。この痛みに長くは耐えられません。
心が休みなく苦労し、働いたため、
心を閉じ込めるはずの壁が薄くなり、
命が透けて見え、今にも破って出ようとしています。
グロスター民が恐れられます。人々は、
父のわからぬ相続人や、自然の忌まわしい出産を見ています。
季節は振る舞いを変え、まるで一年が
幾月かを眠ったまま見つけ、飛び越したようです。
クラレンス川は引くことなく、三度も満ちました。
時を愛しすぎる年代記である老人たちは言います。
我らの曽祖父、大エドワードが病み、死ぬ
少し前にも、同じことがあったと。
ウォリック王子方、声を低く。陛下が意識を戻されます。
グロスターこの卒中が、間違いなく陛下の最期となる。
王頼む、私を起こし、ここから
別の部屋へ運んでくれ。静かに、頼む。
