王なんと血の色に染まって、太陽が顔を出すことか、
あの茂った丘の上に。日の光も、
太陽のあの不機嫌に、青ざめて見える。
皇太子南風が、
太陽の思惑を告げる喇叭の役を演じて、
木の葉のあいだで虚ろな口笛を吹き、
嵐と、吹き荒れる一日の来ることを予言しています。
王それならば、風は負ける者たちに味方して嘆くがいい。
勝つ者の目には、汚らわしく見えるものなど何ひとつないのだからな。
王これはこれは、ウスター卿。良くないことだ、
そなたと私が、このようなかたちで
顔を合わせねばならんとは。そなたは私の信頼を裏切り、
安らかな平和の衣を脱ぎ捨てさせて、
この老いた手足を、無情な鋼で締めつけさせた。
これは良くない、卿よ、良くないことだ。
どうするつもりだ。もう一度ほどく気はあるか、
この忌まわしい戦という、こじれた固い結び目を。
そして、あの従順な軌道へ戻る気はあるか、
かつてそなたが、美しく自然な光を放っていたあの軌道へ。
これ以上、大気に噴き上がった流れ星でいるのはやめよ、
恐怖の凶兆、まだ生まれぬ時代への、
口火を切られた災いの前触れでいるのはやめよ。
ウスターお聞きください、陛下。
私自身のことを申せば、喜んで、
人生の残りの日々を、静かな時のうちに
過ごしたいのです。誓って申し上げますが、
このような不和の日を、私は求めてはおりません。
王求めていない、だと。では、どうしてこうなったのだ。
フォルスタッフ謀反が道端に落ちてたんで、こいつが拾ったんですよ。
皇太子黙れ、カササギ、黙っていろ。
ウスター陛下は御意のままに、恩顧のまなざしを、
この私からも、わが一族のすべてからも、お背けになりました。
それでも、思い出していただかねばなりません、陛下、
われらは陛下にとって、最初の、最も親しい友であったことを。
陛下のために、私はこの官職の杖を折ったのです、
リチャード王の御代に。そして昼夜を分かたず馬を駆り、
道中に陛下をお迎えして、御手に口づけしました、
あのころの陛下は、地位においても声望においても、
この私ほどの力も、運もお持ちではなかったのに。
この私と、わが弟と、その息子こそが、
陛下を故国へお連れ戻しし、時代の危険に
敢然と立ち向かったのです。陛下はわれらに誓われた、
しかもドンカスターで、あの誓いを立てられたのです、
国家に対しては何ひとつ企てるところはない、
求めるのは、新たに転がり込んだ権利、
ゴーントの座、ランカスター公領のみである、と。
その誓いに、われらは助力を誓いました。ところが、ほどなくして、
幸運が驟雨となって陛下の頭上に降り注ぎ、
偉大さの洪水が、陛下の身に押し寄せました。
われらの助力があり、王の不在があり、
乱れた時代の不正の数々があり、
陛下が耐えて見せられた、あの見せかけの苦難があり、
そして逆風が、先の王をあの不運なアイルランドの戦に
長く釘付けにして、イングランド中の誰もが
王は死んだと思い込んだ、そのすべてが重なって。
この降って湧いた好機の群れから、
陛下は機会をつかみ、たちまち口説かれるままに、
国の支配権をその手に握られた。
ドンカスターでわれらに立てた誓いは忘れ、
われらに育てられながら、われらをあしらわれたのです、
あの恩知らずの雛、カッコウの子が
育ての雀をあしらうように。われらの巣を圧迫し、
われらの餌で育って、あまりに大きく膨れ上がったので、
われらの忠愛でさえ、御前に近寄ることを恐れました、
呑み込まれてしまうのではないかと。やむなくわれらは、素早い翼で、
身の安全のために、御目の届かぬところへ飛び去り、
この度の軍勢を起こしたのです。
つまり、われらが立ち向かうこの手立ては、
陛下御自身が、御自身に対してお鍛えになったもの——
無情な仕打ちと、剣呑な御顔色と、
そして、まだお立場の弱かったあの企ての日々に、われらへ誓われた
信義と誠のすべてを、お破りになったことによって。
王なるほど、そうしたことを、そなたらは条文に仕立て、
市場の十字架で読み上げ、教会で朗読してきた、
謀反という衣に、
見栄えのする色を上塗りするためにな。その色は、
移り気な変わり者どもや、哀れな不平屋どもの目を喜ばせる、
騒々しい変革の知らせに、口を開けて、
肘をこすり合わせて喜ぶ連中の目をな。
古来、反乱というものに、おのれの大義を塗り立てる
その手の水彩絵の具が欠けたためしはない。
不機嫌な乞食どもにも事欠かぬ、彼らは
無秩序な破壊と混乱の時代に、飢えているのだ。
皇太子両軍のいずれにも、数多くの魂が、
この対決に高い代価を払うことになる、
ひとたび戦端が開かれれば。あなたの甥御に伝えてくれ、
プリンス・オブ・ウェールズは、世界のすべてと声を揃えて、
ヘンリー・パーシーを讃えている、と。わが望みにかけて誓うが、
この度の企てを頭数から外すなら、
あれより勇敢な貴人はいないと思っている。
あれほど行動に勇み、あれほど若さにおいて雄々しく、
あれほど大胆で、あれほど豪胆な男は、今この世にいない、
気高い行いでこの末世を飾れる者は。
私はといえば、恥を忍んで言うが、
騎士道の道草を食ってきた身だ。
あれも私をそう見なしていると聞く。
それでも、父王の御前で、これだけは言っておく——
あれが、その大いなる名声と評判の
有利を取ることに、私は異存はない。
両軍の血を流さぬために、
あれと一騎打ちで、運を試そう。
王プリンス・オブ・ウェールズよ、あえておまえを賭けてもよいのだが、
数え切れぬ思案が、
それを許さぬのだ。いや、良きウスターよ、それには及ばぬ、
私は民を深く愛している。そなたの甥の側について
迷わされた者たちさえも、愛しているのだ。
彼らが私の恩赦の申し出を受けるならば、
甥も、彼らも、そなたも、そうだ、ひとり残らず、
再び私の友となり、私も彼らの友となろう。
そう甥に伝えて、返答を持って参れ、
どうするつもりなのかをな。だが、もし屈せぬというのなら、
譴責と恐るべき懲罰がわれらに控えていて、
その務めを果たすことになる。さあ、行くがいい。
今は返答の議論に煩わされるつもりはない。
われらの申し出は公正だ。よくよく考えて受けるがよい。
皇太子受け入れはしないでしょう、命を賭けてもいい。
ダグラスとホットスパーのふたりが揃えば、
武装した全世界が相手でも、自信満々の連中です。
王それゆえ、諸将はそれぞれの持ち場へ。
向こうの返答があり次第、攻めかかる。
神よ、われらに味方したまえ、われらの大義は正しいのだから。
フォルスタッフハル、戦の最中に俺が倒れてるのを見かけたら、またいでかばってくれよ。友情ってのはそういうもんだ。
皇太子その友情を果たせるのは巨人の像くらいのものだ。祈りでも唱えておけ。じゃあな。
フォルスタッフ今が寝る時間で、万事めでたしなら良かったんだがなあ、ハル。
皇太子どのみちおまえは、神様に死という借りがあるんだ。
フォルスタッフまだ返済日は来てねえよ。期日の前に払ってやる義理があるもんか。催促もしてこないお方に、なんでこっちから進んで払う必要がある。まあいい、そんなことはどうでもいい。名誉が俺を突っついて戦場へ追い立てる。だがな、突っ込んでいった先で、名誉に突き殺されたらどうする。え、どうなる。名誉様は脚を継いでくれるか。くれない。腕は。くれない。傷の痛みを取ってくれるか。くれない。つまり名誉様は外科の心得がまるでない。ない。名誉とは何だ。言葉だ。その名誉という言葉の中には何がある。その名誉ってのは何だ。空気だ。上等な勘定書きだよ。で、名誉を手にするのはどこの誰だ。水曜日に死んだ男だ。そいつは名誉を感じるか。感じない。聞こえるか。聞こえない。じゃあ名誉は感じ取れないものか。ああ、死人にはな。だが、生きてる者と一緒に生きちゃくれないのか。くれない。なぜだ。世間の悪口が許しちゃくれないからさ。だから、俺は名誉なんぞお断りだ。名誉なんてものは、ただの葬式の紋章板よ。以上、俺の教義問答はこれにて終わり。
