コリオレイナス耳のまわりで好きなだけ息巻かせておけ、
車裂きの死でも、暴れ馬の踵に繋ぐ死でも、
タルペイアの岩の上に丘を十も積み上げて、
その落下が視線の届く先より
はるかに下まで延びようとも、私はやはり
あの連中にはこうしている。
ある貴族そのほうが気高い。
コリオレイナス不思議なのは、母上が
それ以上私を認めてくださらぬことだ。あの連中を
毛織りの下僕と呼び、四文銭で売り買いするために
造られた物と呼び、集会では帽子を脱いで、
私ほどの位の者が立って
平和や戦争を語れば、あくびをして、黙って、口を開けているだけの者と
呼んでおられたのに。
コリオレイナスあなたのことを話していました。
なぜ私にもっと穏やかであれと望まれたのです? 私に
自分の性分を裏切れとおっしゃるのか。むしろ、私は
私という人間を演じているのだと言ってください。
ヴォラムニアおお、まあ、まあ、まあ、
私が望んだのは、あなたが力を使い果たしてしまう前に、
その力をきちんと身につけることでした。
コリオレイナスもうやめてください。
ヴォラムニアあなたは、そうなろうと努めることを減らしても、
十分に今のあなたでいられたはずです。あなたの気性が
逆らわれることも、もっと少なくてすんだ。あの連中に、
あなたを妨げる力がまだなかったうちに、
どんな気性かを見せてしまわなければ。
コリオレイナス首をくくればいい。
ある貴族そうだ、その上焼かれるがいい。
メネーニアスまあまあ、あなたは荒すぎた、いささか荒すぎた。
戻って、それを繕わねばならぬ。
第一の元老ほかに手立てがありません。
そうしなければ、我らのよき町が
真ん中から裂けて滅びます。
ヴォラムニアどうか、忠告に従って。
私の心もあなたと同じくらい柔軟さに欠けています。
けれど私には、怒りの使い方をもっとよい利へ導く
頭があります。
メネーニアスよくぞ言われた、気高いご婦人!
この時代の激しい発作が、国家全体への薬として
これを求めているのでなければ、この方を
あんな群れに屈ませるくらいなら、私は
ろくに着られもせぬ鎧を身につけますよ。
コリオレイナス私は何をすればいい?
メネーニアス護民官のところへ戻るのです。
コリオレイナスよし、それで? それでどうする?
メネーニアス口にしたことを悔いるのです。
コリオレイナスあの連中のために! 神々に対してさえできぬことを、
あの連中に対してやれというのか?
ヴォラムニアあなたは絶対的にすぎます。
そのこと自体では、あなたが気高すぎるということは決してない、
極限のときを別にすればね。あなたがこう言うのを聞きました、
名誉と方策は、切り離せぬ友のように、
戦の中では共に育つ、と。それを認めるなら、教えてください、
平和のとき、その二つが互いに何を失うから、
平和では結び合わぬというのですか。
コリオレイナスふん、ふん!
メネーニアスよい問いかけだ。
ヴォラムニアあなたの戦において、自分でないものに見せかけることが
名誉であるならば——あなたは最良の目的のために
それを方策として採るのですが——それが戦におけると同じく
平和においても名誉と連れ立つことが、
どうして劣ることでも悪いことでもありましょう。
どちらにおいても同じく求められているのですから。
コリオレイナスなぜそんな理屈を押しつけるのです?
ヴォラムニアなぜなら今、あなたは民衆に語りかけねばならぬからです。
それも、自分の教えによってではなく、
自分の心が促す中身によってでもなく、
ただ舌に根を張っただけの言葉によって。
胸の内の真実からは何の認可も受けていない、
私生児のような音節によって。
これはあなたを、少しも不名誉にはしません、
穏やかな言葉で町を落とすのが不名誉でないのと同じに。
そうしなければ、あなたは自分の運と
多くの血の危険に身を委ねることになるのです。
私なら自分の性分を偽って見せます、
運と友たちを賭けた場面で、名誉にかけて
そうすべきだと求められるなら。私はこの件においては、
あなたの妻であり、息子であり、この元老たちであり、貴族たちなのです。
それなのにあなたは、あの粗野な連中の愛を受け継ぎ、
それを欠くことで滅びかねぬものを守るために、
へつらいをひとつ使うよりも、
どんなに睨めるかを見せつけるほうを選ぶのですか。
メネーニアス気高いご婦人だ!
さあ、我らと行こう。穏やかに話すのです。そうすれば癒せる、
今差し迫った危険だけでなく、
過ぎ去ったものの損失もな。
ヴォラムニアお願いですよ、息子や、
この帽子を手に持って、あの人たちのところへ行きなさい。
そしてこうやって差し伸べて——ここが肝心です——
膝で石に口づけをして——こういう仕事では
動作こそが雄弁であり、無知な者の目は
耳よりも学があるのですから——首をこう振って、
そうやって何度も、あなたの頑固な心を正しながら、
今は熟れきった桑の実のように、
掴めば崩れるほど、へりくだって。あるいはこう言いなさい、
自分はあなた方の兵士だ、騒乱の中で育ったから、
柔らかいやり方を知らない、それは自分でも認めるが、
彼らの好意を求めるにあたって、自分が使うのにも彼らが求めるのにも
ふさわしいやり方だった、と。だが、これからは
力と身柄の及ぶかぎり、
自分をあなた方のものにしよう、と。
メネーニアスこれさえやれば、
奥方の言われるとおりにな、彼らの心はあなたのものだ。
なにしろ彼らは、乞われれば赦しを与える、
役にも立たぬ言葉と同じくらい気前よく。
ヴォラムニアお願いですから、
行って、言うとおりになさい。あなたが、あずまやで敵にへつらうよりは、
炎の淵まで敵を追いかけるほうを
選ぶ人だとは分かっていますけれど。コミーニアスが来ました。
コミーニアス私は市場にいました。よろしいか、
強い一党を作るか、さもなくば平静さか不在によって
身を守るかです。何もかも怒りに満ちている。
メネーニアス穏やかな言葉あるのみだ。
コミーニアスそれで足りると思います、この方が
そこへ気持ちを合わせられるなら。
ヴォラムニア合わせねばなりません、合わせます。
お願いですから、やると言って、取りかかりなさい。
コリオレイナス兜もかぶらぬこの頭を、あの連中に見せに行けと?
この卑しい舌で、気高い私の心に、
心が背負わねばならぬ嘘をつけと? よろしい、やりましょう。
だが、失うものがこの一片の土くれ、
このマーシアスという鋳型だけならば、あの連中はそれを塵に挽いて
風に向かって撒き散らすがいい。市場へ!
あなた方は私に、生涯かけても真に迫って
演じきれぬ役を割り当てたのです。
コミーニアスまあまあ、我らが台詞を付けてやる。
ヴォラムニアお願いですよ、いとしい息子や、あなたが言ったように、
私の称賛があなたを最初の兵士にしたのなら、
今度のことで私の称賛を得るために、
これまで演じたことのない役を演じてごらんなさい。
コリオレイナスよろしい、やらねばならぬ。
去れ、私の気性よ。そして誰か娼婦の魂が
私に取り憑け! 私の太鼓と唱和した
この戦の喉を、宦官のように細い笛に、
赤子を寝かしつける
処女の声に変えろ! 悪党どもの微笑が
私の頬に天幕を張り、学童の涙が
私の視力の眼鏡を占めるがいい! 乞食の舌が
私の唇を動かし、鐙にかけるときしか曲げなかった
この鎧の膝を、施しを受けた者の膝のように
曲げるがいい! 私はやらぬ、
自分自身の真実を敬うことをやめてしまい、
体の動作によって心に
最も骨の髄までの卑しさを教えることになるのは嫌だ。
ヴォラムニアでは、お好きになさい。
私があなたに乞うほうが、あなたが彼らに乞うより、
私にとって不名誉です。何もかも滅びればいい。
あなたの母には、あなたの危うい強情さを恐れさせるより、
あなたの高慢を思い知らせるほうがいい。私だって、
あなたに劣らぬ大きな心で死を嘲るのですから。好きになさい。
あなたの勇敢さは私のものでした、私から吸い取ったのです。
けれど高慢はあなた自身のもの。
コリオレイナスどうか、ご機嫌を直して。
母上、私は市場へ行きます。
もう叱らないでください。あの連中の愛を香具師のように売り込み、
心を騙し取って、ローマじゅうの
あらゆる同業組合に愛されて帰ってきます。ご覧なさい、行きます。
妻によろしく伝えてください。執政官になって戻ります。
さもなくば、へつらいの道において私の舌が
できることなど、二度と信用しないでください。
ヴォラムニア好きになさい。
コミーニアスさあ! 護民官たちが待っています。武装なさい、
穏やかに答えるという武装を。聞くところでは、彼らは
今あなたにかけられているものより強い告発を
用意しているそうです。
コリオレイナス合言葉は「穏やかに」だな。さあ、行こう。
好きなだけ作り話で私を告発させておけ、私は
私の名誉において答える。
メネーニアスそうだ、ただし穏やかに。
コリオレイナスよし、では穏やかにだ。穏やかに!
