アグリッパどうだ、義兄弟たちはもう別れたか?
イノバーバスポンペイとの話は片づいた。あの男は去った。
残る三人は封をしているところだ。オクテイヴィアは
ローマを離れるのを泣いている。シーザーは沈んでいる。そしてレピダスは、
ポンペイの宴以来、メナスの言うところでは、
青びょうたん病に悩まされているそうだ。
アグリッパ気高いレピダスだ。
イノバーバス実に見事なお方だ。おお、あの方のシーザーへの愛ときたら!
アグリッパいや、それにしてもマーク・アントニーをどれほど深く崇めていることか!
イノバーバスシーザーだと? なんの、あの方は人間界のジュピターだ。
アグリッパではアントニーは? ジュピターの神だ。
イノバーバスシーザーのことを言ったのか? なんと! 比類なきお方!
アグリッパおおアントニー! おお、汝アラビアの鳥よ!
イノバーバスシーザーを褒めたいなら「シーザー」と言え。それ以上は行くな。
アグリッパ実際、あの方は両方に見事な賛辞を浴びせていた。
イノバーバスだがあの方はシーザーを最も愛している。それでいてアントニーも愛している。
おお! 心も、舌も、数字も、書記も、吟遊詩人も、詩人も、
思うことも、語ることも、算えることも、書くことも、歌うことも、数えることもできぬ、おお!
あの方のアントニーへの愛は。だがシーザーについては、
跪け、跪け、そして驚嘆せよ。
アグリッパ両方を愛しているのだ。
イノバーバス両人はあの方の翅で、あの方はその甲虫だ。
イノバーバスそら、
馬に乗れという合図だ。ではさらば、気高いアグリッパ。
アグリッパご幸運を、立派な兵士殿。ではさらば。
アントニーこれ以上はご無用に。
シーザーあなたは私自身の大きな部分を奪っていく。
その中で私をよく扱ってくれ。妹よ、私の思いどおりの妻に、
そして私の最も遠くまで及ぶ保証が、
そなたの証しの上に通用するような妻におなり。この上なく気高いアントニー、
我らの愛を支える漆喰として
我らの間に据えられたこの徳の一片を、
その愛の砦を打ち破る破城槌にしてくださるな。
双方でこれを大切にしないのなら、
この仲立ちなしに愛し合っていたほうが
まだましだったでしょう。
アントニーその不信で
私を不快にさせないでくれ。
シーザーもう申した。
アントニーどれほど細かくお調べになろうと、
あなたが恐れておられるようなことの理由は、
ほんの少しも見出されまい。では、神々があなたをお守りくださるように。
そしてローマ人の心があなたの目的に仕えますように!
ここでお別れしよう。
シーザーさらば、我が最愛の妹よ、達者でな。
四大の元素がそなたに優しくあり、
そなたの心をすべて慰めで満たしますように! 達者で。
オクテイヴィア気高い兄上!
アントニーその目には四月がある。愛の春だ。
そしてこれはそれを呼び出す驟雨。元気を出しなさい。
オクテイヴィア兄上、夫の家をよく見ていてください。そして——
シーザー何だ、オクテイヴィア?
オクテイヴィア耳元で申します。
アントニーこの人の舌は心に従わず、心も
舌に告げることができぬ——満潮のうねりの上に浮かんで、
どちらへも傾かぬ
白鳥の綿羽だ。
イノバーバス(アグリッパに傍白。)シーザーは泣くだろうか。
アグリッパ(イノバーバスに傍白。)顔に雲がかかっている。
イノバーバス(アグリッパに傍白。)馬なら、そのために値打ちが下がるところだ。
人間であっても同じことだ。
アグリッパ(イノバーバスに傍白。)なに、イノバーバス、
アントニーがジュリアス・シーザーの亡骸を見つけたときは、
ほとんど吠えるほどに泣いた。そしてフィリパイで
ブルータスが討たれているのを見つけたときも泣いた。
イノバーバス(アグリッパに傍白。)確かにあの年、あの方は鼻風邪に悩まされていた。
自分が進んで滅ぼしたものを嘆いておられた。
信じてくれ、私まで泣いたほどだ。
シーザーいや、いとしいオクテイヴィア、
そなたには絶えず私から便りを送ろう。時が
そなたを思う私の心を追い越すことはあるまい。
アントニーさあ、義兄上、さあ。
私の愛の力であなたと組み合ってみせよう。
ほら、こうしてあなたを捕らえた。こうしてお放しし、
神々に委ねます。
シーザーさらば。幸あれ!
レピダス星のすべてが数を尽くして、
そなたの美しい行く道を照らしますように!
シーザーさらば、さらば!
アントニーさらば!
