道化あなた様をお迎えに寄こされたのではない、と、このわたしに信じ込ませようというおつもりで?
セバスチャンよせ、よせ、おまえは阿呆な男だな。
わたしに構わんでくれ。
道化見事な白の切りっぷり、いや、まったく! ええ、ええ、わたしはあなた様を存じ上げません。お嬢様に言いつかって、お話ししたいから来てくれと、お迎えに参ったのでもございません。お名前はシザーリオ様でもございませんし、この鼻もわたしの鼻ではございません。つまり、そうであるものは何ひとつ、そうではないという次第で。
セバスチャン頼むから、その阿呆の噴き出し口は、よそで開けてくれ。
おまえはわたしを知らないのだ。
道化阿呆を噴き出す、ときた! どこぞのお偉い方から聞き覚えた言葉を、阿呆相手に使い回しなさる。阿呆を噴き出す! 心配になってきますよ、この図体ばかりの唐変木の世間様が、いずれ気取った江戸っ子に化けやしないかとね。——さあ、お願いですから、その他人行儀の帯を解いて、お嬢様に何を噴き出せばよいのか、お聞かせなさいませ。おいでになる、と噴き出してよろしいので?
セバスチャン頼む、馬鹿騒ぎのギリシャ人どの、離れてくれ。
ほら、金をやる。まだぐずぐずしているなら、
今度はもっと悪い支払いをすることになるぞ。
道化正直なところ、気前のよいお手をお持ちだ。阿呆に金をくださる利口者がたは、良い評判をお買い上げになる——十四年賦の支払いのあとでね。
サー・アンドルーおっと、また会いましたな? これでも喰らえ。
セバスチャンなんだと、ならこちらからもだ、それ、それ、もう一発。
ここの人間は、そろって気がふれているのか?
サー・トービーおやめなさい、あなた。でないと、その短剣を屋根の向こうへ放り投げますぞ。
道化このことは、さっそくお嬢様にお伝えしよう。お二方のどちらの上着の中にも、二ペンス積まれたって入りたくないものだね。
サー・トービーさあさあ、あなた、おやめなさい。
サー・アンドルーいや、放っておいてくだされ。あの男には別の手で片をつけますよ。暴行罪で訴えてやります、イリリアに法律というものがあるならね。先に手を出したのはわたしですが、そんなことは問題ではない。
セバスチャンその手を放せ。
サー・トービーまあまあ、あなた、放しませんぞ。さあ、若武者どの、その鉄をお納めなさい。血の味はもう十分覚えたでしょう。さあ。
セバスチャンおまえの手など振りほどいてやる。さて、今度はどうする気だ?
まだわたしを試したいなら、剣を抜け。
サー・トービー何だと、何だと? そうまで言うなら、その小癪な血を、一オンスかそこら頂くとしよう。
オリヴィアおやめ、トービー! 命に懸けて言いつけます、おやめなさい!
サー・トービーお嬢様!
オリヴィアいつまでこうなのです? 恩知らずの罰当たり、
山奥か、野蛮人の洞穴がお似合いだわ、
礼儀作法の説教など、誰もしたことのない場所がね。お行き、目の前から!
気を悪くなさらないで、シザーリオ様。——
乱暴者はお行きなさい!
オリヴィアお願いです、優しい方、
腹立ちではなく、その美しい分別に従ってくださいな、
あなたの平穏を乱した、この無作法な、道理も何もない
乱暴狼藉については。ご一緒に家へ参りましょう。
そしてあちらで、お聞きになって——あの荒くれ者が、これまで
どれほど実りのない悪ふざけをやらかしてきたか。そうすれば、
今度の一件も、笑って済ませられましょう。どうしても来ていただきますよ。
お断りにならないで。あの男に呪いあれ、ですわ。
あなたの中の、わたしの哀れな心臓を、あの男は飛び上がらせたのだから。
セバスチャンこれはどういう味わいだ? この流れは、どこへ向かって流れている?
わたしの気がふれたか、さもなければ、これは夢か。
それなら想像よ、わたしの五感を、忘却のレーテの川に浸し続けてくれ。
これが夢というものなら、ずっと眠らせておいてくれ!
オリヴィアさ、来てくださいな、お願い。わたしの言うとおりになさってくださるわね!
セバスチャン姫君、あなたに従いましょう。
オリヴィアおお、その言葉のとおりに、なってくださいまし!
