ボリングブルックバゴットを前へ。
さあ、バゴット、思うままに話せ。
グロスター公の死について何を知っている、
誰が王と示し合わせ誰が実行した、
あの方を早すぎる死へ送った血なまぐさい役目を。
バゴットではオーマール卿を私の目の前へ。
ボリングブルックオーマール、前へ出て、この男を見よ。
バゴットオーマール卿、あなたの大胆な舌は
一度吐いた言葉を引っ込めたりはしないでしょう。
グロスター公の殺害が企まれたあの暗い時、
あなたの言葉を聞きました、「私の腕は長いではないか、
平穏なイングランドの宮廷から
はるかカレーまで、叔父の首まで届くのだから?」
ほかにもいろいろお話しになった、ちょうどその時、
こうもおっしゃいました
金貨十万枚をもらい損ねるほうが
ボリングブルックをイングランドへ帰すよりましだと。
さらに、身内のこの方が死ねば
この国はどれほど幸せになるだろうとも。
オーマール王族ならびに諸侯の皆様、
こんな下賤な男にどう答えればよいのでしょう?
同じ土俵に立って懲らしめるなど、
恵まれたわが生まれをそこまで辱めるべきでしょうか?
だがそうせねば、こいつの中傷の口が
汚名を浴びせ私の名誉は傷つく。
これが私の手袋だ、死を約束する手ずからの証文、
お前を地獄へ送る印だ——言ってやる、お前は嘘つきだ、
お前の言葉が偽りだと証明してやる
その心臓の血で、騎士たる私の剣の鋼を
汚すにはあまりに卑しい血だがな。
ボリングブルックバゴット、控えろ。拾うことは許さん。
オーマールただお一人を除いて、ここにいる最高位の方が
私を怒らせた相手であってほしかった。
フィッツウォーター同じ身分でなければ勇気が出ないのなら、
これが私の手袋だ、オーマール、お前の挑戦を受ける——
お前の姿を私に照らし出すあの太陽にかけて、
聞いたぞ、得意げにお前は言った、
グロスター公が死んだのは自分の働きだとな。
二十回否定しようと、お前は嘘つきだ。
その偽りをお前の心臓へ押し戻してやる、
それをこしらえた場所へ、この剣の切っ先で。
オーマールその日まで生きる勇気などないくせに、腰抜けめ、貴様には。
フィッツウォーター魂にかけて、今この時がその日であればいい。
オーマールフィッツウォーター、これで貴様は地獄行きだ。
パーシーオーマール、嘘つきはお前だ。この訴えにおける彼の名誉は
お前が間違いだらけなのと同じほど確かだ。
お前の不正を示すために、私も手袋を投げる、
この息が途絶える最後の瞬間まで
戦って証明してやる——拾え、勇気があるなら。
オーマール拾わぬなら、この両手が腐り落ちるがいい
敵の輝く兜の上に
二度と復讐の刃を振り上げられぬように!
別の貴族私も同じものを地に置こう、誓いを破るオーマール。
朝から朝までその裏切り者の耳に
怒鳴り込めるだけの「嘘つき」を
浴びせて奮い立たせてやる——これが名誉の質草だ。
決闘で請け出してみろ、勇気があるなら。
オーマールまだ誰か賭けに乗るか?天にかけて、全員を相手に振ってやる——
この一つの胸には千の魂が宿る、
貴様らが二万いようと受けて立つ。
サリーフィッツウォーター卿、よく覚えている
あなたとオーマールが話していたその時を。
フィッツウォーターそのとおり——あなたもその場にいた。
私の話が本当だと証言できるはずだ。
サリーまったくの偽りだ、天にかけて、天が真実であるのと同じほどに。
フィッツウォーターサリー、嘘つきめ。
サリー恥知らずの小僧め!
その「嘘つき」は私の剣に重くのしかかり、
この刃は復讐に復讐を重ねるぞ
嘘つき呼ばわりした貴様とその嘘とが
貴様の父の髑髏のように静かに土に横たわるまで——
その証しに、これが名誉の質草だ。
決闘で請け出してみろ、勇気があるなら。
フィッツウォーター走りたがる馬に拍車を当てるとは間抜けな!
食う勇気、飲む勇気、息をする勇気、生きる勇気があるなら、
荒野でサリーを迎え撃ち、
唾を吐きかけてやる、嘘つきと呼びながら、
嘘つき、嘘つきと——これが誓いの証しだ、
貴様を縛って私の厳しい懲らしめを受けさせる。
この新しい世で栄えるつもりならこそ、
私の訴えは真実オーマールに罪はある——
そのうえ、追放されたノーフォークの言葉も聞いた
貴様が、オーマール、二人の家来を遣わして
カレーであの公爵を殺させたとな。
オーマール誰かまっとうなキリスト教徒よ手袋を貸してくれ、
ノーフォークは嘘つきだ——ここにこれを投げる、
あいつが呼び戻されるなら、その名誉を試してやる。
ボリングブルックこれらの争いはすべて手袋を担保に保留する
ノーフォークが戻るまで——呼び戻すのだ、
そして、私の敵ではあるが、
領地も領主権もすべて返す——戻ったなら、
オーマールを相手に決闘をさせよう。
カーライル司教その名誉の日は永遠に参りません。
追放されたノーフォークは幾度も戦いました
イエス・キリストのため誉れあるキリスト教徒の戦場で、
十字架の軍旗をひるがえし
黒い異教徒、トルコ人、サラセン人に立ち向かい。
戦に疲れ果てて、身を引きました
イタリアへ。そしてヴェネツィアで
肉体をあの美しい国の土に返し、
清らかな魂を主将キリストにお返しした、
長い間その旗の下で戦い続けたお方に。
ボリングブルック何だと、司教、ノーフォークは死んだのか?
カーライル司教私が生きているのと同じく確かです、閣下。
ボリングブルック優しい安らぎがその清らかな魂を
善き父祖アブラハムの懐へ導きますように!訴えを起こした諸卿、
皆の争いは手袋を担保にすべて保留する
決闘の日を定めるまで。
ヨーク偉大なるランカスター公、そなたのもとへ来た
翼の羽根を抜かれたリチャードのもとから。あの方は自らの意志で
そなたを後継者と認め、高貴な王笏を
そなたの王たる手に渡される——
その玉座に昇るがいい、今あの方が降りる座に。
末長く栄えあれヘンリーよ、その名の四代目に!
ボリングブルック神の御名において、王座に昇ろう。
カーライル司教いや、神がお許しにならぬ!
この王族方の中で口を挟むには最もふさわしくない私ですが、
真実を語ることこそ私に最もふさわしい。
ああこの高貴な列席者のうちに誰か
高貴なるリチャードを公正に裁けるほど
高貴な方がおられたなら!真の高貴さが
これほど汚れた不正を思いとどまらせるでしょうに。
いかなる臣下がその王に判決を下せるのか?
ここにいる誰がリチャードの臣下でないというのか?
盗賊でさえ本人の聞く前でなければ裁かれぬ、
罪がいかに明らかであろうとも。
なのに神の威厳を映すお方が、
神の将軍、管理人、選ばれた代理人が、
聖油を受け、戴冠し、長年その座にあったお方が、
臣下や下位の者の吐く息で裁かれるのか、
ご本人もいないままに?ああ、お止めください、神よ、
キリスト教国で魂を清めた者たちが
かくも恐ろしく、邪悪で、恥ずべき行いを見せるとは!
私は臣下たちに話している、話す私も臣下だ、
神に動かされて、わが王のため大胆に語る。
あなた方が王と呼ぶ、ここにいるヘリフォード卿は、
思い上がったヘリフォード自身の王に背く卑劣な反逆者だ——
この男に王冠を与えるなら、予言しよう——
イングランド人の血がこの土の肥やしとなり、
後の世はこの汚れた行いのためにうめく。
平和はトルコ人や異教徒のもとへ眠りに行き、
かつて平和の座だったこの地では荒れ狂う戦が
血縁と血縁同胞と同胞を殺し合わせる。
混乱、恐怖、不安そして反乱が
ここに住みつき、この国は呼ばれるだろう
ゴルゴタの野死者の髑髏の地と。
ああ、一つの家をもう一つの家にけしかければ、
この呪われた大地を襲った中でも
最も悲惨な分裂になる。
防げ、抗え、そうさせるな、
子や、孫や、そのまた子らに「呪われよ」と叫ばれぬために!
ノーサンバランド見事な弁舌ですな、司教殿。そのお骨折りに、報いて、
大逆罪によりここに逮捕する。
ウェストミンスター修道院長、そなたの責任で
裁判の日までこの者を厳重に預かれ。
よろしければ、諸卿、庶民院の願いをお認めください。
ボリングブルックリチャードをここへ連れてこい、皆の見ている前で
位を譲らせる。そうすれば我々は進める
疑いをかけられることなく。
ヨーク私がお連れしよう。
ボリングブルック諸卿、ここで拘束を受けている者たちは、
答弁の日に出頭する保証人を用意せよ。
そなたらの好意に恩を感じることはほとんどなく、
助けの手を期待することもほとんどない。
リチャード王ああ、なぜ王の前に呼び出されるのだ、
私が王として君臨したその心を
まだ脱ぎ捨ててもいないのに?まだろくに学んでいない
取り入ることも、へつらうことも、頭を下げ、膝を曲げることも——
しばらく悲しみを教師にさせてくれ
この服従を習うために。しかしよく覚えている
この者たちの顔は——私の者ではなかったか?
かつて私に、「万歳!」と叫んだではないか?
ユダもキリストにそうした——だがキリストは、十二人のうち、
一人を除いて真心を見いだした。私は、一万二千の中に、一人もいない。
王に神のご加護を!誰もアーメンと言わぬのか?
私が司祭も唱和役もするのか?ではよし、アーメン。
王に神のご加護を!私がその王でなくても。
それでも、アーメン、天が王は私だと思うなら。
何の務めを果たせとここへ呼ばれた?
ヨークご自身の意志でなすべき務めを
王の重荷に疲れてあなたが自ら申し出た、
地位と王冠を
ヘンリー・ボリングブルックに譲るお務めです。
リチャード王王冠をくれ。さあ、ヘンリー、王冠を握れ。
さあヘンリー。
こちら側を私の手で、そちらをお前の手で。
今この金の王冠は深い井戸だ
二つの桶があり、互いを満たし合う、
空のほうはいつも宙で踊り、
片方は底に沈み、見えず水をたたえている——
涙でいっぱいの底の桶が私だ、
悲しみを飲み込み、お前は高く昇っていく。
ボリングブルック自ら進んで退位されるものと思っていました。
リチャード王王冠はよかろう。だが悲しみはまだ私のものだ——
栄光も地位も奪うがいい、
だが悲しみは奪えない。その王はいまだ私だ。
ボリングブルックご苦労の一部も王冠とともに私にお譲りになるのです。
リチャード王お前の苦労が昇っても私の苦労は降りてゆかぬ。
私の苦労は苦労を失うこと、昔の苦労が招いた果て。
お前の苦労は苦労を手にすること、新しい苦労で得たものだ——
譲った苦労は私にも残る、譲ってしまっても。
王冠につきまといながら、それでも私から離れない。
ボリングブルック王冠をお譲りになるのでよろしいのですか?
リチャード王よい、いや。いや、よい。私は何者でもなくならねばならぬ。
だから否定はしない、お前に譲る。
さあ見ていろ、私が私をほどいていくさまを——
この頭から重い荷を取り去り
この手から扱いきれぬ王笏を手放し、
この胸から王として支配する誇りを捨てる。
自分の涙で聖油を洗い落とし、
自分の手で王冠を差し出し、
自分の舌で聖なる地位を否み、
自分の息で忠誠の誓いをすべて解く——
あらゆる華やぎと威厳を捨てると誓う。
領地も、地代も、収入も捨てる。
私の行為も、勅令も、法も否定する——
私への誓いを破った者すべてを神よお許しください!
お前への誓いが破られぬよう神よお守りください!
何も持たぬ私には、何事にも、悲しまぬ心を、
すべてを得たお前にはあらゆる喜びを、与えたまえ!
リチャードの座でお前は長く生きるがいい、
リチャードは早く土の穴へ横たわるがいい!
ハリー王に神のご加護を、王でなくなったリチャードが言う、
晴れ渡る日々を幾年もお授けください!
ほかに何が残っている?
ノーサンバランドほかには、これをお読みになるだけです
あなたご自身と取り巻きの者たちが
この国の秩序と利益に背いて犯した
重大な罪とそれに対する告発を。
それを、ご自分で認めることによって、民も
廃位は当然だったと考えるでしょう。
リチャード王そこまでせねばならぬか?自分で織り上げた
愚行を自分でほどけというのか?親切なノーサンバランド、
お前の罪が記録に載っていたら、
これほど立派な人々の前で
講義して聞かせるのは恥ずかしくないか?もし読めば、
恐ろしい一条が見つかるだろう、
王を退け
固く保証した誓いを砕いた罪が、
汚点をつけられ、天の帳簿で断罪されている——
いや、ここに立って眺めているお前たち全員だ、
私の惨めさが私自身を食い荒らすのを、
中にはピラトのように手を洗い
見せかけの憐れみを示す者もいるが。それでもお前たちピラトは
この私を苦い十字架に引き渡した、
水ではお前たちの罪は洗い流せぬ。
ノーサンバランド陛下、お急ぎを。この条項をお読みください。
リチャード王目は涙でいっぱいだ、見えぬ——
だがこの塩水もここに裏切り者が群れているのを
見えなくするほど私を盲目にはしてくれぬ。
いや、自分に目を向ければ、
私もほかの者たちと同じ裏切り者だとわかる。
ここで自分の魂に同意させたのだから
王の壮麗な体から飾りをはぎ取ることに。
栄光を卑しめ主権を奴隷にし、
誇り高い威厳を臣下に、王位を百姓にしてしまった。
ノーサンバランド陛下——
リチャード王お前の陛下ではない、思い上がった侮辱者め、
誰の陛下でもない。私には名もない、称号もない、
そう、洗礼盤で授かった名さえ、
奪い取られた——ああ何と重い日だ、
これほど多くの冬を生き抜いて、
今や自分を何と呼べばいいのかもわからぬ!
ああ私が雪でできたまがいの王なら、
ボリングブルックという太陽の前に立って、
水の雫になって溶けてしまえるのに!
善い王よ、偉大な王よ、だが大して善くもない王よ、
私の言葉がまだイングランドで正貨として通用するなら、
鏡を今すぐここへ持ってこさせてくれ、
今の顔がどんなものか見せてもらおう、
王の威厳を破産させてしまったこの顔を。
ボリングブルック誰か鏡を持ってこい。
ノーサンバランド鏡が届く間にこの文書をお読みください。
リチャード王悪魔め、地獄へ落ちる前から私を苦しめるのか!
ボリングブルックもう催促するな、ノーサンバランド卿。
ノーサンバランドそれでは庶民院が納得しません。
リチャード王納得させてやる——たっぷり読んでやろう、
私の罪がすべて書かれた本物の書物を
目の前に見たらな、その本こそ私自身だ。
リチャード王鏡をくれ、そこを読もう。
まだしわは深くないのか?悲しみは
この顔を何度も打ち据えたのに、
傷は深まらぬのか?ああへつらい者の鏡よ、
栄華の時の取り巻きと同じく、
お前も私をだますのか!これがあの顔だったのか
毎日自分の屋根の下で
一万の人間を養っていた顔か?これがあの顔か
太陽のように、人の目を、くらませていた顔か?
これがあれほどの愚行に平然と顔を向け、
ついにはボリングブルックに顔色を失わされた顔か?
もろい栄光がこの顔に光る——
栄光と同じほど顔ももろい。
リチャード王ほらそこにある、百ものかけらに割れて。
見届けろ、黙っている王よ、この戯れの教訓を、
私の悲しみはいかにたやすく私の顔を壊したか。
ボリングブルック悲しみの影が壊したのは
お顔の影にすぎません。
リチャード王もう一度言え。
悲しみの影!はっ!なるほど——
確かにそうだ、悲しみはすべて内側にある。
こうして外に見せる嘆きの仕草など
苦しむ魂の中で黙って膨らむ
見えない悲しみの影にすぎない。
本体はそこにある——礼を言うぞ、王よ、
なんと気前のよいことか、嘆きの種を
与えるばかりかその種を
どう嘆けばよいかまで教えるとは。一つだけ頼みたい、
そうしたら去ってもうお前を煩わせない。
かなえてくれるか?
ボリングブルックおっしゃってください、親愛なるリチャード。
リチャード王「親愛なるリチャード」だと?私は王より偉くなった——
王だった時は、へつらう者も
臣下にすぎなかった。今や臣下の私に、
王がここでへつらっている。
それほど偉いなら、頼む必要などない。
ボリングブルックそれでもどうぞ。
リチャード王かなえてくれるのか?
ボリングブルックはい。
リチャード王では立ち去らせてくれ。
ボリングブルックどこへ?
リチャード王お前の望む所へ、お前たちの目の前から消えられるなら。
ボリングブルック行け、誰かこの方をロンドン塔へ運べ。
リチャード王ああ、結構!運べだと?お前たちは皆こそこそ運ぶ盗人だ、
正しい王が落ちるとこうも身軽にのし上がる。
ボリングブルック来週水曜に厳かに執り行う
我らの戴冠式を——諸卿、支度をせよ。
修道院長なんと痛ましい見世物を見たことか。
カーライル司教苦しみ来たる。生まれざる子らの身にも。
今日という日は鋭き棘となるだろう。
オーマール聖職者の方々よ、この恐ろしい汚点を
国から拭い去る手立てはありませんか?
修道院長閣下、
これについて私の胸の内を明かす前に、
聖餐を受けて誓っていただきたい
私の企てを胸に埋めておくことだけでなく、
私が何を考えようと必ず実行することを。
お二人の眉は不満に曇り、
心は悲しみ目は涙でいっぱいだ——
夕餉に我が家へいらっしゃい。皆に喜ぶ日が来るよう
策を立ててお聞かせしよう。
