ヘンリー王慈悲深きカンタベリー卿はどこにおられる?
エクセターここにはお見えではありませぬ。
ヘンリー王呼びにやってくれ、善き叔父上。
ウェストモーランド使節をお招き入れしましょうか、陛下?
ヘンリー王まだだ、従弟よ。使節の話を聞く前に、
我らとフランスに関わる、我らの思案を占める
いくつかの重い事柄に決着をつけておきたい。
カンタベリー神とその天使たちが陛下の聖なる王座をお守りくださり、
長くそこにふさわしくあらしめられますように!
ヘンリー王まことに、礼を言う。
学識ある猊下、どうか話を進め、
フランスにあるサリカ法が、我らの請求を妨げるのか妨げぬのかを、
正しく、神を畏れつつ解き明かしてほしい。
そして神が禁じたまえ、いとしく忠実な猊下、
あなたがその読みを作り変え、ねじ曲げ、屈めることを。
あるいはその真実の理解ある魂に、
生まれながらの色において真実と合致せぬ、
偽りの権利を説き開く務めを、細工して負わせることを。
神はご存じだ、今健やかにある者のうちどれほどが、
猊下が我らを駆り立てることの是認のために
血を滴らせることになるかを。
それゆえ心せよ、いかに我らの身を質に入れるかを、
いかに眠れる我らの戦の剣を目覚めさせるかを。
神の名において命じる、心せよ。
これほどの二つの王国が争って、
多くの血が流れなかったためしはない。その罪なき血の一滴一滴が
それぞれ一つの嘆きであり、
つかの間の命にかくも多くの荒廃をもたらす剣を
研ぎ澄ませた不正の主に対する、痛切な訴えなのだ。
この誓いのもとに語ってくれ、猊下。
我らは聞き、心に留め、そして心から信じよう、
あなたの語ることが、洗礼によって罪が清められるのと同じくらい
あなたの良心において清められていると。
カンタベリーそれではお聞きください、慈悲深き君主よ、そしてあなた方諸侯よ、
その身も、命も、奉公も、この帝王の王座に
負うておられる方々よ。フランスに対する陛下のご請求に
立ちはだかる障壁は何もありませぬ、
ただ彼らがファラモンドから持ち出すこれを除いては——
「イン・テラム・サリカム・ムリエレス・ネ・スクケダント」
すなわち「サリカの地においては女子は相続すべからず」。
そのサリカの地を、フランス人は不当に註釈して
フランス王国のことだとし、ファラモンドを
この法と女子排除の創始者だとしております。
ですが彼ら自身の著作家たちが忠実に断言しております、
サリカの地はドイツにあり、
サラ河とエルベ河の間だと。
そこで大帝カールがサクソン人を征服した際に、
幾人かのフランス人を残して住まわせたのです。
その者たちは、ドイツの女たちの
不身持ちな暮らしぶりを蔑んで、
そのときこの法を定めました。すなわち、女子は
サリカの地において相続人となるべからず、と。
そのサリカとは、申し上げたとおりエルベとサラの間にあり、
今日ドイツではマイセンと呼ばれております。
してみればサリカ法がフランス王国のために
作られたのでないことは明らかです。
またフランス人がサリカの地を領有したのは、
この法の創始者だと軽々しく思われている
ファラモンド王の死後、
四百二十一年も経ってからのこと。
ファラモンド王は我らの救いの年の
四百二十六年に亡くなりました。そして大帝カールが
サクソン人を征服してフランス人を
サラ河の向こうに住まわせたのは、
八百五年のことです。そのうえ彼らの著述家たちはこう申します、
シルデリックを廃したペピン王は、
クロテール王の娘ブリシルドの血を引く者として、
一般相続人の資格において
フランスの王冠と権原を請求したのだと。
ユーグ・カペーもまた、大帝カールの真正の血統と家系における
唯一の男子相続人であったロレーヌ公シャルルの
王冠を簒奪しましたが、
その権原に幾らかでも真実らしい体裁を与えるために——
まったくの真実においては、それは腐って無価値なものでしたが——
自らをランガーレ夫人の相続人だと言い繕いました。
その夫人はシャルルマンの娘で、シャルルマンは皇帝ルイの子、
ルイは大帝カールの子でありました。またルイ十世王は、
簒奪者カペーの唯一の相続人でありながら、
フランスの王冠を戴きつつ、
その祖母たる麗しの王妃イザベルが、
先に申したロレーヌ公シャルルの娘
エルメンガーレ夫人の直系であると
納得するまでは、良心が安まりませんでした。
その婚姻によって、大帝カールの血統は
フランスの王冠に再び結び合わされたのです。
かくして夏の日輪と同じく明らかなことは、
ペピン王の権原も、ユーグ・カペーの請求も、
ルイ王の納得も、すべて
女系の権利と権原に拠っているということ。
フランスの王たちは今日に至るまでそうなのです。
それでいて彼らはこのサリカ法を掲げて、
陛下が女系から請求なさるのを妨げようとし、
陛下とそのご先祖から簒奪した
その曲がった権原をきちんと囲い込むよりは、
網の中に身を隠すほうを選ぼうというのです。
ヘンリー王私は権利と良心をもってこの請求をなしうるか?
カンタベリー罪は私の頭の上に、畏るべき君主よ!
民数記にはこう記されております、
男が死んだときには、その相続は
娘に受け継がせよ、と。慈悲深き君主よ、
ご自分のものを守られよ。血の旗を広げられよ。
強大なご先祖を振り返られよ。
行かれよ、畏るべき君主よ、ご請求の根拠たる曽祖父君のお墓へ。
その戦を好む魂に呼びかけられよ、
そしてご大伯父君、黒太子エドワードの魂にも。
あの方はフランスの地で悲劇を演じ、
フランスの総力を打ち破られた。
その間、この上なく強大な父君は丘の上に立って、
ご自分の獅子の子がフランス貴族の血の中で
餌を漁るのを微笑んで眺めておられた。
おお気高いイングランド人よ、その半分の兵力で
フランスの誇りのすべてを相手にし、
残る半分を傍らで笑って立たせておき、
まったく仕事もなく、働く暇もなくさせておいたとは!
イーリーこれら勇敢な死者たちの記憶を呼び覚まし、
その力強い御腕でその偉業を新たになさいませ。
陛下はその相続人であり、その王座に座っておられる。
彼らを名高くした血と勇気が
陛下の血管に流れている。そして三倍に力強き我が君は、
まさにご青春の五月の朝にあり、
武勲と大いなる事業のために熟しておられる。
エクセター陛下の兄弟たる王たち、地上の君主たちは皆、
陛下がご自身を奮い立たせられることを期待しております、
陛下の血を引く先の獅子たちがそうしたように。
ウェストモーランド彼らは陛下に大義と手段と力があることを知っております。
そして実際おありなのです。イングランドの王で、
これほど豊かな貴族とこれほど忠実な臣下を持たれた方はおられぬ。
その者たちの心はすでに肉体をこのイングランドに残して、
フランスの野に陣を張っているのです。
カンタベリーおお、その肉体を後に続かせてやってください、いとしき我が君、
血と剣と炎をもって陛下の権利を勝ち取るために。
その助けとして、我ら聖職者は
陛下のために、これまで聖職者が一度に
どのご先祖にも納めたことのないほどの
巨額を調達いたしましょう。
ヘンリー王我らはフランスを攻めるために武装するだけでなく、
あらゆる好機に乗じて我らに侵入してくるスコットランド人に対する
守りの兵力も
定めておかねばならぬ。
カンタベリーあの辺境に住む者たちが、慈悲深き君主よ、
盗み働く国境の者どもから内地を守るに
十分な壁となりましょう。
ヘンリー王我らが言っているのは駆け回ってかっさらう者どものことだけではない。
スコットランド人の本気の企てを恐れているのだ。
あの者たちは常に我らにとって落ち着かぬ隣人であった。
書物に読まれよう、我が曽祖父が
軍を率いてフランスへ渡るたびに、
スコットランド人はその守りを欠いた王国へ、
決壊口へ押し寄せる潮のように
その兵力の満ち溢れる限りをもって流れ込み、
刈り取られた土地を激しい襲撃で苦しめ、
城や町を苦しい包囲で取り巻いた。
それゆえイングランドは、守りを空しくして、
この悪しき隣人に震え上がったのだ。
カンタベリーですがそれは害を受けたというより恐れたのです、我が君。
イングランド自身の例をお聞きくださればよい。
その騎士がこぞってフランスにあり、
貴族を失った喪中の未亡人であったとき、
イングランドは自らをよく守っただけでなく、
スコットランド王を迷い出た家畜のように捕らえて囲い込み、
その王をフランスへ送って、
エドワード王の名声を捕虜の王たちで満たし、
その年代記を、沈んだ難破船と数えきれぬ財宝で
海の泥と底が豊かであるのと同じくらい、
称賛で豊かにしたのです。
ウェストモーランドですが、たいへん古くて真実な諺がございます、
「フランスを勝ち取らんとせば、
まずスコットランドより始めよ」と。
鷲たるイングランドがひとたび獲物を捕りに出れば、
その守りなき巣へ鼬たるスコットランドが
忍び寄って王家の卵を吸い、
猫の留守に鼠を決め込んで、
食える以上に食い荒らすのです。
エクセターならば猫は家にいねばならぬということになる。
だがそれは押しつぶされた必然にすぎぬ。
大切なものを守る錠前もあれば、
こそ泥を捕らえる可愛い罠もあるのだから。
武装した手が外で戦っている間、
思慮ある頭は家で自らを守る。
統治というものは、上も下もさらに下も、
部分に分かれていながら、一つの調和を保ち、
充ちた自然な終止へと融け合っていく、
音楽のように。
カンタベリーそれゆえ天は人間の
営みをさまざまの職分に分け、
努力を絶えざる運動のうちに置き、
そこへ標的として、狙いとして
服従を据えたのです。蜜蜂もそのように働きます。
自然の掟によって、人の住む王国に
秩序というものを教える生き物です。
蜜蜂には王がおり、さまざまの役人がおります。
ある者は行政官のように国内を正し、
ある者は商人のように外で商いを試み、
ある者は兵士のように針で武装して、
夏のビロードの蕾から戦利品を奪い、
その略奪品を陽気に行進して
女王の天幕へ持ち帰る。
女王はその威厳のうちに忙しく、
歌う石工が黄金の屋根を築くのを、
慎ましい市民が蜜を捏ねるのを、
哀れな下働きの荷担ぎたちがその重い荷を
狭い門から押し込んでくるのを、
そして悲しげな目をした裁判官が、不機嫌な唸りとともに、
青ざめた死刑執行人へ、怠けてあくびをする雄蜂を
引き渡すのを見渡すのです。ここから私はこう推します、
一つの合意にすっかり関わり合う多くの物事が、
互いに違った働き方をしてよいのだと。
多くの矢がそれぞれ別の方角へ放たれて
一つの的に至るように。多くの道が一つの町で交わるように。
多くの真水の流れが一つの塩の海で合わさるように。
多くの線が日時計の中心で閉じ合うように。
そのように千の行動が、ひとたび動き出せば、
一つの目的に終わり、しかもすべてが
挫けることなく立派に運ばれるのです。ですからフランスへ、我が君。
幸いなイングランドを四つに分け、
その四分の一をフランスへお連れください、
それだけでガリア全土を震え上がらせましょう。
もし我らが、その三倍の兵力を国に残しながら、
自分の家の戸口を犬から守れぬとあれば、
噛み殺されるがよい、そして我らの国は
剛毅と政略の名を失うがよい。
ヘンリー王王太子から遣わされた使者を招き入れよ。
ヘンリー王今や我らの決心はついた。そして神の助けと、
我らの力の気高い筋たるそなたたちの助けによって、
フランスを我らのものとし、それを我らの威に屈させるか、
さもなくば粉々に打ち砕くかだ。あるいは我らはかの地に座して、
フランスと、その王国にも等しい公国のすべてを
広大な帝権のうちに統べるか、
さもなくばこの骨をつまらぬ骨壺に納め、
墓もなく、何の記念もないままに横たえるか。
我らの歴史が口を極めて我らの行いを自在に語るか、
さもなくば我らの墓が、トルコの物言わぬ奴隷のように
舌なき口を持ち、
蝋に刻まれた墓碑銘にすら敬われぬかだ。
ヘンリー王さて、我らは麗しき従弟たる王太子のご意向を伺う
支度が十分に整った。聞くところでは
そなたたちの挨拶は王太子からのもので、王からのものではないそうだな。
使節一陛下、我らが託されたものをありのままに申し上げる
お許しをいただけましょうか。
それとも王太子のご意向と我らの使命を、
遠回しに控えめに申し上げましょうか。
ヘンリー王我らは暴君ではなく、キリスト教徒の王である。
我らの情念は、牢につながれた哀れな者たちが
そうであるのと同じく、我らの恩寵に従っている。
それゆえ率直に、抑えることなく平明に、
王太子の意向を告げよ。
使節それでは、手短に申し上げます。
陛下は先頃フランスへ使いを送られ、
偉大なご先祖エドワード三世王の権利において、
いくつかの公国をご請求になりました。
その請求への答えとして、我らの主君たる王子は
こう申されます、陛下はご青春の匂いがあまりに強い、
フランスには身軽なガリヤルドの舞いで勝ち取れるものなど
何一つないと心得られよ、と。
かの地では浮かれ騒いで公国を手に入れることはできませぬ。
それゆえ陛下のご気性にふさわしいものとして、
この一樽の財宝をお送りになります。そしてその代わりに、
ご請求の公国が二度と陛下のお噂を
聞かずに済むようにと願っておられます。これが王太子のお言葉です。
ヘンリー王何の財宝だ、叔父上?
エクセターテニスの球です、我が君。
ヘンリー王王太子がそれほど我らに戯れてくださるとは嬉しいことだ。
その贈り物と、そなたたちの労とに礼を言う。
この球に見合うラケットを揃えたなら、
我らは神の恵みによって、フランスで一勝負打とう、
父君の王冠をハザードへ打ち込むような勝負をな。
王太子に伝えよ、そなたは相手を間違えた、
フランス中のコートがチェイスの応酬で
騒がされることになるとな。そして我らはよく分かっている、
王太子が我らの放埒な日々を持ち出して優位に立とうとしていることが。
我らがその日々をどう使ったかを量ることなくな。
我らはこのイングランドの貧しい座を重んじなかった。
それゆえここを離れて暮らし、身を
野蛮な放縦に委ねた。人は家を離れているときが
最も陽気だというのは、いつの世も変わらぬこと。
だが王太子に伝えよ、私は我が位を保ち、
王らしく振る舞い、我が偉大さの帆を張ってみせると、
フランスの王座において身を起こすときには。
そのために我は威厳を脇に置き、
働く日々の男のようにこつこつと歩んできたのだ。
だが私はかの地で、フランス中の目を眩ませ、
そう、我らを見る王太子の目を潰すほどの
満ち溢れる栄光をもって立ち上がってみせる。
そしてあの陽気な王子に伝えよ、この愚弄が
その球を砲弾に変えたのだと。そしてその魂は、
それとともに飛んでいく破壊の復讐を、重く負わされることになると。
この愚弄によって幾千の未亡人が
いとしい夫を愚弄されて奪われ、
母たちは息子を、城は倒されるだろう。
そしてまだ孕まれも生まれもせぬ者たちのうちにも、
王太子の侮りを呪う理由を持つ者が出よう。
だがこれはすべて神の意志のうちにある。
私はその神に訴えるのだ。そしてその名において、
王太子に伝えよ、私は進み行くと。
なしうるかぎりの復讐をなし、
よく聖別された大義において、正しき我が手を差し伸べるために。
では平安のうちに立ち去るがよい。そして王太子に伝えよ、
その戯れは浅い知恵の匂いしかせぬことになるだろうと、
それを笑った者よりも多くの者が泣くときにはな。
安全な通行を保証して送り届けよ。達者でな。
エクセターこれは陽気な口上でしたな。
ヘンリー王送り主にそれを赤面させてやりたいものだ。
それゆえ諸卿、我らの遠征を進めるに足る
幸いな時をひとときも無駄にするな。
今や我らの内にはフランスのことしかない、
ただ我らの企ての先を行く神への思いを除いては。
それゆえこの戦のための兵力を
速やかに集めさせ、そして
道理にかなった速さで我らの翼にさらに羽根を
加えうるものはすべて考えておけ。神を先頭に、
我らはこの王太子をその父の戸口で叱りつけてやる。
それゆえ今、各人がその思案を尽くせ、
この麗しき事業が動き出すように。
