王頼む、
ハリー、退がれ。血を流しすぎている。
ランカスターのジョン卿、そなたが一緒に行け。
ランカスター私は嫌です、父上、私も血を流しているのでなければ。
皇太子陛下、お願いです、前線をお固めください。
お退きになれば味方が動揺いたします。
王そういたそう。
ウェストモーランド卿、この者を天幕へ導いてくれ。
ウェストモーランドさあ、殿下、天幕までご案内いたします。
皇太子案内する、だと、卿? 私はあなたの助けなど要らぬ。
神が禁じ給わんことを、浅い掻き傷ごときが
ウェールズ皇太子をこのような戦場から追いやるなど!
ここでは汚された高貴さが踏みつけられて横たわり、
反逆者の武力が虐殺のうちに勝ち誇っているのだ!
ランカスター息をつきすぎております。さあ、従兄弟のウェストモーランド、
我らの務めはこちらです。後生ですから、来てください。
皇太子神にかけて、ランカスター、お前は私を欺いていたな。
お前がそれほどの気概の主だとは思わなかった。
これまで私は弟としてお前を愛していた、ジョン。
だが今は、この魂と同じくお前を敬う。
王私はあの子がパーシー卿を切っ先で押さえるのを見た。
あれほど未熟な戦士に私が期待していたよりも、
はるかに逞しい持ちこたえようだった。
皇太子おお、この少年が
我ら全員に気概を貸してくれるのだ!
ダグラスまた王か! ヒドラの首のように生えてくる。
私こそダグラスだ、あの色を身につけた者すべてに
とって致命的な男だ。何者だ、
王の姿を偽っているのは?
王王自身だ。そのことに、ダグラス、心を痛めている、
そなたがこれほど多くの余の影とばかり出会い、
王その人と出会わなかったことをな。余には二人の息子がいて、
この戦場でパーシーとそなたを探している。
だが、そなたがこれほど幸運に余の前に落ちてきた以上、
そなたを試してみよう。さあ、身を守れ。
ダグラスお前もまた偽物ではないかと思う。
それでも、まことに、王のように身を持している。
だが何者であろうと、お前が私のものであることは確かだ。
こうしてお前を勝ち取る。
皇太子頭を上げていろ、下劣なスコットランド人、さもなくば
二度と上げられなくなるぞ! 勇敢な
シャーリー、スタッフォード、ブラントの霊が、この腕に宿っている。
お前を脅かしているのはウェールズ皇太子だ。
支払うつもりのない約束は決してせぬ男だ。
皇太子お元気を、陛下。ご機嫌はいかがです?
サー・ニコラス・ゴージーが救援を求めてよこしました。
クリフトンもです。私はすぐクリフトンのもとへ参ります。
王待て、しばらく息をつけ。
そなたは失われた評判を取り戻した。
そしてこの見事な救出を余にもたらしたことで、
余の命をいくらか気にかけていると示してくれた。
皇太子おお、神よ! 私が父上の死を待ち望んでいたなどと
言った者どもは、私をひどく傷つけたものです。
もしそうであったなら、ダグラスの侮辱の手が
父上の上に振り下ろされるのを、そのままにしておけばよかった。
それはこの世のあらゆる毒薬と同じくらい速く
父上の最期をもたらし、
息子の裏切りの手間を省いてくれたでしょうに。
王クリフトンのところへ急げ。余はサー・ニコラス・ゴージーのもとへ行く。
ホットスパー見間違いでなければ、お前はハリー・モンマスだな。
皇太子まるで私が自分の名を否定するかのような言い方だ。
ホットスパー私の名はハリー・パーシー。
皇太子ならば、その名を持つ
実に勇敢な反逆者を目にしているわけだ。
私はウェールズ皇太子。そして思うな、パーシー、
これ以上私と栄光を分け合えるなどとは。
二つの星は同じ天球で軌道を保てぬ。
ひとつのイングランドも、ハリー・パーシーとウェールズ皇太子の
二重の統治には耐えられぬ。
ホットスパー耐えさせもせぬ、ハリー。今こそ我ら二人のうち
一方を終わらせる時が来たのだ。そして神に願う、
お前の武名が今、私のものと同じくらい大きくあればいいと!
皇太子お前と別れる前に、もっと大きくしてやる。
そしてお前の兜の飾りに芽吹いたあらゆる名誉を
刈り取って、私の頭の花冠にしてやる。
ホットスパーもうお前の虚言には堪えられぬ。
フォルスタッフよくやった、ハル! やれ、ハル! いや、ここには子供の遊びなどないぞ、言っておくが。
ホットスパーおお、ハリー、お前は私から若さを奪い取った!
私は脆い命を失うことよりも、
お前が私から勝ち取ったあの誇り高い称号を失うことのほうが堪えがたい。
それは、剣が私の肉を傷つける以上に、私の思いを傷つける。
だが思いは命の奴隷、命は時の道化だ。
そして全世界を見渡す時にも、
終わりが来ねばならぬ。おお、私は予言もできたろうに、
死の土くれのように冷たい手が
この舌の上に載っていなければ。いや、パーシー、お前は塵だ、
そして餌だ——
皇太子蛆虫のな、勇敢なパーシー。さらばだ、偉大な心よ!
粗く織られた野心よ、なんとお前は縮んだことか!
この体が魂を容れていたときには、
王国ひとつでもそれには狭すぎる境だった。
だが今は、最も卑しい大地の二歩分で
十分な余地となる。お前を死者として載せているこの大地は、
これほど剛毅な紳士を生きて載せてはいない。
もしお前が礼儀を感じ取れるのなら、
私はこれほど心のこもった熱意を示しはしまい。
だが私の飾りにお前の切り裂かれた顔を覆わせてくれ。
そして、お前に代わって、私は自分に礼を言おう、
この優しさの美しい儀式を執り行うことについて。
さらば、そして称賛を天へ持って行け!
お前の恥辱は墓の中でお前とともに眠るがいい、
墓碑銘には刻まれずに!
皇太子なんだ、旧知の男か! これだけの肉があっても、
少しばかりの命を保てなかったのか? 哀れなジャック、さらば!
もっと立派な男なら、いなくてももっと平気だったろうに。
おお、私はお前を痛切に惜しむところだ、
もし私が虚栄をひどく愛していたならな!
死は今日、これほど太った鹿を仕留めはしなかった、
この血みどろの争いで、もっと大切な者たちは多く仕留めたにせよ。
やがてお前の腹を抜いてやろう。
それまでは、気高いパーシーのそばで血の中に横たわっていろ。
フォルスタッフ(起き上がって。)腹を抜くだと! 今日お前が俺の腹を抜くなら、明日は俺に塩を振って食ってもいいと許してやる。ちくしょう、死んだふりをする潮時だった。でなければあの気の荒いスコットランド人が、俺からも税金も分担金もきっちり取り立てていたところだ。偽物だと? 嘘だ、俺は偽物じゃない。死ぬことこそ偽物になることだ。人の命を持たぬ者は、人の偽物にすぎんからな。だが死ぬふりをすることは、それによって人が生きるのだから、偽物になることではなく、まさに真実で完全な命の似姿になることだ。武勇のより良い部分は分別だ。そしてそのより良い部分によって、俺は命を救った。ちくしょう、俺はこの火薬男パーシーが恐ろしい、死んでいてもだ。もしこいつも死んだふりをして起き上がったらどうする? まったく、こいつのほうが上手の偽物だと分かるのが恐ろしい。だから確実に始末しておこう。そうとも、そして俺が殺したと誓ってやる。こいつが俺と同じように起き上がらんとも限らんからな。俺を論破できるのは目だけだ、そして誰も見ていない。だから、なあ、お前の腿に新しい傷を突き刺してやってから、俺と一緒に来てもらおう。
皇太子来い、弟のジョン。お前は実に勇ましく
初陣の剣に血を吸わせたな。
ランカスターおや、待って! ここにいるのは誰です?
この太った男は死んだと言われませんでしたか?
皇太子言った。死んでいるのを見たのだ、
息絶えて血を流し、地面に横たわっていた。お前は生きているのか?
それとも我らの視覚をもてあそぶ幻か?
頼む、喋ってくれ。耳がなければ、我らは自分の目を
信じられぬ。お前は見かけどおりのものではない。
フォルスタッフいや、それは確かだ。俺は二重人間じゃない。だがジャック・フォルスタッフでないなら、俺はただのジャック(青二才)だ。そこにパーシーがいる。
フォルスタッフお前の父君が俺に何か名誉をくださるなら結構。くださらんなら、次のパーシーはご自分で殺してもらおう。俺は伯爵か公爵になるつもりだ、請け合ってもいい。
皇太子なんだと、パーシーは私が自分で殺したのだ。そしてお前が死んでいるのを見た。
フォルスタッフそうかね? 主よ、主よ、この世はなんと嘘に染まっていることか! 確かに俺は倒れて息が切れていた。こいつもだ。だが俺たちは同時に起き上がり、シュルーズベリーの時計で長々一時間戦ったんだ。信じてもらえるなら結構。もらえないなら、武勇に報いるべき者たちが、その罪を自分の頭にかぶればいい。死にかけて誓ってもいいが、こいつの腿にこの傷を与えたのは俺だ。もしこの男が生きていて否定するなら、ちくしょう、俺の剣の一片を食わせてやる。
ランカスターこれは今まで聞いた中で最も奇妙な話だ。
皇太子これは最も奇妙な男だ、弟のジョン。
さあ、その荷物を気高く背負って行け。
私としては、嘘がお前に恵みをもたらすというなら、
持てる限りの幸いな言葉で金箔を貼ってやろう。
皇太子喇叭が退却を告げている。今日は我らの勝ちだ。
来い、弟よ、戦場の最も高いところへ行こう、
どの味方が生きていて、誰が死んだかを見るために。
フォルスタッフ俺も後を追おう、世に言う褒美のためにな。俺に褒美をくれる者には、神が褒美をくださるように! もし俺が偉くなったら、小さくなってやる。浄めをして、サック酒をやめ、貴族らしく清らかに暮らすのだ。
